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[NY株式市場]「借金を増やす」スペースXの一言でビッグテックが揺れた

22日(現地時間)、ニューヨーク株式市場は大型テクノロジー株を中心に下落して取引を終えた。先週750億ドル規模で市場に上場したスペースXが、200億ドル相当の社債発行計画を打ち出したことが売りの発端となった。利益確定売りがテクノロジー株全般に広がり、主要指数はそろって軟調となった。 イーロン・マスクが率いるスペースXは、上場からわずか10日で追加の資金調達に動いた。発行規模は200億ドルで、為替レートを1ドル=1,370ウォンで換算すると約27兆ウォンに相当する。 同社はその理由を明確にした。人工知能企業を買収する過程で借り入れた短期ブリッジローンを返済するための資金だという説明だ。保有現金だけでも1,000億ドルを超えることも明らかにした。 しかし市場の反応は会社側の説明と食い違った。資金が潤沢な企業が追加で借金をする判断に、投資家は人工知能向け設備投資に投じられる現金が想定より早く尽きる可能性への懸念を強めた。個別企業の資金事情にとどまらず、人工知能に巨額の資金を投じる業界全体への疑念へと広がった。 売り圧力はすぐに大型テクノロジー株へ波及した。アルファベットは4.99%下落し、アマゾンは4.75%安となった。マイクロソフトは3.18%、メタは2.32%下落した。いずれも巨大なデータセンターを運営し、人工知能に巨額投資を続けてきた企業だ。 業界ではこれらをハイパースケーラーと呼ぶ。膨大な規模でデータセンターを運営する大手テクノロジー企業を指す言葉だ。今回の下落は、その「巨大投資」に対する市場の疲れを映し出した。 同日、半導体は正反対の動きを見せた。人工知能設備の実際の部品をつくる企業は堅調だった。メモリー半導体メーカーのマイクロンは6.82%上昇した。ストレージを手がけるサンディスクは4.07%、シーゲイトは2.22%上がった。 サーバーを組み立てる企業の上昇率はさらに大きかった。デルが2.25%上昇する一方、スーパー・マイクロ・コンピューターは15.7%急騰した。人工知能バブルを警戒する資金と、人工知能に実際に使われる部品を買う資金とが分かれた形だ。 指数もまちまちだった。S&P500とナスダックはそれぞれ0.37%、1.32%下落した。一方、ダウ平均は0.29%、半導体株をまとめたフィラデルフィア半導体指数は2.04%上昇した。テクノロジー株が下がった分を、不動産・エネルギー・ヘルスケアが埋めるローテーション相場が展開された。ある業種から資金が離れ、別の業種へ移る流れだ。 この日の相場を動かしたもう一つの軸は中東だった。米国とイランの終戦協議が具体的な形を帯び始めた。 スコット・ベッセント米財務長官は、イラン産原油の輸出を認める60日間の暫定許可を発給したとソーシャルメディアで明らかにした。その根拠として、イランがホルムズ海峡の自由な通行を保障し、国際原子力機関(IAEA)の査察団の受け入れに同意した点を挙げた。ホルムズ海峡は世界の原油のかなりの量が通過する要衝だ。 これに先立ち、スイスで開かれた高官協議で、両国は60日以内に恒久平和協定に向かう日程で合意したと伝えられていた。仲介国代表が伝えた内容だ。戦争で止まっていたイラン産原油が再び市場に流れ込むとの期待が高まった。 その期待はすぐ価格に反映された。WTI原油先物は2.32%下落し、1バレル74.82ドルで取引を終えた。供給が増えれば価格が下がるという市場の原理がそのまま働いた。 しかし金利は逆に動いた。原油価格が下がれば物価への圧力が和らぎ、金利も安定することが多い。だがこの日は逆だった。 理由は連邦準備制度理事会(FRB)にあった。今年中に政策金利をもう一度引き上げるとみる投資銀行が最近増えている。物価を抑えようとする中央銀行の意志が、原油安による安心感より重く受け止められた。 債券利回りがそれを如実に示した。政策金利見通しに敏感な米国債2年物利回りは0.048ポイント上昇し4.23%となった。市場の基準となる10年物は0.055ポイント上昇し4.51%で終了した。金利が上がれば、その分だけ借り入れコストは高くなる。 ドル高も同時に進んだ。主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数は0.15%上昇し101.0を記録した。金利が高くなった米国に資金が流れ込んだ結果だ。 この日の相場は一つの事実を確認させた。人工知能に対する市場の信頼は、もはや一枚岩ではないということだ。巨額投資を進める大手テクノロジー企業と、その投資の恩恵を直接受ける部品企業を市場は別々の目で見始めた。借金で膨らませた成長に、請求書が届く時期を投資家が見極め始めている。

