韓国・ソウル市ソチョ(瑞草)区は20日、アマゾンウェブサービスコリア(Amazon Web Services Korea、以下AWS)と「AI分野における相互発展のための業務協約」を締結したと発表しました。
今回の協約は、ソチョ区のヤンジェ(良才)・ウミョン(牛眠)地区に指定された「AI特区」内にある人工知能スタートアップ企業が、高性能なクラウドリソースをより効率的に活用できるよう支援することを目的としています。また、長期的な官民協力の基盤を構築する意義も込められています。
ソチョ区は2023年11月、同地区が韓国初のAI特区に指定されたことを受け、AI産業のエコシステムを活性化させるためのインフラ整備に力を入れてきました。今回のAWSとの提携も、その一環としてクラウドインフラ支援の強化を目指すものです。
AWSは、Amazon.com傘下のクラウドコンピューティング部門で、世界のクラウド市場でトップシェアを誇っています。韓国内でも多くの企業が同サービスを利用しています。
今回の協約により、ソチョ区が運営する「高性能コンピューティングインフラ支援事業」に参加する企業がAWSを利用する場合、専用の優遇措置が提供されます。これにより、スタートアップはクラウド使用時のコスト負担を軽減し、技術開発に集中できる環境が整備されます。
同支援事業は、AI特区に所在する14の研究開発企業を対象に、計2億2,000万ウォン(約2,400万円)相当のクラウドリソースを提供するもので、AWSのほかNaver Cloud Platform(NCP)、Microsoft Azure、KT Cloudなどの主要プラットフォームも自由に選択可能です。
また、提供される支援にはコンピューティングリソースだけでなく、運用管理、セキュリティコンサルティング、保守、障害対応といった運用面のサービスも含まれています。これにより、創業初期や中小規模のAI企業に対し、より安定した研究開発環境が整えられ、地域産業クラスターの形成が加速する見通しです。
ソチョ区ではAI特区を核とした都市発展戦略として、「インフラ構築・投資・人材育成」の3大マスタープランを掲げています。今年6月には優良企業支援センターの竣工が予定されており、総額300億ウォン(約33億円)規模のスタートアップ向けファンドも運用中です。今後5年間で1,100億ウォン(約120億円)規模まで拡大される予定です。
ソチョ区のチョン・ソンス区長は、「今回の協約は、優秀な人材が安心して成長できる土台づくりとして重要な一歩です」とコメントしました。