ビジネス
「クロード」のアンソロピック、2兆ドルIPO推進…スペースXの記録破るか
チャットGPTの対抗馬と呼ばれるAI企業アンソロピックが、史上最大の企業公開(IPO)に挑む。 ニューヨーク・タイムズ(NYT)は21日(現地時間)、交渉事情に詳しい関係者2人の話として、アンソロピックの主幹事銀行が投資家に対し、IPOで1000億ドル(約139兆ウォン)以上を調達する案を提示したと報じた。 実現すれば企業価値は2兆ドル(約2780兆ウォン)に達する可能性がある。ブルームバーグ通信も、アンソロピックがスペースXの取引規模に匹敵するか、それを上回るIPOを期待していると伝えた。 比較対象だけでも前例がない。イーロン・マスク氏の宇宙企業スペースXは今年6月、企業価値1兆7700億ドルで上場し、857億ドルを調達して史上最大のIPO記録を打ち立てた。アンソロピックが1000億ドルを超えれば、2カ月余りでその記録が塗り替えられる。 ◆ 5年で企業価値2兆ドルへ…なぜ可能なのか アンソロピックは2021年、ダリオ・アモデイ氏とダニエラ・アモデイ氏の兄妹ら、オープンAI出身者が設立した会社だ。AI安全性を前面に打ち出す路線で、オープンAIとの差別化を図ってきた。 企業価値は今年6月の資金調達時点で9650億ドル(約1340兆ウォン)だった。2兆ドルが現実になれば、半年足らずで評価額が2倍超に膨らむことになる。時価総額2兆ドルを超えた企業は、アップル、マイクロソフト、エヌビディアなどごくわずかだ。 評価額を押し上げた原動力は業績だ。開発者向けコーディングAI「クロード・コード」が看板商品として定着し、年間換算売上高の見通しは470億ドル(約65兆ウォン)まで拡大した。 アンソロピックは今年6月に上場を申請しており、数週間以内に目論見書を公開できるとNYTは伝えた。上場時期は早ければ今秋と見込まれ、2027年の上場を目指すオープンAIより先に株式市場へ入る形となる。 ◆ 逆風もある…コンピューティング不足と政府との対立 成長の裏には負担もある。アンソロピックは、チップやサーバー不足の中で急増する需要をさばくための計算資源の確保に苦労している。AI業界全体のインフラ制約が、売上成長のペースを鈍らせる可能性があるとの指摘だ。 米政府との対立はさらに大きな変数とされる。トランプ政権は3月、アンソロピックが軍にAIモデルの無制限アクセスを認めなかったとして、政府契約を打ち切り、供給網リスク企業に指定した。アンソロピックは国防総省の措置を違憲的な報復だと反発している。NYTは、政府とのぎくしゃくした関係が一部投資家を躊躇させる可能性があると指摘した。 それでも市場の関心は熱い。スペースXに続いてアンソロピックまで、兆ドル単位の企業価値を持つ企業が相次いで株式市場に登場することで、AIと宇宙が主導する大型IPOの流れが続いている。 米国株に投資する国内投資家にとっても、今秋の最大の注目銘柄になる可能性が高く、目論見書に盛り込まれる業績とリスク要因の開示に関心が集まりそうだ。
Read moreエヌビディア、パープレキシティへの投資協議…企業価値300億ドル超え
米情報技術メディア「ザ・インフォメーション」は23日(現地時間)、エヌビディアがAI検索スタートアップのパープレキシティへの出資や持分投資に参加する案を協議していると報じた。技術ライセンス取引も検討対象に含まれているという。 今回の資金調達では、パープレキシティの企業価値は300億ドル(約42兆ウォン)を上回る見通しだ。直前の評価額である約200億ドルから50%以上上昇した水準になる。 パープレキシティの年間経常収益(ARR)は、年初の2億5000万ドル未満から7億5000万ドル以上へと急増した。AIエージェント製品「パープレキシティ・コンピューター」が成長をけん引した。 エヌビディアは最近、韓国のリベルリオンとも投資・買収協議を進めるなど、AIエコシステム全体に持分を広げる動きを続けている。 エヌビディアが投資した企業が再びエヌビディアのチップ顧客になる構図をめぐり、AI投資過熱論争も広がっている。 人工知能(AI)半導体首位のエヌビディアが、今度はAI検索スタートアップに資金を投じる。 米情報技術メディア「ザ・インフォメーション」は23日(現地時間)、協議事情に詳しい関係者の話として、エヌビディアがパープレキシティの持分投資に参加する案を協議していると報じた。 今回の資金調達では、パープレキシティの企業価値は300億ドル(約42兆ウォン)を上回る見通しだ。