世界のワイン生産、1961年以来最低水準…気候変動が破壊した葡萄畑

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By Global Team

2024年、世界のワイン生産量は1961年以来最低の水準に落ち込みました。

国際ぶどう・ワイン機構(OIV)は、昨年の世界ワイン生産量が2億2,600万~2億3,100万ヘクトリットルと推定されると発表しました。これは前年に比べ約5%減少した数値で、最近10年間の平均を大幅に下回っています。

2000年から2024年までの世界ワイン生産量の変動推移
2000年から2024年までの世界ワイン生産量の変動推移(資料出典:国際ぶどう・ワイン機構(OIV))

霜、豪雨、干ばつ、洪水などの気象異変がぶどう畑に深刻な打撃を与えました。北半球と南半球を問わず収穫量が減少し、特に高品質生産地を中心に被害が大きかったです。

生産は減少したものの、需要も減少して市場全体は大きな不均衡なく維持されました。世界ワイン輸出量は9,980万ヘクトリットルで前年と同じ水準を記録し、輸出価値は360億ユーロで0.3%の減少でした。平均輸出単価はリットル当たり3.60ユーロで、パンデミック前より約30%高い水準を維持しています。供給の減少とインフレが価格を押し上げたと言えるでしょう。

2024年ヨーロッパ主要国のワイン生産量および増減率
2024年ヨーロッパ主要国のワイン生産量および増減率(資料出典:国際ぶどう・ワイン機構(OIV))

イタリアは生産量が約4,100万ヘクトリットルで前年より7%増加し、世界1位の座を取り戻しました。北部地域の悪天候にもかかわらず回復傾向を見せた結果です。しかし、最近5年間の平均と比較すると13%低い水準です。それにもかかわらず、市場の信頼はある程度回復したと分析されています。

イタリアが相対的に好調だったのと対照的に、世界のワイン市場全体は依然として低迷の流れを脱していません。

2024年の世界のワイン消費量は前年より3.3%減少した2億1,400万ヘクトリットルで、1961年以来最低の数値を記録しました。若者世代の健康中心の消費トレンド、インフレによる購買力の縮小、レディ・トゥ・ドリンク製品との競争、高齢層の消費減少が複合的に影響しました。

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