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半年で2倍…コスピ9000、歓喜の裏で膨らむ不安

コスピが9000ウォン台を超えた。韓国株式市場がこれまで一度も踏んだことのない高みだ。6月18日、コスピは取引時間中に9008.84まで急騰し、史上初めて9000を突破した。 この日の指数は前営業日比2.25%高の9063.84で取引を終えた。取引時間中には9106.07まで上昇した。先月15日に初めて8000を超えてから、わずか22営業日で再び1000ポイントの節目を突破した。 上昇のスピードは一段と速まっている。昨年10月に4000を超えたコスピは、今年に入って5000、6000、7000、8000の各水準を相次いで通過した。1000ポイントを積み上げるまでの間隔は、次第に短くなっている。 規模も過去最大に膨らんだ。コスピの時価総額は7413兆ウォンを記録し、国内株式市場全体の時価総額は世界7位水準に上がった。上昇幅も世界で最も急だった。コスピは今年に入って115.1%上昇し、主要20カ国の中で1位となった。 指数を押し上げたのは半導体大型株だ。SKハイニックスは6%台の急騰となり、終値ベースで過去最高値を更新した。前日に初めて250万ウォンを超えた株価は、この日270万ウォン台に迫った。サムスン電子も4%台上昇し、36万ウォン台で取引を終えた。 需給の中心には外国人投資家がいた。外国人はコスピで1兆2777億ウォンを買い越した。一方、個人は3751億ウォン、機関は7782億ウォンを売り越した。24営業日連続で売り続けていた外国人が、12日から買いに転じた流れが指数を押し上げた。 背景には人工知能への投資拡大がある。データセンターに使われるメモリー半導体の需要が増え、輸出企業の業績期待が膨らんだ。韓国取引所は、ロボットや宇宙航空銘柄にも買いが広がったと分析した。ただし、半導体という一業種に資金が集中する構造は、上昇の原動力である一方、弱点としても作用する。 この日の上昇は、悪材料を真正面から受け流したという点で異例だった。米連邦準備制度理事会は17日(現地時間)、政策金利を据え置きながら、年内の利上げ可能性まで示唆した。利上げは通常、株式市場の重荷となる。ウォン・ドル相場も11.6ウォン上昇し、1525.0ウォンで始まり、圧力を強めた。 市場の視線は別の方向に向いていた。米国とイランが終戦に合意したことで、戦争リスクは大きく後退した。ドナルド・トランプ米大統領が合意を最終案とみなすのは難しいとして空爆再開の可能性に言及したが、投資家は終戦の方向に重きを置いた。リスク回避の心理が和らぐと、買いはさらに強まった。 制度変更も下支えとなった。政府が推し進める資本市場先進化政策が効果を上げ、長年にわたり韓国株式市場を押し下げてきた割安感、いわゆるコリア・ディスカウントが解消されつつあるとの分析が出ている。鄭銀保・韓国取引所理事長は「1万ポイントに向けた新たな旅路」を予告した。 同じ日、コスダックは正反対の動きを見せた。指数は3%台の急落となり、1000ポイントを下回った。片方は史上最高値、もう片方は下落という一日だった。 分かれ目となったのは集中だ。資金が半導体を含む一部の大型株に集まり、中小型株中心のコスダックは取り残された。指数を押し上げた力が特定銘柄に偏っていることは、変動性が高まるサインでもある。 今後の見方は分かれている。グローバル投資銀行は目標値を相次いで引き上げ、1万台到達の可能性に言及している。一方で、短期間で指数が倍近く上昇しただけに、過熱を警戒する声も少なくない。 9000という数字は到達点というより通過点に近い。上昇が急だった分、調整の深さも大きくなり得る。半導体一角に依存した上昇を、どれだけ広い土台へ広げられるかが、次の高みを分ける分岐点となる。

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政府の「みんなの創業」、5000人のアイデアと審査評が流出…穴はどこに