単純な持分投資にとどまらず、技術ライセンス取引も併せて検討されているという。 ◆ 50%上昇したパープレキシティ、その高評価の理由は パープレキシティは、質問をするとウェブを検索し、出典付きで答えを整理してくれるAI検索サービスとして知られるようになった。グーグル検索の対抗馬とも呼ばれ成長し、前回の投資では約200億ドルと評価されていた。300億ドルが実現すれば、企業価値は50%超の上昇となる。 評価額を押し上げたのは成長スピードだ。月次の売上を年換算した年間経常収益(ARR)は、年初には2億5000万ドル(約3500億ウォン)に届かなかったが、最近は7億5000万ドル(約1兆ウォン)を超えた。半年あまりで3倍に膨らんだ規模だ。 この成長をけん引したのがAIエージェント「パープレキシティ・コンピューター」だ。検索の回答にとどまらず、資料調査から文書作成まで、コンピューターで行う作業を代わりに処理してくれる製品である。検索会社が業務代行会社へと領域を広げ、収益モデルがサブスクリプション中心で厚みを増したとの評価が出ている。 ◆ エヌビディアのスタートアップ投資 エヌビディアのスタートアップ投資は今回が初めてではない。パープレキシティには以前から投資しており、最近では韓国のAI半導体スタートアップ、リベルリオンとの投資・買収協議が進んでいるとの報道もあった。 昨年末には米推論チップ企業グロックとも提携した。AIチップ販売で得た現金を、AIサービスや半導体エコシステム全体に再投資する動きだ。 市場ではさまざまな見方が出ている。検索やエージェントのようにチップ需要を生み出すサービス企業を育て、市場全体のパイを広げる戦略とみる向きがある一方、エヌビディアが投資した企業がその資金で再びエヌビディアのチップを買う循環構造が、AI投資熱をあおっているとの指摘もある。バブル論争が強まるほど、エヌビディアの投資先リストは市場が最も注目する対象となっている。 交渉は継続中で、条件は変わる可能性がある。エヌビディアとパープレキシティは報道へのコメントを控えた。投資が確定すれば、グーグルが支配してきた検索市場に挑むパープレキシティに資金と半導体という2つの実弾が同時に加わることになり、AI検索競争の構図にも影響を及ぼす見通しだ。
Read moreエヌビディアもメモリー価格に降参、AIサーバー15%値上げ通告
人工知能サーバーの価格が来年から上がる。メモリー半導体価格の急騰に耐えられなくなったエヌビディアが、その上昇分を顧客に転嫁することを決めたためだ。 ブルームバーグ通信は22日(現地時間)、エヌビディアがマイクロソフト、グーグル、オラクルなど主要顧客に対し、来年初めに出荷するシステムから価格を15%以上引き上げると通知したと報じた。次世代チップのベラ・ルービンとグレース・ブラックウェルを搭載したシステムも値上げ対象だ。製品ごとの値上げ幅は、チップ世代とメモリー構成によって異なる。 世界の人工知能半導体市場を事実上独占する企業が、値上げの理由としてメモリーを挙げた。部品1つが完成品の価格表を再び書き換える状況になっている。 値上げ幅は小さくない。エヌビディアの最新AIサーバーは、ラック1台で数十億ウォン台とされる。15%ならラック1台あたり数億ウォンが上乗せされる。数万台を買い入れる大手顧客なら、追加負担は兆ウォン規模に膨らむ。 サーバー価格が上がる理由 AIサーバーの中では、演算チップとメモリーは働き手と資材倉庫の関係にある。エヌビディアのチップが計算を担い、高帯域幅メモリー(HBM)などのDラムが、その計算に必要なデータを絶え間なく運ぶ。倉庫が遅ければ、働き手は手待ちになる。AI性能競争がメモリー性能競争へと広がった理由だ。 メモリー価格は、大口顧客と四半期または半期単位で結ぶ供給契約に従って動く。契約を更新するたびに上昇した市況が反映され、サーバー原価を継続的に押し上げる構造だ。 問題は供給だ。世界のDラム市場は、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社が寡占している。3社は生産を増やしているが、AI拡大に伴う需要増のペースの方が急だ。Dラム価格は昨年下半期から急騰基調を続けている。 HBMの特性も供給難を深める。HBMはDラムを複数層に積み重ねて作るため、同じ容量でも通常のDラムよりウエハーを何倍も使う。メモリー各社がHBM生産に設備を回せば、通常Dラムの供給まで減る構造だ。