ビジネス
SKハイニックス「インテルの米オハイオ工場買収はない」…米国ファブのシナリオは
SKハイニックスは22日、インテルの米オハイオ半導体工場の買収推進報道について「買収計画はない」と否定した。5年以内の米国でのメモリー生産を目標に交渉中だという前日の報道を受けた対応だ。 インテルはオハイオ州ニューオールバニに工場2棟を建設しているが、経営難に伴う投資縮小で稼働時期が2030年以降に後ろ倒しになっている。 否定にもかかわらず見方が続く背景には、崔泰源SKグループ会長の発言がある。来年はメモリー需要が60~100%増えるとし、米国を含む新たな生産拠点の必要性を繰り返し訴えてきた。 SKハイニックスの米国生産拠点は、建設中のインディアナHBMパッケージング工場だけだ。ウェハーを生産する前工程ファブを新たに建てるのか、既存施設を買うのかが今後の注目点とされる。 SKハイニックスが22日、インテルの米オハイオ半導体工場の買収推進報道について「買収計画はない」と否定した。 SKハイニックスがインテルの米オハイオ州半導体工場敷地と施設を買収するという報道を否定した。22日の業界によると、オハイオ半導体キャンパスの買収推進報道について「買収計画はない」という立場を明らかにした。 前日には、SKハイニックスが5年以内に米国内でメモリー半導体を生産することを目標に、インテルとオハイオ工場の買収交渉を進めていると報じられた。 単独報道の形で出た買収説は、会社の公式否定により一日でいったん収束した。しかし半導体業界では、米国内でのメモリー生産の可能性そのものが閉ざされたわけではないという解釈が出ている。グループ総帥が米国での新工場建設の可能性を相次いで言及してきたためだ。 ◆建設途中のインテル工場、買収説が出た背景がある インテルはオハイオ州ニューオールバニに工場2棟を建設しているが、経営難に伴う投資縮小で稼働時期が2030年以降に後ろ倒しになっている。 買収説の舞台となったインテルのオハイオキャンパスは、ニューオールバニで建設中の半導体工場2棟だ。インテルが2022年、初期投資額200億ドルを掲げて発表した大型事業である。 インテルは経営難と投資調整により、昨年、大規模な人員削減と投資縮小計画を発表し、この工場の稼働時期も当初計画より遅い2030年以降へと延期した。 建設途中の大型工場は、買収する側から見れば時間を短縮できる物件だ。用地確保や許認可、基盤工事にかかる数年を省けるからだ。米国で生産拠点を急いで整えたい企業と、投資負担を軽減したいインテルの利害が一致するという見方が、買収説の土台だった。 米国政府による国内投資の圧力と、半導体サプライチェーン再編の要求も買収説が出た背景として挙げられた。買収が成立すれば、5年以内に米国現地でメモリー生産が可能になるというシナリオだった。 両社の取引は初めてではない。SKハイニックスは2020年、インテルのNANDフラッシュ事業部を約88億ドルで買収する契約を結び、米国子会社ソリダイムの設立と中国・大連工場の譲り受けを経て、昨年その手続きを完了した。こうした経緯が今回の買収説に蓋然性を与えたという解釈も出ている。 SKハイニックスは明確に否定した。上場企業が買収報道に対して公式見解を出すのは、株価や投資判断に影響する事案であるため、市場の混乱を抑えるための手続き的な意味合いがある。ただし、否定の対象はオハイオ工場の買収という特定の取引であり、米国を含む海外生産拡大の検討自体を否定したわけではないという評価が業界では出ている。 ◆需要は倍増、供給は横ばい…発言が残した余地 崔泰源会長は15日、全国経済人連合会済州フォーラムの記者懇談会で「今年より来年は60~100%多くメモリーを求められている」と述べた。 市場が買収説に敏感に反応した背景には、崔泰源会長の最近の発言がある。メモリー供給不足がAIデータセンター投資拡大と重なる中、HBMとサーバー用DRAMの生産能力拡大は業界共通の課題として浮上している。 