中小ベンチャー企業部(中企部)が意気込んで立ち上げた創業オーディションが、スタートから数日で個人情報流出事故に見舞われた。合格者の創業アイデアと審査評まで漏れ、波紋が広がっている。 中小ベンチャー企業部は18日、国民向け創業プロジェクト「みんなの創業」の1次合格者5000人の非公開情報にアクセスした形跡が確認されたと明らかにした。流出した情報はメールアドレス、アイデア要約、審査評だ。同日午後1時、韓国インターネット振興院(KISA)に流出の事実を届け出て謝罪文を掲載した。 6万3000人余りが殺到した競争を勝ち抜いた5000人が、そのまま被害対象となった。彼らが懸念するのはメールの露出にとどまらない。事業の種であるアイデアと、それを評価した審査評が丸ごと抜き取られた点だ。 偶然にも16日は、韓成淑(ハン・ソンスク)中企部長官が出席する中、1期の発足式が開かれた日だった。韓長官は現在、国務総理候補として人事聴聞を控えている。 事故の出発点は15日午前9時だった。合格者5000人のプロフィールがプラットフォーム上で公開された時だ。このとき表示された項目は、ニックネーム、フォロー数、ラウンド進出の有無だった。メールアドレス、アイデア要約、自己紹介は、本人が公開・非公開を選べる項目だった。 重要なのは、公開されたプロフィールを足がかりに非公開領域へもアクセスが行われた点だ。中企部は、国内IP9件が許可されていない経路で非公開情報にアクセスしたとみられる状況を確認したと説明した。どのような侵入方式が使われたのか、どこに脆弱性があったのかはまだ明らかになっていない。 認知と遮断はいずれも一歩遅れた。中企部は15日午後3時ごろ、利用者の問い合わせで事故に気づき、1時間後にアクセス経路を遮断した。しかし翌16日午前、非公開登録のメールアドレス宛てに、ある人工知能(AI)ソリューション企業の宣伝メールが届いたという苦情が入った。自動収集をふるい落とす保安機能は、その日の夕方になってようやく追加された。 被害者の怒りは、流出した情報の性質に由来する。ある合格者は「誰にも教えたことのないニックネームとメールアドレスに広告メールが来た」と語った。別の合格者A氏は、遮断発表後の16日にもAPIを通じてメール収集が可能だったと把握しているとして、「対応がずさんだった」と主張した。 SNSには激しい反応があふれた。「みんなの創業とは、みんなのアイデアを公開しろという意味だったのか」「自分の創業アイデアが公有財産になった」といった嘆きが相次いだ。創業アイデアは事業化前段階の知的財産に近い。競争相手や業者の手に先に渡れば、市場先取りそのものが揺らぐ。通常の連絡先流出とは重みが違う理由だ。 今回の事故が一層痛いのは、情報を漏らした主体が政府だという点だ。これまで政府は、個人情報を流出させた民間企業に数十億、数百億ウォン規模の過料を科してきた。保安責任を厳しく問う側が、肝心の自ら運営するプラットフォームの非公開情報を守れなかった。 設計段階の欠陥を指摘する声が大きい。公開情報と非公開情報が同じシステム内で扱われたため、権限のないアクセスが入り込む余地が生まれたというのだ。外部からデータを大量に吸い上げる試みを遮断する仕組みや、不審なアクセスをリアルタイムで検知する監視も不足していたという評価が続く。 解決策の方向性は明確だ。公開データと非公開データを分けて保管し、アクセス権限を必要最小限に絞ることが先決だ。短時間に異常な量の要求が集中すれば自動で遮断する仕組み、流出時に直ちに当局へ知らせる体制も整える必要がある。政府が運営する国民向けプラットフォームであれば、公開前にセキュリティ点検を義務化することも先延ばしにできない。 中企部は国家サイバー安保センターなど外部機関とともに原因を調査している。正確な流出規模と侵入経路は調査結果を待つ必要がある。明らかなのは、国民のアイデアを集めると掲げた舞台が、そのアイデアを守る面では脆弱だったという事実だ。失われた信頼を取り戻す出発点は、責任の所在を最後まで明らかにすることにある。