サーバーはもちろん、PCやスマートフォン向けメモリー価格まで一緒に上がる理由だ。 HBM市場では、SKハイニックスがエヌビディア向け主力供給者の座を守り、サムスン電子とマイクロンが追い上げてきた。通常Dラム価格まで上昇し、3社すべての収益が膨らむ局面だ。 力関係が逆転した ブルームバーグは、エヌビディアの値上げ予告がメモリー企業の交渉力強化を示していると指摘した。メモリーは長らく景気次第で価格が大きく揺れる「弱い立場」と見なされてきた。今では完成品市場の最強企業が、メモリー価格を理由に顧客へ値上げ通知を送る側になった。 需要側に選択肢は多くない。マイクロソフト、グーグル、アマゾン、メタは自社AIチップを開発している。それでも大規模データセンターを建てるには、エヌビディアのチップが必要だ。エヌビディアがデータセンター向けに最適化したチップと開発エコシステムを一体化しており、乗り換えが難しいためだ。 値上げは、エヌビディアの利益防衛策でもある。メモリーの原価負担を自社が抱えれば、利益率が削られる。独占的地位を持つ企業は負担を顧客へ転嫁でき、実際にその力を行使したことが確認された形だ。 通知どおりに実施されるかは、今後見極める必要がある。顧客側も、自社チップ開発や調達先の多様化で対抗している。最終的な上昇幅は、交渉の過程で調整される可能性が残る。 自分のクラウド料金まで上がるのか 値上げ分は連鎖的に波及する。サーバー価格が上がれば、データセンターを建設するクラウド企業のコストが増える。クラウド料金が上がれば、その上で動くAIサービスの原価も上昇する。企業向け料金が先に動き、無料で使っていたサービスが有料化したり、利用料が上がったりする形で消費者に届く可能性がある。 体感はすでに始まっている。通常Dラム価格の上昇で、PCやスマートフォンの製造原価も上がっている。メモリーのスーパーサイクルが、データセンターを超えて日常機器の値札まで揺さぶる流れだ。 韓国経済にとっては、まず追い風だ。メモリーは韓国の輸出品目で1位であり、価格が上がればサムスン電子とSKハイニックスの利益が膨らむ。値上げしても売れる局面は、両社の業績に直結する。増設投資が続けば、素材・部品・装備業界にも受注が広がる。 PCの買い替えや大容量メモリーの購入を先送りしてきた消費者なら、価格の流れを注視する必要がある。業界では、供給不足がしばらく続き、来年まで上昇基調が続くとの見方が優勢だ。 韓国株式市場で半導体株が指数の流れを主導してきたことを踏まえると、完成品メーカーが値上げを受け入れるほど需要が堅調だというニュースは、業況持続のシグナルとして読めるとの分析もある。 ただし、サイクル警戒論もある。メモリー市場は、好況時の増設が2~3年後に供給過剰へ転じることを繰り返してきた。2018年の好況直後、2019年に価格が急落したのが代表例だ。今着工した工場の生産分が大量に出回る時期にAI需要が鈍れば、価格は逆方向に動く。 企業の対応も分かれる。クラウド利用企業は長期契約で料金を固定したり、購入時期を分散したりして値上げの衝撃を和らげられる。AIサービス企業は、キャッシュ機能などコスト削減技術で原価上昇を吸収する努力が不可欠になった。 メモリー起点の値上げは、AI産業の費用構造が変わりつつあることを示すサインだ。チップ性能競争の裏で、メモリー確保競争が勝負どころとして浮上している。値上げ分がどこまで転嫁されるのか、増設分がいつ市場にあふれるのかが、来年の半導体市場を読む2つの注目点になる。
Read more社会
環境

グーグルのAIで「飛行機雲」を消す…航空温暖化の3分の1を削減する実験
グーグルと英国政府が、飛行機が空に残す白い筋「飛行機雲」を減らす実験「オペレーション・ブルー・スカイズ」を進める。北大西洋のシャーンウィック空域で30カ月間にわたって実施される。 飛行機雲は、地球から逃げ出す熱を閉じ込め、大気を温める。航空産業全体の気候への影響のうち、約3分の1を占めると推定されている。 グーグルのAIが飛行機雲が発生しやすい空域を予測すると、管制官が航空便の高度を最大2000フィート(約610メートル)調整する。年間1万便のうち、経路を変更するのは1〜5%にとどまる。 実験予算は500万ポンド(約94億円)で、英国政府が半分以上を負担する。グーグルは140万ポンド(約26億円)を無償で支援し、衛星画像で効果を測定する。 