“再生利用規制の障壁を引き下げる”―環境省、循環経済向け『企画型規制サンドボックス』を始動

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By Global Team

環境部は新しい循環経済技術やサービスを現実に導入できるように、規制の壁を下げる初の「企画型規制サンドボックス」を稼働すると発表しました。

環境部は、施設栽培の農業副産物(岩綿)リサイクル、リチウム鉄リン酸(LFP)バッテリーのリサイクル、プリント基板(PCB)の主要鉱物抽出の3つの課題を企画型規制サンドボックス課題として選定し、8月7日から9月6日までの30日間にわたり実証事業者を募集すると発表しました。

企画型規制サンドボックス提案課題(資料提供=環境部)
企画型規制サンドボックス提案課題(資料提供=環境部)

規制サンドボックスは、新しい技術やサービスが既存の法令により現場に適用できない問題を解決するための制度で、一定期間規制を有縁したり緩和して実証を許可する方式です。2024年から本格的に運営されている循環経済分野の規制サンドボックスは、個別企業が特例を申請する従来の方式とは異なり、今回は政府が課題を先に企画し、ここに参加する事業者を募集する「政府主導型」モデルです。

今回選定された課題は、現行の規制下で事業化が不可能または制限されていた分野であり、今後の実証結果を基に関連法令の整備まで連携する点で注目されています。

最初の課題は、岩綿培地のリサイクル実証です。岩綿は高温で溶融した玄武岩などを繊維形態に加工した人工鉱物で、水耕栽培時に水分と空気を適切に維持する培地として利用されます。しかし、使用後の廃岩綿は現行の廃棄物分類上「その他の廃棄物」と指定されリサイクルが不可能です。今回の実証を通じて人工土壌などリサイクル製品の生産可能性を検討し、関連する分類体系の改正を推進する予定です。

2番目の課題は、電気自動車の普及拡大とともに注目されているLFPバッテリーのリサイクル課題です。リチウム、鉄、リン酸を正極材として使用するLFPバッテリーは、従来のニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーよりも安全で経済的ですが、国内にはまだこれをリサイクルする明確な制度的基盤が不足しています。今回の実証では事業性と技術力を検証し、関連規定の整備につなげる計画です。

3番目の課題は、プリント基板(PCB)から銅、ニッケルなどの主要鉱物を抽出する実証です。ほとんどの電子製品に含まれているPCBは、現在「廃合成樹脂類」や「廃電気電子製品」と分類され、高付加価値のリサイクルが難しい現状です。これを改善するために今回の実証では、PCBの収集・運搬・リサイクルの全過程を追跡し、廃棄物分類番号新設の必要性まで検討する方針です。

環境部は今回の実証課題に参加を希望する事業者を8月7日から9月6日まで「環境技術産業ワンストップサービス」を通じて募集し、整合性と事業計画の具体性などを審査して最終事業者を選定します。その後、事前検討委員会と審議委員会の過程を経て、早ければ10月中に実証特例を付与します。

選定された事業者は2年間(追加2年可能)実証を進め、環境部は実証事業費最大1億2千万円、責任保険料最大2千万円(50%限度)及び法律検討、コンサルティングなどもサポートします。

環境部資源循環局の金高応局長は、「今回の企画型規制サンドボックスを通じて廃資源の利用度を高め、新しいグリーン産業創出の基盤を構築したい。現場の声を基に規制を改善し、事業化が可能な法制度を作りたい」と述べています。

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