崔会長は15日、韓国商工会議所の済州フォーラム記者懇談会で「今年より来年は60~100%多くメモリーを求められている」と述べた。来年は供給がほとんど増えないため、需要と供給の差がさらに広がるほかないという診断も示した。供給量を早く増やすには規模が大きくなければならず、世界中から候補地を探して優先順位をつけ、迅速に建設すべきだという趣旨だった。 米国投資への言及はさらに直接的だった。崔会長は10日(現地時間)、米ニューヨークのNASDAQ本社での記者懇談会で、条件に合う場所なら米国でも世界のどこでも構わないという立場を示した。最大の市場は米国にあり、相当な収益も米国から生まれ、多くの顧客が米国内での工場建設を望んでいると説明した。 同日、海外メディアとのインタビューでは、電力と用水、用地、人材、サプライチェーンが整うなら米国に工場を建てられない理由はないと述べた。米国での前工程投資の前提条件をトップ自ら提示した格好だ。一連の発言は、SKハイニックスがNASDAQに米国預託証券(ADR)を上場した直後に出た。米資本市場へのデビューと投資示唆が重なり、現地生産への期待を高めた側面がある。 AIサーバー向けメモリー需要が供給を上回る局面で、トップが新たな生産拠点の必要性を繰り返し強調したことで、市場は次の手として米国工場の候補地を探し始めた。インテル・オハイオ買収説が力を得た土壌だという分析が出ている。会長発言の後、証券業界では米国投資観測が続き、今回の買収説もその延長線上で出たとの評価だ。 ◆新設するか、買って改修するか、選択肢は分かれる SKハイニックスが米国で保有する生産拠点は、まだ限られている。インディアナ州で高帯域幅メモリー(HBM)の後工程中心の先端パッケージング工場を建設しているだけで、ウェハーを生産する前工程ファブの建設計画は公式化していない。 …
Read moreトランプ301条関税が目前…韓米15%合意が試される
米連邦最高裁の相互関税違法判決で、暫定的に導入されていた10%のグローバル関税が24日(現地時間)に失効する。米トランプ政権は、これに代わる貿易法301条関税へ切り替える準備を進めている。 米連邦最高裁の相互関税違法判決で、暫定的に導入されていた10%のグローバル関税が24日(現地時間)に失効する。 米通商代表部(USTR)は3月から貿易法301条を用い、過剰生産と強制労働の2項目で各国を調査してきた。グローバル関税の失効後を見据えた布石だ。 ◆ 最高裁判決が生んだ空白…122条から301条へ 関税制度転換の出発点は司法判断だった。連邦最高裁は2月、トランプ政権の相互関税を違法と判決した。行政当局は貿易法122条に基づく10%のグローバル関税で防波堤を築いた。 122条関税は制度上、当初から期限付きだった。法律そのものが賦課期間を150日に制限しており、延長はできない。失効日が7月24日と定められた背景にはこうした事情がある。トランプ政権が新たな法的根拠を急いで整えてきた理由でもある。 貿易法301条は、外国政府の不当または差別的な慣行に対し、関税賦課などで対応する権限を行政に与えている。違法とされた根拠の代わりに、裁判所が問題視しなかった別の法条項へ関税の土台を移す形だ。 301条には賦課期間の別途制限がない。期限付きだった122条と異なり、恒常的に維持できる手段であることから、関税政策の法的土台を安定させる狙いだとの見方が出ている。 関税を課す名目も変わる。相互関税が貿易赤字を理由に一律で賦課されたのに対し、301条関税は過剰生産と強制労働という個別事由を国ごとに適用する方式だ。通常は12か月ほどかかる301条調査が3、4か月で最終段階に入ったことについては、失効時期に合わせたスピード戦との解釈が出ている。 ◆ 強制労働12.5%を先行…過剰生産は後から上乗せ 調査対象は、過剰生産16の経済主体、強制労働60の経済主体だ。韓国はいずれの項目にも挙げられた。 2つの関税は進行速度が異なる。