新しい燃料やエンジン開発なしに、空の航路を調整するだけで温暖化を抑える低コストの気候対策になり得るとして、世界の航空業界が結果を注視している。 飛行機が空に残す白い筋「飛行機雲」を人工知能(AI)で避ける実験が始まる。 米ITメディアのエンガジェットは19日(現地時間)、グーグルと英国政府が飛行機雲の発生を減らす共同実験「オペレーション・ブルー・スカイズ」に乗り出すと報じた。実験の舞台は北大西洋北東部のシャーンウィック空域だ。欧州と北米を行き来する航空機が通過する要所である。実験は30カ月続き、実際の経路調整は今後2度の冬にわたって行われる。 ◆ 飛行機雲とは何か? 飛行機雲は、ジェットエンジンが吐き出す排気ガスの周囲で水蒸気が凍りついて生じる。冷たく湿った空気を通るとできやすい。晴れた日の空に長く引かれる白い線こそが飛行機雲だ。 見た目は無害だが、気候には負担となる。飛行機雲が薄い雲のように空を覆うと、地球が宇宙へ放出すべき熱が閉じ込められる。 夜に布団をかけると暖かさが逃げないのと同じ原理だ。研究者らは、飛行機雲が航空産業全体の気候影響の約3分の1を占めると推定している。二酸化炭素の排出に劣らない要因でありながら、目に入りにくいため対策が遅れていた。 飛行機雲は科学的に測定されてきた現象だ。航空機が密かに化学物質を撒いていると主張する「ケムトレイル」陰謀論とは無関係である。 ◆ 航路を600メートル変えるだけで違う 実験では、グーグルのAI予測モデルが飛行機雲が発生しやすい大気の区域を事前に特定する。その後、英国の航空管制機関NATSの管制官が、その区域を通る航空便の高度を最大2000フィート上下させる。航空便は通常の運航範囲を外れない。乗客が経路変更に気づきにくい程度だ。 調整対象は少数に限られる。実験期間中、シャーンウィック空域を通過する航空便は年間約1万便だが、経路を変える飛行機は1〜5%にとどまる。先行する小規模実験では、AI予測が温暖化を引き起こす飛行機雲が生じる区域を見つけ出せることが確認されている。 グーグルは予測モデルを提供し、衛星画像と機械学習で飛行機雲が実際に減ったかを測定する。参加の対価は受け取らず、140万ポンド(約26億円)を拠出する。AP通信によると、総予算500万ポンド(約94億円)のうち半分以上は英国政府が負担する。英国気象庁やインペリアル・カレッジ・ロンドン、ケンブリッジ大学、非営利組織コントレイルズも協力する。 ◆ 低コストの気候対策となるか 航空分野の炭素削減は、費用も時間もかかる課題だ。持続可能航空燃料(SAF)はまだ高価で、新型エンジンの開発には数十年かかる。 飛行機雲回避は、既存の航空機をそのまま使い、航路だけを調整すればよい。実験が成功すれば、航空業界が直ちに使える最も安価な気候対策になるとの期待がある。 迂回すれば燃料消費が増え、二酸化炭素排出が増えるという指摘もある。予測が外れれば無駄になる可能性もある。今回の実験は、効果と副作用を比較衡量する実際のデータを初めて大規模に確保する場となる。 結果次第では、飛行機雲回避が世界の管制標準として広がる可能性もある。長距離国際線の比重が大きい韓国の航空業界にも、他人事ではない。空に引かれた白い線一本が、航空の気候対策の順序を変えるのか。2度の冬が過ぎれば答えが出る。
ESG/CSR
生活

ハッブルより100倍広く見る、ローマン望遠鏡30日打ち上げ
宇宙の大半は、まだ正体不明だ。見えている星や銀河をすべて合わせても、宇宙全体の構成の5%にも満たない。残りを追跡する次世代宇宙望遠鏡が今月末、打ち上げ台に上がる。 米航空宇宙局(NASA)は、次世代宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」を30日、フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げる予定だ。打ち上げにはスペースXのファルコン・ヘビー・ロケットが使われる。打ち上げ後、約3か月の試験を経て本格的な観測に入る。総事業費は40億ドル(約5,500億ウォン)前後と伝えられている。 名前はNASA初の主席天文学者、ナンシー・グレース・ローマンに由来する。ハッブル宇宙望遠鏡の誕生を主導し、「ハッブルの母」と呼ばれた人物だ。その名を冠した望遠鏡が、ハッブルの後継となる。 ローマンは、直径2.4メートルの主鏡と3億画素の赤外線カメラを備える。鏡の大きさは1990年に打ち上げられたハッブルと同じだ。