アドビ(Adobe)は初のスマートフォン向けAI画像生成アプリ「ファイヤフライ(Firefly)」を正式にリリースしました。iOSとAndroidの両方で利用できるこのアプリは、単なる画像生成機能を超え、写真編集、動画生成、クリエイティブクラウドとの連動など、多様な機能を搭載しており、モバイル環境でも完全なクリエイティブ作業が可能となるよう設計されています。アドビは今回のリリースについて「AI創作の大衆化に向けた決定的な一歩」と強調しました。

ファイヤフライはテキスト入力だけで希望の画像を生成できる人工知能ベースのアプリです。既存のフォトショップで人気のあった「Generative Fill」や「Generative Expand」機能も搭載されており、画像の特定部分を修正したりサイズを拡大する作業も簡単に行えます。すべてのプロジェクトはアドビのクラウドサービスであるクリエイティブクラウドと自動的に連動され、デスクトップで作業を続行することも可能です。クリエイター、デザイナー、ソーシャルコンテンツ製作者など誰もが活用できる点が大きな強みです。
今回のアプリはアドビ独自のモデルだけでなく、グーグルの「Imagen」、「Veo」、オープンAI、Runway、Ideogram、Fluxなど、様々なサードパーティAIモデルを一つのアプリで使用できるように統合したことも特徴です。特にファイヤフライ画像モデル4、ファイヤフライ動画モデルを含めて合計10個以上のAIモデルを選択的に活用できます。アドビは「ユーザー個別の目的とスタイルに合ったAI体験を提供します」と述べました。
アドビはAIモデルの学習データにAdobe Stock画像と公共ドメインコンテンツのみを使用したことを再三強調しました。これはインターネット上の任意のコンテンツを集める競合他社と差別化される点です。特に商用コンテンツを製作する企業顧客には「知的財産権免責提供」という重要なメリットとして作用します。しかし、過去に一部の画像がMidjourneyから学習されたという疑惑については依然として明確な立場を示しておらず、透明性を強化するための追加説明が必要だという指摘もあります。
アドビは今回のアプリリリースを通じてAI画像生成技術の普遍化を宣言しました。実際にファイヤフライモデルを通じてこれまで生成されたコンテンツは240億件を超えており、AI機能が新規加入者の増加率を四半期ごとに30%以上牽引したことが明らかになっています。アプリは月10ドルから始まり、高度な機能および外部モデルの活用には追加料金が課されます。アドビは今後、ファイヤフライボード、映像生成機能などクリエイティブ協業ツールも共に拡張していく計画です。
モバイルアプリ一つで画像・映像の生成、編集、保存、共有まで可能なファイヤフライは、AI技術が単なる補助を越えて、クリエイティブプロセスの中心へ移行しつつあることを象徴します。アドビは技術と著作権、ユーザーの便宜の間でバランスを模索し、新たなAIエコシステムの主導権確保に本格的に乗り出す様相を呈しています。