ニューヨークタイムズ、ユーザー対話の削除要求にも関わらず無期限保存を要求、オープンAIのCEOが反発

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By Global Team

オープンAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマンは、ニューヨークタイムズがユーザーのプライバシーを侵害していると直接批判しました。オープンAIとマイクロソフトを相手にした著作権訴訟に関連して、ニューヨークタイムズがユーザーの対話を削除要求の有無にかかわらずすべて保存するよう要求したと主張しています。

アルトマンは、6月25日(現地時間)アメリカのサンフランシスコで開催されたポッドキャスト『ハードフォーク(Hard Fork)』の公開録画に出演し、「私たちは、ユーザーが削除を要求した対話を含め、すべての記録を無期限に保存するというニューヨークタイムズ側の要求に同意できない」と述べました。彼は、「プライバシーは我々が最も重要視する価値の一つ」と強調しました。

問題の発端は、ニューヨークタイムズが昨年末にオープンAIとその主要投資会社であるマイクロソフトを相手取って提起した著作権侵害訴訟です。タイムズは、両社が自社の記事を無断でAI学習に利用したと主張しています。特に、オープンAIのチャットボットサービスがニューヨークタイムズのコンテンツをほぼそのまま再現したり、出典なしで要約して提供するケースが発生しており、元の記事と競合することになると述べています。

ニューヨークタイムズのユーザー対話記録要求に強く反発するオープンAI CEOサム・アルトマン
ニューヨークタイムズのユーザー対話記録要求に強く反発するオープンAI CEOサム・アルトマン

今年3月、アメリカのニューヨーク南部地方裁判所は、オープンAIの訴訟棄却要求を認めず、裁判を本格的に進行することを決定しました。その後、タイムズ側は訴訟証拠を確保する理由で、オープンAIが保有するユーザー対話記録全体を要求しました。ここには、ユーザーが削除を要求したり、「非公開モード」で使用した記録も含まれています。

オープンAIは一般的に、ユーザーの対話を30日以内に削除するポリシーを維持しています。また、データは暗号化された状態で保存・送信され、企業や教育用アカウントでは別の保護装置が適用されます。ユーザー設定を通じて、AIモデル学習から自分が入力した内容を除外できる機能も提供されています。

しかし、今回の裁判所の要求が受け入れられる場合、欧州の一般データ保護規則(GDPR)による「忘れられる権利」原則と衝突する可能性があるという懸念が提起されています。GDPRは、ユーザーが望めば自分のデータを削除できるべきだと強調しています。

アルトマンは「利用者のプライバシーは個人の権利であり、企業の責任だ」と述べ、「AIとの対話も個人相談のように保護されなければならない」と言いました。そして「ユーザーデータを無期限に保存しろという要求は納得できず、プライバシーの約束を破ることだ」と付け加えました。

今回の論争は、人工知能企業とメディア機関の間の対立が、技術問題を超えて個人情報保護というデリケートなテーマに拡大していることを示しています。現在までにニューヨークタイムズの他にも、多数のメディアが同様の理由でAI企業を相手に訴訟を提起している状態です。

オープンAIは今後もユーザー情報保護を最優先課題とする姿勢を明らかにしました。訴訟の結果は、今後のAI技術開発や個人情報規制の方向性において重要な基準になると見込まれます。

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