メタはアメリカのスタートアップ、スケールAIに100億ドル(約13兆円)以上を投資します。 (写真 = ピクサベイ)

メタプラットフォーム(Meta Platforms)が人工知能(AI)技術強化のためにアメリカのスタートアップ、スケールAI(Scale AI)に100億ドル(約13兆円)以上を投資する計画を進めています。メタが外部企業に行う最大規模の投資であり、非上場企業対象の資金調達事例の中でも際立つ規模です。
スケールAIは、機械学習技術の核心の一つである「データラベリング」に特化したスタートアップです。画像、テキスト、音声、動画など非構造化データを分析可能な形に整理する作業を行います。このプロセスはAIモデルが学習するための準備段階として、AI技術の高度化に不可欠な領域です。
スケールAIは、人間が直接データを分類し、これを自動化システムと結合して精度を高めています。主要顧客は、自動運転車、ヘルスケア、金融、電子商取引など多様な産業群に渡っています。基幹プラットフォームである『スケールアノテーター(Scale Annotator)』は大量データを効率的に処理できるように設計されています。
スケールAIは2016年、当時19歳だったアレクサンダー・ワン(Alexandr Wang)が設立した会社です。2024年の売上は約8億7,000万ドルで、2025年には20億ドルを突破する目標を掲げています。2024年5月にはシリーズF投資ラウンドでアマゾンやメタなどから10億ドルを誘致し、企業価値138億ドルが認められました。現在、企業価値を250億ドルに引き上げるために公開買付方式の取引も検討中です。
メタは2023年まで社内AI研究とオープンソースモデル開発に集中してきました。しかし、競合他社が次々に外部AIスタートアップと協力する中で、戦略転換が不可避となりました。マイクロソフトはオープンAIに130億ドル以上を投資し、アマゾンやグーグルの親会社アルファベットもAIスタートアップのアンスロピック(Anthropic)にそれぞれ数十億ドルを投入しました。
これによりメタは2024年からAIを最優先経営課題とし、2025年までに650億ドルをAIプロジェクトに投入する計画を明らかにしました。アメリカのルイジアナに建設中の2ギガワット(GW)規模の大型データセンターもその一環です。組織改革も併行中で、機械学習専門人材の採用も拡大しています。
メタとスケールAIは過去にも協力事例があります。両社はメタのAIモデルアーキテクチャ「ラマ3(Llama 3)」を基にした国防用大型言語モデル「ディフェンスラマ(Defense Llama)」を共同開発しました。軍事作戦シナリオ立案と脅威分析をサポートするように設計されました。アメリカの国家安全保障を目的に開発されたという点で、技術的信頼度が証明された協力事例として評価されています。
メタのAI中心戦略は業績にも影響を及ぼしています。2023年第4四半期の広告収益は前年同期比24%増の387億ドルを記録しました。AI技術を活用してターゲット広告の精度を高めた結果です。AIアシスタントサービスも急速に拡大し、2024年末基準で月間ユーザー数は7億人を超えました。
今回のスケールAI投資交渉は、メタが内部技術開発だけでは限界に達したと判断し、外部の専門企業との協力を通じて技術力と市場競争力を同時に引き上げようとする試みとして解釈されます。取引が成立する場合、AIエコシステム内でのメタの立場は一層強化されると見られます。