気候技術分野が「冬」を迎えたという声も多いが、国際エネルギー機関(IEA)は、むしろ今が全面的な投資拡大の最適な時期であると診断した。最近の報告書で、IEAは「世界の炭素排出の見通しがわずか10年で根本的に変わった」とし、「エネルギー転換の加速が既に数値で示されている」と述べた。

10年前と逆転した「最悪と最善」
2014年、IEAは「全世界が特に対応しなければ炭素排出量は増加し続ける」と予測した。 当時の予測では、2040年の世界炭素排出量が年間46ギガトン(Gt)に至ると予想され、各国が削減約束を履行しても38ギガトンにとどまると見られた。
しかし10年が経った現在、IEAは「特に対策がなくても排出量が38ギガトンで安定する」と述べた。 また、各国が削減計画を履行すれば、2040年には33ギガトンまで低下する可能性も示した。
IEAは「まだ2050年『カーボンニュートラル』達成には大きく及ばないが、わずか10年での変化は歴史的に非常に意味のある転換である」と評価した。

気候対応、予想以上に早い「転換点」
専門家たちは最近の変化が単なる速度改善ではなく、「転換点」の始まりかもしれないと分析する。ドイツでは政府が電気自動車の補助金を撤回したにもかかわらず、電気自動車の販売は史上最高を記録した。開発途上国では再生可能エネルギーが主要な電力源を急速に置き換え、経済構造を変えている。
中国はこれまで炭素削減目標を公式には拒否してきたが、最近になって「2030年以前に排出のピークを達成する」と発表した。IEAは「このような措置は世界の炭素排出傾向を実質的に覆す契機になる」と評価した。
太陽光・風力・バッテリーが変えた見通しの方向
IEAは「気候見通しが変わった根本原因は技術の進歩」と指摘した。
太陽光パネルと風力タービンの価格が10年前に比べて90%近く下がり、バッテリー価格も半分以下に下がった。おかげで再生可能エネルギーはもはや高価な技術ではなく、最も経済的な電力源となっている。
報告書は今後、地熱発電と電力網効率を高めるソフトウェア技術が新たな転換点を作ると予見している。
エネルギー市場の専門家たちは「2010年代中盤まで『排出は避けられない』という認識が支配的だったが、今では技術がその前提を覆している」と説明している。
投資家に訪れた「気候技術の春」
一部では最近の政治的不確実性と投資の縮小により「気候技術市場が冷却期に入った」と評価する。しかしIEAの分析は異なる方向を示している。過去よりも速い技術革新と削減スピードが証明され、中長期的には市場の成長余地がさらに大きくなったというのだ。
IEAは「各国の政策が一貫性を保持し技術が商用化速度を上げれば、2030年代中頃から排出量は確実に減少傾向に入るだろう」と予測した。
気候技術の投資家にとっては依然として挑戦の時期だが、報告書は「現在の停滞は一時的かもしれない」と考えている。低コストの再生可能エネルギー、効率的なエネルギー貯蔵技術、スマート電力網などが新しい投資先として注目されている。
2050年「カーボンニュートラル」の可能性、まだ残る課題
IEAは「現在の傾向では2050年のカーボンニュートラル達成は難しい」と評価しながらも、「過去10年間の予測誤差を考慮すれば、今後10年は今よりはるかに速くなる可能性がある」と付け加えた。
現在、全世界の炭素排出量は約37〜38ギガトンの水準である。パンデミック以前より多少高いが、増加傾向は事実上止まった。IEAは「この速度が維持されれば2030年代初頭には確実な減少傾向に転じることができる」と予測している。
国際専門家たちは「気候対応の成否はスピードにかかっている」とし、「技術革新が続けば、人類は2050年の『カーボンニュートラル』目標に予想以上に近づけるかもしれない」と語った。