強制労働関税は10~12.5%を課す計画が先月初めに発表され、公聴会も終えており、確定発表を待つ段階だ。一方、過剰生産関税は、まだ賦課計画すら示されていない。発表後に公聴会の手続きを踏むことを考えると、24日以前の確定は物理的に難しい。 過剰生産と強制労働という名目自体が、特定国を狙ったものではなく、広範囲に賦課できる根拠として設計されている点も特徴だ。強制労働項目だけで60の経済主体が挙げられていることから、実質的には大半の貿易相手国に適用可能な枠組みだとの評価もある。 強制労働と過剰生産の確定時期がずれることで、グローバル関税の失効に合わせ、早ければ今週中にもUSTRが強制労働関税を先に確定するとの観測が出ている。後に過剰生産関税が確定すれば、強制労働関税に合算される構造だ。韓国は強制労働関税12.5%に過剰生産関税が上乗せされる。 根拠法が変われば、輸出企業が直面する条件も再編される。税率や適用品目、賦課手続きが新たに設計されるためだ。失効と代替が数日差で進むだけに、通関や契約実務で混乱が生じる懸念も出ている。 関税拡大は複数国へ広がる兆しもある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は21日、トランプ大統領が今週中に数十か国へ新関税を課せるよう、複数の方策を準備していると関係者の話として伝えた。トランプ大統領は20日にも、301条ではなく1930年制定の関税法338条を根拠に、カナダ製品の大半へ50%の追加関税を予告している。 ただしホワイトハウス高官らは、昨年各国と結んだ貿易合意を尊重し、交易相手国との関係を安定的に保つ必要があると助言したとされる。11月の中間選挙を前に、貿易戦争による経済ショックや市場不安を受け入れる理由はないとの判断だ。 ◆ 焦点は15%上限…適用方式で変わる 合意尊重の流れと強硬姿勢が併存する状況は、予測を難しくする要因と指摘される。最重要同盟国のカナダにも50%関税を予告した前例に照らせば、合意国という地位が自動的な安全弁になるわけではないとの慎重論もある。 韓国の関心は15%上限の維持可否に集まっている。韓国は米国と15%の関税で合意しているため、301条関税が15%を超えれば、合意違反にほかならない。 兆しはひとまず前向きだ。ジェイミソン・グリアUSTR代表は先月初め、合意上の関税上限を尊重すると公に述べた。韓米の高官間の意思疎通でも、15%上限は守られるとの言及があったと伝えられている。 15%という数字だけを見れば、すでに賦課予告されている強制労働関税12.5%との余地は2.5ポイントしかない。過剰生産関税がいくらに設定されるかによっては、上限を超える構造だ。 …
Read moreギャラクシーアンパック2026今夜…フォールド8の3機種観戦法
サムスン電子は22日午後10時(韓国時間)、英国ロンドンで「ギャラクシーアンパック2026」を開き、ギャラクシーZフォールド8、フォールド8ウルトラ、フリップ8を公開する。フォールドブックのラインアップは、ウルトラの追加により2機種から3機種へ増える。 フォールド8は、4対3比率の7.6インチ画面を備えた、パスポートサイズのワイド型だ。動画視聴のしやすさを意識した設計である。ウルトラは8インチ画面に、歴代最薄・最軽量級の重量、2億画素カメラを備えるとみられている。 今回初公開されるスマートグラス「インテリジェント・アイウェア」も注目を集める。グーグルとアンドロイドXRを基盤に開発され、ジェントルモンスターやワービー・パーカーとデザイン面で協業した。 メタが世界のスマートグラス市場の約80%を握るなか、サムスンとグーグルの連合がこの競争構図を変えられるかが見どころとされる。 サムスン電子は22日午後2時(現地時間)、英国ロンドンのオールド・ビリングスゲートで新製品発表イベント「ギャラクシーアンパック2026」を開催する。韓国時間では同日午後10時で、イベントはオンラインでも生中継される。 