太陽風だけで月に水ができる。
人類が長い間抱えていた疑問の一つが最近NASAの研究チームによって答えを得た。月にも水があるのか? 太陽から降り注ぐ粒子が月の表面で実際に水を作り出すという事実が実験で公式に確認された。
NASAは2025年3月17日、科学ジャーナルJGRプラネッツを通じてこのような内容を発表した。研究を率いたゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)のリー・シャ・イェオ(Li Hsia Yeo)博士は「月の土壌と太陽の基本材料だけで水が作られる可能性がある」と明らかにした。

月は地球のように磁場と大気がなく、太陽から噴出される高速粒子である太陽風にそのままさらされている。太陽風の主成分である水素陽子は月表面の鉱物と衝突し、酸素と結合して水酸基(OH)と水分子(H₂O)を生成する。過去のアポロミッションを通じて収集された月のサンプルでもこのような可能性が提起されたが、今回の実験はそれを実質的に立証した初めての例である。
研究チームは1972年にアポロ17号が持ち帰ったサンプルを活用した。サンプルを加熱して地球環境で吸収された水分を取り除いた後、擬似太陽風粒子を照射して月の環境を実験室で再現した。高速粒子加速器を利用して数日間太陽風を照射する方式で、実際の月表面の8万年の露出を短期間で実現した。
実験の結果、3マイクロメートル波長付近で光吸収信号がはっきりと現れた。これは水酸基や水が存在する場合に現れる特有のスペクトル反応であり、月の表面に水が生成されたことを強く示唆する。
月の表面で発見された水成分は単に固定された形ではない。観測によると、水分信号は昼間に弱まり、夜には再び強まる。これは太陽風が毎日月に水素を供給し、絶えず水を作り出すという事実を裏付けている。
もちろん、太陽風以外にも隕石の衝突が水生成に寄与する可能性があるという研究結果もある。2016年NASAのLADEE探査機は流星群の期間中に月の大気から放出された水分子を探知した。しかし、この研究は太陽風自体が水生成の主な源という点を明確に示した点で意味が大きい。
NASAは今回の成果を通じて今後のアルテミスプログラムで月南極地域に存在する氷資源のみならず、太陽風で生成される水まで長期探査の資源として活用する可能性を開いた。
月で水を確保する技術は単に飲用水の供給を超えて、酸素生成や燃料生産など月基地の維持に欠かせない役割を果たすことができる。これは宇宙居住時代を開くにあたり決定的な転換点となり得る。
今までは理論にとどまっていた話だが、今では実験で立証された科学的事実となった。人類はもう月を見ながら「乾いた荒野」だけを思い浮かべなくても良いだろう。