アンソロピックが開発した生成型AIであるクロードは、視覚デザインプラットフォームのキャンバと連携する機能を追加し、対話型AIの実用的な利用が実現に近づいています。AIがテキスト応答を超え、直接的な作業ツールとして拡張されていることを示しています。

この統合により、クロードはチャットウィンドウで直接キャンバのデザインを生成し、編集できる初のAIアシスタントになりました。ユーザーは特別なインターフェースを経ずに、希望する画像を生成したり、サイズを調整したり、ブランドテンプレートに必要な内容を自動で挿入することができます。例えば、「私の営業プレゼンテーションをInstagram用に縮小して」といった要求だけで視覚資料の変換が可能になります。
実際にユーザーはクロードとの会話だけで文書の要約やテンプレートの埋め込み、画像の修正など、様々なキャンバ作業を行うことができます。これはAIの視覚的コンテンツ処理能力が、これまでの限定的な状態からユーザー体験を中心に解決された初の事例です。
当機能は、アンソロピックが開発したモデルコンテキストプロトコル(Model Context Protocol, MCP)を基に動作します。MCPはキャンバ以外にも、スラックやノーション、グーグルドライブ、ストライプなど様々なサービスと連携可能な標準化された接続方法です。
アンソロピックはMCPについて「AIが単なる支援ツールを超えて協力パートナーに進化する転換点」と説明しています。従来のAIはユーザーが毎回情報を入力する必要がありましたが、MCP基盤のAIは状況に応じた情報を認識し必要な作業を能動的に遂行できるとのことです。
キャンバはすでに社内でクロードを導入して使用中です。同社によれば、全従業員の65%が日常業務でAIツールを活用しているとのことです。キャンバは特定の企業のAI技術に依存せず、多様なAIモデルを併用する「AIエコシステム」戦略を推進しています。
クロードは今回のキャンバ統合以前にもデザインプラットフォームのフィグマと協力機能を公開したことがありました。これによりクロードはテキストベースの応答に留まらず、実際のデザイン作業にまで関与する「マルチモーダルツール」として拡張されています。
AIが情報の要約やスケジュール整理といった単純な反復作業を超え、実際の業務ツールを制御し結果物を作り出す段階に進化している点で、今回の発表は象徴的です。