公開が予想される製品は、次世代フォルダブルスマートフォンのギャラクシーZフォールド8とフォールド8ウルトラ、フリップ8、スマートウォッチのギャラクシーウォッチ9とウォッチウルトラ2、そして初のスマートグラス「インテリジェント・アイウェア」などだ。 イベント全体を貫く流れは2つに要約される。フォルダブルのラインアップを細分化して需要を分ける戦略、そしてスマートフォンを超えて眼鏡型AIデバイスへ領域を広げる試みだ。 ◆ フォルダブルが2種から3種へ、ラインアップが分かれた 防弾少年団(BTS)のJ-HOPEが自身のインスタグラムを通じて、サムスン電子の未公開フォルダブルスマートフォンとみられる製品を公開した。該当機種は次世代モデルの「ギャラクシーZフォールド8」と推定されている。(写真=J-HOPEのインスタグラム) 最大の変化はフォールド8ウルトラの新設だ。フォールドとフリップの2機種体制だったフォルダブルのラインアップは、今年から3機種に増える。 基本型のフォールド8は、画面の文法を一新した。閉じた状態では5.5インチの10対16比率のカバー画面、開いた状態では7.6インチの4対3比率のメイン画面を備えるパスポートサイズのワイド型だ。従来のフォールドシリーズは画面が細長く、動画視聴時に上下が切れる不満があったが、ワイド型はそれに対応した設計だと業界ではみられている。 フォールド8ウルトラは、従来の画面比率を引き継ぐプレミアムモデルだ。8インチのメイン画面でマルチタスク性能を高め、重量と厚みはフォールドシリーズ史上最薄・最軽量級になると伝えられている。カメラは2億画素のメインセンサーと、フォールドシリーズ初の5000万画素超広角センサー、バッテリーは5000mAhの大容量を搭載すると予想される。 ラインアップの細分化は、ギャラクシーSシリーズで実証された手法だという評価もある。ベーシックモデルとウルトラで価格帯と性能を分け、大衆需要とプレミアム需要の双方を取り込む方式である。フォルダブル市場が成熟期に入るなか、1つの製品であらゆる需要をまかなうのは難しくなっているとの判断が背景にあるとみられる。 サムスン電子は2019年に初のフォルダブルを投入して以降、毎年世代を更新してきた。8世代目でラインアップを3つに分けた決定は、フォルダブルをニッチではなく主力商品群へ育てるという宣言と解釈される。 開催地の選定にも意図がうかがえる。サムスン電子は2024年のパリ・ルーヴル美術館に続き、欧州の主要都市でフォルダブルのアンパックを続けている。アップルが強い欧州市場でフォルダブルの首位を固める狙いだという見方が出ている。イベントを前に、ロンドン中心部のピカデリー広場や2階建てバス、主要地点の大型電光掲示板がアンパック招待広告で埋め尽くされたという。 上下に折りたためるフリップ8も同時に公開される。折りたたむと手のひらサイズになる形で、フォールドが大画面の生産性を狙うのに対し、フリップは携帯性とデザイン需要を担う構図だ。 ◆ しわと厚み、フォルダブルの長年の課題に答えを出した フレックス・チタニウム・ディスプレイのイメージ(写真=サムスン電子) 技術面の見どころはフレックス・チタニウム・ディスプレイだ。チタン合金素材を使って画面のしわを減らし、薄さを実現する技術で、ギャラクシーのフォルダブルに初めて導入される見通しだ。 画面のしわと厚み、重量は、フォルダブル購入をためらわせる代表的要因とされてきた。折りたたみ画面特有のしわ、そして2つの画面を重ねた構造による厚みの負担である。新素材の採用は、フォルダブル普及の障害を正面から狙った試みだと分析されている。 フォルダブルスマートフォンは発売7年目に入ったが、全体のスマートフォン市場で占める割合はまだ1桁台にとどまるとの見方が多い。価格と耐久性、重量が普及の壁として指摘されてきた。 ソフトウェアも変わる。新製品には最新OSのOne UI …
Read more社会