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社会

環境

中小ベンチャー企業部、気候テックスタートアップを募集…課題当たり1億4000万ウォン支援

Global Team

太陽光設備をドローンが自ら点検し、造船所が排出する炭素量をリアルタイムで把握する。大企業と公共機関が解決したいこうした現場の課題を、これからはスタートアップがともに解決する。 中小ベンチャー企業部は、開放型革新事業「みんなのチャレンジ 気候テック」に参加するスタートアップを今月16日から来月10日まで募集すると発表した。大企業・公共機関が提示した実際の課題に技術を持つスタートアップを組み合わせ、協業と事業化資金を支援する事業だ。企業の中だけで答えを探さず、外部のスタートアップと手を組んで問題を解く方式を開放型革新、すなわちオープンイノベーションという。 ◆ 企業が出した課題82件、スタートアップが選ぶ 今回のチャレンジには需要企業8社が参加する。韓国水資源公社と韓国電力公社をはじめとする気候エネルギー環境部傘下の公共機関5社、現代建設・HD現代重工業・三星重工業などの大企業3社だ。彼らが提示した協業課題は全部で82件にのぼる。 課題は炭素中立とエネルギー転換、環境配慮型エネルギー技術に集中している。韓国水資源公社が35件で最も多く、現代建設18件、HD現代重工業15件、韓国電力公社8件が続く。ドローンと人工知能を活用した太陽光発電設備の自律点検、河川や湖に発生するアオコのリアルタイム検出技術、造船所の炭素排出量をリアルタイムで管理する仕組みまで、分野は多様だ。 注目すべき点は、課題をスタートアップが直接選ぶことだ。保有する技術やビジネスモデルに合う課題を選んで応募する構造となっている。机上で作り上げた仮想の問題ではなく、企業が今まさに解決を求める現場の需要をそのまま反映したものだ。 ◆ 課題ごとに最大1億4000万ウォン、需要企業が直接評価する 選ばれたスタートアップには、少なくない支援が与えられる。需要企業とともに技術を検証し、試作品を作り、現場で使えるかどうかを確認する過程を踏む。課題1件当たり最大1億4000万ウォンの事業化資金も受け取る。 審査方法も実戦型だ。課題を出した需要企業の関係者が直接評価委員として参加し、実際に一緒に仕事ができるスタートアップを選び出す。 手続きは、書類審査で選定規模の3倍程度を絞り込み、その後、協業計画を確認する発表審査で最終選定する流れだ。選ばれたスタートアップは、概念実証(PoC)、すなわち技術が現場で実際に通用するかを確認する段階から協業に入る。 ◆ 気候テックの競争力を、官民が手を組んで育てる 「みんなのチャレンジ」は、新産業分野のスタートアップと需要企業をつなぐプログラムだ。人工知能転換(AX)やロボット、防衛など各分野で順番に実施され、今回は気候テックの番となった。気候テックとは、炭素中立とエネルギー転換を支える技術を総称する言葉だ。 スタートアップには、技術を実際の現場で検証し販路を切り開く機会が、需要企業には内部では得にくい革新的技術を取り込む入口が与えられる。チョ・ギョンウォン中小ベンチャー企業部創業政策官は、「気候テックは、炭素中立とエネルギー転換など未来産業の競争力を左右する分野であり、官民協力が非常に重要だ」と述べた。さらに、大企業・公共機関の現場需要とスタートアップの革新技術を効果的につなぎ、気候テック・スタートアップの成長を後押しすると付け加えた。 気候危機に立ち向かう技術は、もはや遠い未来の話ではない。大きな組織が握る現場と、小さな企業が持つ技術がかみ合う場所で、韓国の気候テックが次の一歩をどう踏み出すのかが今回のチャレンジにかかっている。

