
操縦席もハンドルもない。アマゾンの自動運転車部門であるZooxが、米国ロサンゼルス市街に「完全自動運転車」を試験投入した。技術中心の実験は、いよいよ都市の真ん中に進出した。
Zooxは最近、ロサンゼルスで自動運転車の手動走行テストを開始した。投入された車両はトヨタ・ハイランダー車をベースに改造されたモデルである。初期段階では、ドライバーが乗車して交通量や道路工事、イベントなど都市環境を詳細に記録している。その後、自動運転モードへの転換は今年下半期に予定されている。
今回のLA進出は、Zooxの6番目の都市進出である。サンフランシスコ、シアトル、オースティン、マイアミ、ラスベガスに続き、様々な交通条件を備えた都市に段階的に技術を投入している。ロボタクシーを実際の市街地に適用するための事前調整が都市ごとに進行中である。
車両は自動運転に最適化された構造で設計された。運転席がなく、双方向走行が可能な電気自動車で、狭い市街地の路地でもUターンをせずに走行できるように設計されている。内部は乗客の搭乗便宜性と空間活用を中心に設計され、「目的型自動車」という概念に近づいた。
技術が都市に進出する際には、常に規制という壁に直面する。自動運転車の運行を許可されるためには都市ごとの法的基準を通過しなければならず、安全性検証手続きも必要である。特にロサンゼルスのように人口密度と車両通行量が高い地域ほど基準はさらに複雑化する。

夜間走行中のZooxロボタクシー。前面センサーとヘッドライトが市街地交通環境に合わせて自動作動中である。(写真提供 = Zooxホームページ)
Zooxは試験走行を通じて技術をテストすると同時に、都市交通と法的システムに合わせて車両の性能と作動方式を調整している。シミュレーションではなく実道路走行を通じて問題を事前に確認し、補完する過程が併行されている。
商業化を控えて繰り広げられる競争
Zooxは自動運転車商用化を準備しているが、既に市場に先行する競争者が存在する。Waymoは数千万マイルの自動運転累積データを基に商用サービスを拡大中であり、Cruiseも主要都市で試験運行を続けている。
Zooxは技術力と設計構造で差別化を試みているが、実際のサービスを通じてデータを蓄積し、顧客反応を引き出す過程はこれから始まる。ロサンゼルス試験運行の成否は今後の都市拡大戦略に重要な分岐点になる可能性が大きい。

都市と技術が共に進むためには、技術だけでなく都市のインフラと政策も共に準備されなければならない。車両を設計するだけでなく、都市交通システムにこれをどう統合するかが重要である。公共部門と民間企業間の協力や都市別のカスタマイズ自動運転ガイドラインの確立、市民の体感安全性を高めるための透明な情報提供が重要な課題として浮上している。
Zooxが見せる自動運転車実験は単なる技術テストではない。この実験は都市と技術がどのように共存できるかを問うている。