環境

「エルニーニョのせいではなかった」…サンゴ白化の真犯人は人間だった [気候、だからどうする]⑤
連載を始めるにあたって 気候の記事はあふれている。記録が更新されたという知らせ、氷が溶けているという警告、何度上がったという数字。読者は知っている。地球が熱くなっているという事実を。 本当に知りにくいのは、その先だ。なぜある大陸は2倍の速度で熱くなるのか。なぜ豊かな都市が猛暑で崩れるのか。どの対策が実際に人を守ったのか。答えはいつも記事の外にあった。 世界保健機関は先月、欧州の猛暑期間における超過死亡者を1300人以上と集計した。同機関は、対応策があるだけで死亡を80%減らせたと明らかにした。言い換えれば、備えが不足していた分だけ被害が大きくなったということだ。気候危機はもはや気温の問題ではなく、備えの問題だ。 「気候、だからどうする」を始める。危機を知らせるだけでは終わらない。原因を最後まで掘り下げ、すでに検証された解決策を探す。失敗した対策も記録する。何が通用し、何が通用しなかったのかを見極めてこそ次がある。<編集者注> 高水温で共生藻が抜け出し、白くなったサンゴ礁。 サンゴの白化に関する長年の通念が覆った。海中で育つ色とりどりのサンゴが白く死んでいく現象について、これまで自然現象のエルニーニョが主因とみなされてきたが、実は人間が排出した温室効果ガスによる気候変動が原因だったという分析が出た。過去40年に地球が経験したサンゴの大量死の真の原因に迫った研究だ。 米国の気候研究団体クライメート・セントラルが主導した研究チームは21日、国際学術誌オーシャノグラフィーに論文を掲載した。過去40年間に地球で起きた大規模なサンゴ白化は、人為的な気候変動がなければ起こらなかったという結論だ。論文を率いたのはアンドリュー・パーシング、クライメート・セントラル最高プログラム責任者だ。 パーシング責任者は「気候変動がなければ、サンゴ白化はまれで局所的な事象にとどまっていただろう」とし、「地球規模の大規模白化はそもそも起きなかったはずだ」と述べた。海を温めた熱の出どころは自然ではなく人間だという診断だ。 研究が対象にしたのは、これまで記録された4回の大規模白化すべてだ。1998年に初めて観測されて以降、2010年、2014~2017年、2018~2025年まで続いた。いずれもエルニーニョの時期と重なる一方、地球気温が着実に上昇していた時期でもあった。研究チームは、この2つの要因が絡み合った結び目をほどき、人間の影響を切り分けた。 研究者が白化したサンゴの状態と被害範囲を調べている。 まず白化とは何かを押さえる必要がある。サンゴは植物のように見えるが、実際にはイソギンチャクと同じ仲間の動物だ。体内に「黄緑色共生藻」と呼ばれる微細藻類を抱えて生きている。 藻類は光合成で作った栄養をサンゴに渡し、サンゴ特有の色鮮やかな色合いも藻類によるものだ。両者は互いになければ生きにくい共生関係にある。サンゴが華やかな色を見せるのは、藻類が健康に生きている証拠だ。 問題は海水が熱くなりすぎたときに起こる。水温が限界を超えると、サンゴは体内の藻類を外へ吐き出す。色を作っていた藻類が抜けることで、サンゴの白い骨格がそのまま露出する。白く見える白化が起きる理由だ。 色を失ったサンゴは死んだわけではなく、飢えている状態だ。栄養を与えていた藻類がいなくなったからだ。水温がすぐ下がれば藻類が戻り、サンゴは息を吹き返す。だが高水温が長く続けば、サンゴは最終的に飢え死にする。最近のように、白化が回復の暇もなく繰り返されれば、サンゴ群は回復不能の坂道を転がり落ちる。 サンゴ礁はしばしば「海の熱帯雨林」と呼ばれる。狭い面積に数え切れないほど多くの生き物がすみついているからだ。サンゴがつくる凸凹した構造は、魚や貝、甲殻類の隠れ家であり産卵場でもある。サンゴが死んで骨格が崩れれば、海底は平坦な砂漠のようになり、そこに頼って生きていた生物も姿を消す。 