ESG/CSR

生活

マクドナルドのソン・フンミンカップ、韓国だけ除外された理由は広告契約の足かせ

Global Team

韓国サッカーの看板スター、ソン・フンミンの顔が入ったマクドナルドの限定カップが、肝心の韓国では販売されていない。国内店舗で受け取れないという事実が広まると、中古市場では定価の10倍近いプレミアが付いた。 外食業界によると、韓国マクドナルドが11日に発売したワールドカップセットは、わずか5日で全国で完売した。ランダムで付けていた記念カップ数万個がすべてなくなり、セット販売も停止された。セットはビッグマック、フライドポテト、炭酸飲料に、再利用可能なカップ1個をランダムで付ける構成で、価格は8900ウォンだった。 このカップは、国際サッカー連盟(FIFA)が主催する2026年北中米ワールドカップを記念して出されたグッズだ。マクドナルドは今大会の公式スポンサーとして、世界中の店舗で同じ企画を展開した。記念カップは世界基準で9種類だが、韓国向けの第1次分にはラミン・ヤマル、ロナウジーニョ、ティエリ・アンリ、デイビッド・ベッカム、キャラクターのグリマスの5種類しか入らなかった。 その抜けた枠にソン・フンミンがいた。クリスティアン・プリシッチ、アルフォンソ・デイビス、サンティアゴ・ヒメネスのカップも韓国では出回らなかった。 ◆ 5日で完売したカップ、ソン・フンミンだけが外れた 需要に火をつけたのは試合結果だった。12日に代表チームがチェコを2-1で逆転してから、応援ムードが一気に高まった。食事に記念品を付けたこの構成は、その熱気をそのまま吸い込んだ。 しかし、最も欲しがられるカップは売り場になかった。ソン・フンミンのカップは、開催国メキシコの現地店舗でも韓国ファンが殺到して品切れが続いた。応援の本拠地であるはずの韓国で手に入れる道が閉ざされたかたちだ。 その空白を中古市場が埋めた。中古取引アプリ「クルケン」には、ソン・フンミンのカップを5万ウォンから9万ウォンで売るという投稿が相次いだ。バーンゲジャンターでは11万ウォンの出品まで登場した。セット定価の10倍を超える値段だ。海外店舗で代わりに買ってきてほしいという購入代行の依頼も現れた。 ◆ 広告モデルの独占契約が生んだ空白 ソン・フンミンが外れた理由はピッチの外にある。彼は韓国内の複数の食品・外食企業の広告モデルとして活動している。ドミノピザ、ロッテウェルフードのワールドコーン、ハイトジンロのテラ、メガコーヒーが彼と契約している。 広告モデル契約には、同じ業種で他ブランドの顔になれないようにする条項がよく入る。マクドナルドも外食企業だ。契約が有効な間は、彼の顔を国内のハンバーガー店グッズに載せるのは難しかったという見方が出ている。 世界市場で通用するマーケティングも、国内契約の一線で止まった。グローバルスポンサーが同じ企画を一斉に押し出しても、市場ごとに絡む契約が違えば、結果は分かれる。今回のカップは、その隙間が消費者の目の前に現れた場面だった。 似たような衝突はスポーツ・マーケティングでは珍しくない。選手一人をめぐって、スポンサー企業、所属クラブ、個人広告主の権利が重なると、誰の優先権が前に出るのかで計算は複雑になる。ファンには見えないこの契約構造が、売り場の陳列を左右している。 ◆ 限定品が生んだプレミア、グッズが投資対象に 今回の件は、限定グッズがどう価格を押し上げるかを示した。供給を絞れば希少性が生まれる。欲しくても手に入らない条件が重なれば、プレミアはさらに急激に付く。ソン・フンミンのカップは、その2つの条件を同時に抱えた。 8900ウォンの食事セットの付属品が最大9万ウォンで取引される光景は、グッズを資産運用の手段とみなす流れにもつながる。以前にも、コンビニのパンに入っていたキャラクターステッカーが転売市場を熱くしたことがあった。限定数量と人気モデルが組み合わされば、小さなおまけが投資商品のように動く。 転売市場には影もつきまとう。正規品かどうかの判別は難しく、取引中に紛争が起きても頼れる仕組みはあまりない。プレミアを払って買ったカップが本物でないリスクは、買う側がそのまま負うことになる。 記念カップは、本来は使い捨てを減らそうという趣旨の再利用製品だ。何度も使うために作られたカップが、箱も開けられないまま飾り棚へ向かう。環境を名目にしたグッズがコレクターズアイテムであり投機対象へと変わる風景は、限定販売マーケティングが本来の目的をどうねじ曲げるかを示している。 マクドナルドにとって目先の成績は華やかだ。5日完売はマーケティング成功の証といえる。だが、最も人気のある顔を外したまま得た成功という点では、後味はすっきりしない。完売の話題が、欠品への不満へと移っていくからだ。 コレクション欲求の根は深い。好きな選手のグッズを手にすることは、応援の表現であり、帰属感の確認でもある。それが手に届かないとき、渇望はむしろ強まる。ソン・フンミンのカップをめぐる過熱は、単なる品薄以上に、この心理に近い。 消費者の不満も積み上がっている。ネット上では、韓国の選手のカップを韓国で買えないのはおかしいという指摘が続いている。海外通販を調べてみるという声も少なくない。応援の熱が大きいほど、欠如がもたらす喪失感も大きくなる。 韓国マクドナルドはワールドカップセットの第2弾投入を準備している。ソン・フンミンのカップがそこに含まれるかは未定で、今月中の発売は難しいと会社側は説明している。広告契約という結び目が解けない限り、最も欲しいカップが最も手に入りにくいという逆説は、しばらく続く見通しだ。