テスラ2025年のホリデーアップデート公開 – AIアシスタント搭載で車がOSへ

Photo of author

By Global Team

「これからは車が直接対話し、道案内をします」

テスラが毎年年末に公開する「ホリデーアップデート」が今年も発表されました。今回の2025年のアップデートは、単なる機能改善を超え、車が自ら判断し、言葉を理解するレベルに進化したと評価されています。

今回のアップデートの中心は、テスラが独自に開発した人工知能アシスタント「グロック(Grok)」です。グロックはイーロン・マスクが設立した人工知能企業xAIの技術に基づいて車内の音声インターフェースに統合されました。

これにより、運転者はナビゲーションを手で操作する必要がなく、「家に行く前に充電ステーションに寄って」や「2番目の目的地を追加して」と話すだけで済みます。一度の音声命令で複数の目的地を追加することも可能です。ただし、この機能はアメリカとカナダのAMDチップ搭載車に限定され、インテルチップベースの車両は今回のアップデートから除外されています。

ネビゲーション グロックGrok
ネビゲーション グロックGrok

ナビゲーション、充電、道路案内まで「車が自ら判断」

テスラは、運転中に頻繁に不便だとされていたナビゲーション機能を大幅に改善しました。お気に入りリストをユーザーの希望に沿って並べ替え、家や職場の位置も地図上に直接表示して保存することができます。

駐車状態の時は、最近訪れた場所やよく訪れる目的地を車が自動で推薦します。ある種のカスタマイズされた移動パターン分析機能です。

また、「場所別の充電制限設定」機能は実質的な改善点の一つです。例えば、家では80%まで、会社では100%まで充電するように事前に指定すると、車がその場所に到着した時に自動で充電制限を調整します。毎回手動で調整する手間を省きました。

さらに、乗車専用車線(HOVレーン)経路設定も一層賢くなりました。以前は手動で選択する必要がありましたが、今では車が時間、位置、同乗者数を感知して自動で乗車専用車線を活用します。

3Dスーパー充電器地図、「充電所も一目で見える」

テスラは、自社の充電所であるスーパー充電器の情報を3Dで表示する機能を追加しました。特定のスーパー充電器を選択すると、「サイトマップを見る」ボタンが現れ、これをクリックすると充電所の全景が立体地図で表示されます。

画面では充電スロットごとのリアルタイム使用状況も確認できます。運転者は到着前にどの場所が空いているかを見て事前に選択することができます。

この機能はグラフィックレンダリングを必要とするため、AMDチップを搭載した車から優先的に適用される展望です。テスラはインテルベースの車両にも一部の機能を制限的にサポートする計画です。

3Dスーパー充電器地図
3Dスーパー充電器地図

スマートフォンを置き忘れたら車が教えてくれる

テスラが数年間ユーザーコミュニティで最も多く要望された機能の一つが、ついに追加されました。ドアを閉めた後に車内にスマートフォンが残っていると、数秒後に警告音を鳴らす「フォンを置いて出た時の警告」機能です。

これは超広帯域(UWB)通信チップを利用して車内に残ったデバイスの存在を感知する方式です。2024年以降に発売されたモデル3、2025年型モデルY、2021年以降のモデルSとX、そしてすべてのサイバートラックがサポート対象です。

また、ワイヤレス充電パッドをオフにする機能も新たに追加されました。それまではワイヤレス充電中の発熱が多いとの指摘が多かったのですが、これで運転者が直接充電パッドを無効化することができます。

ブラックボックス、音楽、写真まで…運転中「車内がスマートフォンに」

ダッシュカム(ブラックボックス)ビューアーのアップグレード
ダッシュカム(ブラックボックス)ビューアーのアップグレード

ダッシュカム(ブラックボックス)ビューアーも一段階アップグレードされました。映像上に車両の速度、ステアリング角、加速とブレーキ、自動運転機能の使用可否など運行データを同時に表示します。オンラインにアップされた映像だけでも当時の車両状態を明確に確認できるようになりました。

音楽ストリーミングサービスであるSpotifyアプリも改善されました。検索中にも現在再生中の音楽を止めずに新しい曲をプレイリストに追加することができ、長いプレイリストを途切れずスクロールすることができます。

フォトブース機能の追加
フォトブース機能の追加

また、車内のカメラを活用してセルフィーを撮影できる「フォトブース(Photobooth)」機能も追加されました。運転者は撮影した写真にステッカーを貼り付け、テスラアプリを通じて即時共有することができます。

サンタモード、ライトショー、ゲーム…テスラ式「年末イベント」

テスラの伝統的な年末機能であるサンタモードも新しく生まれ変わりました。雪だるま、ツリー、プレゼントボックスなどのグラフィックが追加され、錠前音にも新しい効果音が適用されました。車両画面には雪が降るアニメーションが現れます。

サンタモード・アップデート
サンタモード・アップデート

新しいライトショー「ジングルラッシュ(Jingle Rush)」も追加されました。照明効果と室内照明制御が一層強化され、ユーザーが制作したカスタムライトショーをより長く再生できるようになりました。

カスタムライトショー・アップデート
カスタムライトショー・アップデート

テスラアーケードにはSpaceXの宇宙ステーションドッキングシミュレーターが新しく追加されました。実際のNASA宇宙飛行士が使用するインターフェースを基に設計されており、運転者はまるで宇宙船操縦士になったかのような体験ができます。

テスラアーケード スペースXの宇宙ステーションドッキングシミュレーター追加
テスラアーケード スペースXの宇宙ステーションドッキングシミュレーター追加

カープレイは含まれないが、テスラの方向性は「独自のエコシステム」

今回のアップデートでApple CarPlayは含まれていません。一部では、テスラが独自のエコシステムを守るために外部プラットフォーム統合を意図的に除外しているとの分析が出ています。

テスラは今回のアップデートをバージョン2025.44.25と名付けました。早ければ来週から一部のテスラ社員用車に先行配信を開始し、年末までに一般ユーザーに拡大する予定です。

2025年ホリデーアップデートは単なる機能追加のレベルではありません。車が自ら学習し判断し、運転者に必要な情報を能動的に提供する方向に進化したという点で意味が深いです。

テスラが今年掲げたメッセージは明確です。「車は今や一つのオペレーティングシステム(OS)だ。」

ハードウェアの性能より重要なのはソフトウェアの経験であり、その中心に人工知能アシスタント「グロック」が位置しています。

Leave a Comment