2026~2027年のサンゴ白化リスクはエルニーニョより気候変動の影響が大きいことが示された。 研究チームが通念に反論した根拠は「帰属分析」と呼ばれる手法だ。特定の現象に人間活動がどれほど介入したかを数値で示す方法である。 研究チームは複数の気候モデルを用い、人間が排出した温室効果ガスが海面水温をどれほど押し上げたかを計算した。熱波や洪水が起きた際に、気候変動の影響が何%かを調べる分析と同じ原理だ。近年の気象災害報道で頻繁に登場する方法論でもある。 核心は「反事実シナリオ」だ。人間が化石燃料を燃やさなかったなら海水温はどうなっていたか、仮想の海をコンピューターで再現する方式である。実際の海と仮想の海を並べ、サンゴ白化リスクがどう変わるかを比較した。米国海洋大気局(NOAA)のサンゴ礁監視システムが作成した白化リスクモデルに結果を当てはめた。 結果は明瞭だった。2018年から2025年まで続いた白化事態では、白化が観測された71海域のうち、気候変動がなければ白化リスクにさらされたのはわずか1か所にすぎなかった。残り70海域の白化は、温暖化がなければ起こらなかったという意味だ。 1998年、2010年、2014~2017年、2018~2025年など、これまでエルニーニョと重なったすべての大規模白化でも同じ結論が出た。研究チームは、白化の閾値を超えさせた決定的な力は、そのたびに人間が生んだ温暖化だったと指摘した。とりわけエルニーニョの影響が大きいと考えられていた1998年の最初の事態でさえ、気候変動の明確な痕跡が残っていた。 海を漂うプラスチックごみ。サンゴ白化の主な原因は海洋温暖化と指摘された。 エルニーニョは、しばしばサンゴ白化の元凶と誤解される。エルニーニョは太平洋赤道付近の海水が平年より暖かくなる自然現象で、数年ごとに訪れて世界の気候を揺るがす。水温を押し上げる性質のため、白化がエルニーニョの年に集中し、原因と指摘されてきた。 だが研究チームの説明は違う。エルニーニョは、すでに熱くなった海に最後の熱を上乗せする引き金にすぎず、弾丸を込めたのは温暖化だというのだ。温室効果ガスで温められた海が、白化の閾値ぎりぎりまで水温を押し上げた状態で、エルニーニョが少し後押しすると白化が起きるという論理だ。土台となる温度がすでに危険水準に達していることが問題の本質だ。 …
ESG/CSR
生活

(17日)週末に200ミリの豪雨襲来…今すぐすべき大雨対策
中部地方では17日から3日間にわたり最大200ミリ以上の豪雨が予想されており、消防当局が非常対応体制に切り替えている。重要なのは、雨が降り出す前の残り時間だ。装備の事前配置と市民の先行対策が被害規模を左右すると指摘されている。 消防庁は16日午後、統合指揮調整統制センターで崔容哲・消防庁長職務代行主宰の集中豪雨対応状況点検会議を開き、全国の消防対応態勢を点検したと明らかにした。 気象の見通しによると、16日から17日にかけては光州・全北・全南などの全羅圏で30~80ミリ、沿岸部などの多い所では100ミリ以上の雨が降る。18日にはソウル・仁川・京畿など首都圏と江原で50~100ミリ、多い所では200ミリ以上が予想される。大田・世宗・忠南でも多い所は200ミリを超え、忠北でも最大150ミリ以上が見込まれる。 消防庁は17日午後4時から状況対策班を稼働させる。気象状況と地域別被害をリアルタイムで把握し、必要に応じて消防力を即時投入する体制だ。ソウル・仁川・京畿・江原など被害懸念地域の消防本部も同時刻から状況対策班を運営する。 蔚山119化学救助センターで運用する大容量放水システムを、17日午後6時までに忠北・忠州の忠清・江原119特殊救助隊へ移す。この装備は本来、大型油槽火災への対応のために導入されたが、大規模浸水地域の水を迅速に排出する排水作業にも使われる。 忠州は、豪雨が予想される首都圏、江原、忠清のすべてを射程に収める要衝だ。災害対応では装備が現場に到着する時間が被害規模に直結する。