主鏡は米国の偵察衛星用に製作された後、NASAに移管されたものを整えて使用する。これにより、開発費を抑えながらハッブル級の光学性能を確保した。 性能差は視野に表れる。ローマンの視野はハッブルより100倍以上広い。 ハッブルが鍵穴越しに部屋をのぞくようなものだとすれば、ローマンは窓を大きく開けて見るようなものだ。同じ解像度を保ちながら、一度により広い空を調べる。ハッブルなら数十年かかる大規模な調査観測を、数年で終えられる理由がここにある。 赤外線を使う理由もある。赤外線は宇宙のちり雲を通り抜け、遠方から来る間に波長が伸びた古い光まで捉えられる。初期宇宙の銀河や暗い天体を見つけるのに有利だ。 観測地点は地球から約150万キロ離れた重力平衡点だ。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が位置するのと同じ領域で、地球の影や熱の干渉を避け、安定した観測が可能となる。 2021年に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が狭い領域を深く掘り下げる望遠鏡だとすれば、ローマンは広く見渡す調査官だ。ローマンが興味深い天体を大量に見つけ、ジェームズ・ウェッブが精密観測で引き継ぐという分業が可能になる。 科学界の推定によれば、宇宙は見える物質が5%、暗黒物質が約27%、暗黒エネルギーが約68%で構成されている。暗黒エネルギーは宇宙膨張を加速させる正体不明の力だ。ローマンは超新星数千個までの距離を測り、膨張の歴史を復元する任務も担う。 銀河は、目に見える物質の重力だけでは説明できないほど速く回転している。見えないが重力を及ぼす何かがあるということだ。科学者が暗黒物質と呼ぶ存在だ。ローマンは数億個の銀河の形が重力でどの程度歪むかを測り、暗黒物質分布の地図を描く。 太陽系外惑星は、星の光を使った「虫めがね」で探す。手前の星の重力が、奥の星の光を一時的に明るくする重力マイクロレンズ現象を利用する。惑星があれば、明るさの変化曲線に微細な痕跡が残る。銀河中心部の数億個の星を休みなく見守る必要があるため、広い視野を持つローマンに適した任務だ。地球のような小さな惑星まで数千個を新たに見つけると期待されている。 ジュリー・マッケナリーNASA科学者は、「ローマンは天文学のあらゆる分野に影響を与えるだろう」とし、「これから出てくる予想外の発見がローマンを非常に興味深いものにする」と語った。 ローマン・プロジェクトには日本が参加した。太陽系外惑星の大気観測などに使われる装置の開発に貢献し、長野県にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設が観測データを受け取る地上局の役割を担う。 完成機の望遠鏡競争ではなく、装置と地上施設で持分を確保する戦略だ。参加国の研究者は、観測計画の策定とデータ活用に発言権を持つ。マッケナリー科学者も、日本の貢献を土台に科学研究が広がることを望むと述べた。 韓国も似た道を歩んできた。韓国天文研究院は、NASAの赤外線宇宙望遠鏡「スフィアエックス」の開発に参加し、昨年の打ち上げを共にした。宇宙航空庁の発足以後、国際大型プロジェクトへの参加拡大が次の課題とされる。部品や装置で名を連ねてこそ、技術と人材がともに育つというのが、これまでの事例が残した教訓だ。 宇宙望遠鏡技術は研究室にとどまらない。ハッブルの画像処理技術は医療画像の読影へ、観測用センサー技術はカメラ産業へと流れ込んだ。超大型観測が生み出すデータ処理技法も、産業のさまざまな分野に広がる。 装置参加がなくても道はある。ローマンの観測資料は、非公開期間なしにすぐ公開される予定だ。データ量は1日あたり数テラバイト規模と見込まれ、人工知能の分析ツールなしでは処理が難しい。データを先に分析した側が発見の主役になる構造だ。国内の大学や研究機関にとっては費用なしで開かれる機会であるだけに、データ分析人材と計算資源の準備が鍵となる。 打ち上げの様子はNASAのインターネット放送で生中継される予定だ。軌道に乗った後は、焦点調整と装置点検が続き、初の観測画像は試験終了後に公開される。 ハッブルは36年間にわたり、宇宙の年齢と膨張速度を書き換えることになった。ローマンもまた、教科書を書き換える発見を予告している。試験運用が終わる今年末から観測が始まれば、宇宙の95%を満たす未知がどこまで解き明かされるかが明らかになる。






















