イーロン・マスクが設立した人工知能企業xAIが、グーグルやメタなどグローバルなビッグテック企業出身のエンジニアを大規模に採用し、シリコンバレーでの人材戦争が本格化しています。
最近の報告書によると、xAIは2023年以降、少なくとも40人のグーグル出身者を採用し、今年1月以降はメタから14人が加わりました。特に2024年には、グーグルから19人がxAIへ移籍したことが明らかになっています。このような人材の流入は、xAIの主要AIモデルである「グロック(Grok) 4」の開発をサポートしていると評価されています。
マスクは、グロック4がOpenAI、グーグル、メタが発表した競合モデルを凌駕する性能を示すと主張しています。このような自信は、人材確保戦略と相まって、xAIの成長を加速する要因となっています。

マスクは、競合他社が高額な給与やストックオプションで人材をつなぎとめるのに対し、成果に基づく報酬制度を強調しています。彼は、最近、自身のSNSアカウントで「xAIは超実力主義の文化に基づいている」とし、「優れた成果を上げれば報酬が大幅に増える」と述べています。
マスクはさらに「メタからの多くのエンジニアが初期の報酬が多くなくてもxAIに加入している」とし、「xAIがメタよりもはるかに大きな成長可能性を持っている」と述べています。これは単なる給与競争よりも、会社のビジョンと成果中心の報酬制度が人材確保の重要な要素であることを示しています。
xAIの積極的な人材獲得にもかかわらず、一部の重要人材の離脱もありました。共同創業者のイゴール・バブシキン(Igor Babuschkin)はAI安全性研究に専念するために会社を去り、もう一人の共同創業者であるカイル・コシック(Kyle Kosic)はOpenAIへと転職しました。インフラエンジニアリング責任者だったウダイ・ルダラジュ(Uday Rudarraju)もまた会社を去りました。
それにもかかわらず、xAIはスーパーコンピューター「コロッサス(Colossus)」を基盤に研究開発を続け、昨年7月に次世代モデル「グロック4」を公開しました。このモデルは1.7兆個のパラメータを搭載しており、テキストだけでなく画像や映像も処理できるマルチモーダル機能をサポートしています。また、最大25万6千トークンの文脈を処理でき、金融・医療・法務・科学など特定分野で深い知識を提供するのが特徴です。
xAIだけでなく、メタも最近チャットGPT共同開発者であるシェンジア・ジャオ(Shengjia Zhao)を最高科学者として迎え入れ、OpenAIチューリッヒ研究所出身の研究者3名を含めた合計4名を採用しました。また、xAIはメタの代表的な言語モデル「ラマ(LLaMA)」の開発に関わった研究者たちを採用しました。
マイクロソフトも最近数カ月間でグーグル出身の従業員20余名を採用したことが知られています。グーグル、メタ、OpenAI、マイクロソフト、そしてxAIに至るまで、主要企業間での人材移動は単なる転職を超え、次世代の大規模な言語モデル開発をリードするための構造的競争として位置付けられています。
韓国企業にとっても、この事例は重要な示唆を与えています。グローバルAI産業の主導権を巡る人材確保競争は、単なる採用戦争を超えて、技術革新の速度と国家競争力に直接的な影響を与えています。若い企業であるxAIがわずか2年でビッグテック企業の主要研究者を引きつけ、市場の構造を揺るがしている点は、韓国企業にも大きな示唆を与えています。
韓国は半導体、バッテリー、通信分野で強みを見せているが、AI研究開発人材は相対的に不足しているという評価があります。グローバル競争に後れを取らないためには、大規模な研究インフラの構築と成果中心の報酬体制、長期的なビジョンの提示が必要であることを今回のケースは示しています。