事故発生後に蔚山から出動するのではなく、被害懸念地域の近くで待機させることでゴールデンタイムを前倒しする狙いとみられる。 崔職務代行は「短時間に大量の雨が集中すれば、河川の氾濫や道路・住宅の浸水、土砂災害などで人的被害が発生する危険が高まる」と述べた。さらに「可用な消防力と装備を危険地域に先制配置し、国民の生命と安全を守るうえで隙がないようにする」と強調した。 行政安全部の国民行動要領によると、少しでも浸水した地下車道や道路は絶対に通ってはならない。見た目には浅く見えても、水の勢いと深さは判断できないためだ。小川沿いや河川敷、海岸は急流に巻き込まれる危険があり、近づくこと自体を避けるべきだ。山や渓谷の登山客は、斜面や谷から直ちに離れなければならない。田んぼの畦や水口の様子を見に行くのも禁物だ。 地下空間は時間との勝負だ。半地下住宅や地下商店の床に少しでも水が入り始めたり、下水が逆流したりしたら、直ちに避難しなければならない。外の水深が膝の高さ、約50センチを超えると、水圧のため一人ではドアを開けられなくなる。この場合は電源を切ったうえで、複数人で力を合わせて扉を開けて脱出しなければならない。階段からの浸水が足首の高さでも、子どもや高齢者には上るのが難しいため、流入が始まった時点で避難するのが原則だ。 一人で動くのが難しい近隣住民にも目を配る必要がある。行動要領では、移動が困難な高齢者や障害者など避難弱者がいれば、周囲に助けを求め、共に避難するよう案内している。半地下居住世帯が多い地域ほど、住民同士が互いに確認し合う連絡網が実質的な安全装置になるとの評価が出ている。 車両にも判断基準がある。水がタイヤの3分の2以上まで浸かる前に、安全な場所へ移動させなければならない。移動が難しい場合は、エンジンが止まる前に窓やサンルーフをあらかじめ開け、脱出経路を確保しておく必要がある。地下駐車場へ車を取りに入る行為そのものが命懸けとなる。 専門家が強調する解決策は、雨が降り始める前の準備にある。今できることだ。 まず家の周囲を点検すべきだ。排水溝や側溝が落ち葉やごみで詰まっていると、雨水はたちまち逆流する。事前に詰まりを取り除くだけでも浸水リスクは大きく減る。浸水が予想される半地下住宅や建物の地下駐車場の入口には、水止め板や土のうを設置しておくのが望ましい。河川敷や低地に止めてある車は、あらかじめ高い場所へ移すべきだ。 マンションや建物の管理主体の役割も大きい。地下駐車場の入口に水止め板や土のうを設置し、雨水が流れ込み始めたら車を出そうとする進入自体を遮断しなければならない。避難が必要な状況では、入居者を建物内の高い場所や近隣の避難施設へ案内する役目まで管理事務所が担う。 情報の受信経路も確保しておく必要がある。スマートフォンに行政安全部の安全ディディムドルアプリを入れておけば、気象特報や土砂災害・洪水の予警報をリアルタイムで受け取れる。国民災難安全ポータルや自治体のサイトで自宅周辺の避難場所を事前に確認し、家族が離れたときに再集合する場所を決めておくことも必要だ。避難経路は河川敷、山道、電柱や変圧器の周辺を避けて設定しなければならない。 屋内の安全対策もある。浸水や停電が懸念される場合は、ガスをあらかじめ閉めて二次事故を防ぎ、停電時にはろうそくの代わりに携帯用ランタンを使う。浸水した道路を歩かなければならない場合は、街灯や信号機、立て看板など屋外の電気設備から2~3メートル以上離れて感電を避けるべきだ。 雨が上がった後も油断は禁物だ。浸水した住宅は、電気とガスの安全点検を終えてから使用しなければならない。水が引いた道路も地盤が弱くなっている可能性があるため、損壊箇所への接近は控えるべきだ。 孤立したときは、無理な移動の方が危険だ。建物内にいるなら高層階へ移動して救助を待ち、119番に通報する際は、位置、人数、水が満ちていく速さを具体的に伝えなければならない。正確な通報が消防力配置の判断を早める。






















