人類は再び地球を離れた。54年ぶりである。
月面着陸を目指すNASA(米国航空宇宙局)の有人月探査プロジェクト「アルテミス2号」が現地時間1日に打ち上げに成功した。2日には月に向かうためのトランスファー軌道への進入燃焼を完了し、宇宙飛行士4名が地球軌道を離れた。アポロ計画終了以来、1972年以来のことだ。半世紀にわたる空白がようやく埋まった。
搭乗者は司令官リード・ワイズマン、パイロットヴィクター・グローバー、ミッションスペシャリストのクリスティナ・コック(以上、NASA所属)、カナダ宇宙庁所属のジェレミー・ハンセンである。彼らが乗るオリオン宇宙船は現在、月に向けて飛行中である。
月トランスファー軌道への進入とは、簡単に言えば、地球を周回する軌道から月方向に飛び出す瞬間を意味する。ロケットを再点火し速度を上げて方向を変えると、宇宙船は月の重力圏に引き込まれる軌道に入る。この燃焼が成功してこそ、月への旅が始まるのだ。

燃焼完了時点で、ワイズマン司令官はオリオン宇宙船の窓から地球を撮影した。NASAが公開した写真には、南極と北極の付近にオーロラが2つ写っており、右下には三角形の形をした黄道光も映っていた。
黄道光は、地球の公転軌道面に広がる微小な塵が太陽光を散乱させて生じる光である。地上では光害のため見ることが難しいが、宇宙では鮮明に捉えられる。

コントロールセンターは予定していた最初の軌道修正燃焼(OTC)を当日午後6時49分(米国東部時間)に予定していた。約8秒間推力を加え速度を秒速0.2m調整する作業である。小さな数値に見えるが、数十万kmを飛行する長い旅では、この微小な調整が最終到達地点を数百km変えることができる。
アルテミス2号が月に最も接近する時刻は6日午後(韓国時間7日午前)である。月の裏面7400km上空を通過し、これまでで最も遠い有人宇宙飛行記録を新たにする。以前の記録は1970年のアポロ13号が立てた約40万kmだった。月の裏側を通過する約40分間、地球との通信は完全に途絶える。

その40分間が今回のミッションで最も注目される瞬間である。月は自転と公転の周期が同じで、地球からは常に同じ面しか見えない。裏側は文字通り、人類が目で直接見たことのない領域である。宇宙飛行士たちは月を一周する6時間の間に、日光を受ける裏面の約20%を観測し撮影する。
NASAでは地上科学チームが既に観測リストを作成した。オリエンターレ盆地、フィエラッチョ衝突クレーター、オム衝突クレーターが主な観測対象である。人類の肉眼がこれらの地形を初めて直接目にすることになる。
月の観測に向けた準備作業も3日から始まった。手持ちカメラ2台に80~400mm望遠レンズと14~24mm広角レンズを取り付けて、機器を固定し、狭い船室内で4人がお互いにぶつからないように動く動線も調整した。船室の大きさはミニバン2台をつなげた程度である。
遠い宇宙飛行の際にも、乗組員たちの日常は細かく計画されている。3日のスケジュールには心肺蘇生法と気道閉塞への対応訓練、非常通信システムの点検、医療キットの確認が含まれていた。地球と同じように緊急事態は宇宙でもいつでも発生する可能性がある。違いは、即座の救助を期待できないという点である。
通信分野では新技術も検証された。クリスティナ・コークがオリオンに搭載された光通信システムを作動させ、米国内の2ヵ所の地上基地と接続した。高画質映像とミッションデータが地球に送信された。
これは従来の無線周波数方式よりもはるかに速くデータを送信できる技術である。このシステムが今後の月および火星探査で安定的に作動できるかどうかを今回のミッションで実証するのである。
操縦士ヴィクター・グローバーは地上とのビデオ通話で「本当に素晴らしく美しい光景」と話した。月に行く初の黒人宇宙飛行士である彼は「どこから来たか、どのように見えるか関係なく、私たちは皆一つだ」と語った。窓越しに広がる宇宙を見ての言葉だった。
アルテミス2号は月に着陸しない。今回は月周回をして帰還する飛行検証任務である。しかしこの旅で収集されるデータと経験は、次の月着陸任務であるアーティミス3号の基盤を築く。このようにして人類の月復帰は一歩ずつ近づいている。