アマゾン、8月20日にAndroidアプリストアサービスを終了

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By Global Team

世界最大の電子商取引企業であるアマゾンは、現地時間で今月20日からAndroid端末におけるアプリストアサービスを正式に終了します。これは2011年にサービスを開始してから14年ぶりに実質的にAndroid市場から撤退することを意味します。アマゾンはこの決定を通じて自社のデジタルエコシステムを強化し、Fireシリーズなどの自社デバイスユーザーに重点を置く戦略に転換すると発表しました。

アマゾンアプリストアとは何か

アマゾンアプリストアは、Googleの「Playストア」と似た役割をするアプリマーケットです。Androidオペレーティングシステムを使用するスマートフォンやタブレットにおいてアプリをダウンロードしインストールできるプラットフォームであり、アマゾンが独自に運営してきました。ただし、Googleの基本的なアプリマーケットではないため、ユーザーは別途アプリをインストールする必要があり、アプリの更新や決済システムも独自に運営されています。

アマゾンはこれを通じて独自のコンテンツとアプリをAndroid機器に供給し、さらにFireタブレットやFire TVといった自社ハードウェアとも連携する独立したアプリエコシステムを構築しようとしました。

しかし、利用者数や認知度の面でGoogle Playストアを超えることはできませんでした。結果としてアマゾンは今年の2月から新しいアプリの登録を中止し、今月20日をもってAndroidでのアプリストアの運営を完全に終了する予定です。

なぜサービスを終了するのか

アマゾンは「現在アプリストア利用者の大多数が自社機器のユーザーである」と述べ、「運営資源をより効率的に配分するためにAndroid機器の支援を終了する」と説明しました。今後はFireシリーズのようにアマゾンが独自に製作・運営する機器でのみアプリストアが提供されます。

これにより、最近アマゾンが進めている「サービス統合戦略」の一環が見られます。無料の広告ベースのストリーミングサービスFreeveeをプライムビデオに吸収・統合したことも同じ流れです。他のプラットフォームにサービスを分散するのではなく、自社プラットフォーム内部でユーザー体験を統合・管理しようとする方向に転換しているという分析が出ています。

また、今年の3月にWindows 11で提供されていたアマゾンアプリストア支援も終了しています。これはAndroidアプリをPCで実行できるようにする試みでしたが、この試みも一定の成果を上げずに終わりました。

アマゾンコインも同時に廃止…返金は?

アプリストアと同時に運営されていたデジタル通貨である『アマゾンコイン』も今回一緒に廃止されます。アマゾンコインはアプリやゲームを割引価格で購入できる手段で、ある程度の忠実なユーザー層が存在していました。

アマゾンはユーザーの残りコインに対しても自動返金を進める予定だと発表しました。しかし、具体的な返金方法や時期についてはまだ明確な案内がなく、一部ユーザー間では混乱が生じています。支援終了日までのコイン保有者には順次返金が行われるとされ、ユーザーはアマゾンカスタマーセンターを通じて詳細を確認することができます。

ユーザーはどうすればいいのか

既存のアマゾンアプリストアからアプリをダウンロードして使用中のユーザーは、アプリが正常作動しない可能性に備える必要があります。アマゾン側は正式に「アプリストア終了後、Android機器でアプリの動作が保証されない」と発表しました。

ユーザーは同じアプリをGoogle Playストアや他の公式アプリマーケットで再びインストールする必要があるかもしれません。また、有料コンテンツや保存データが維持されない可能性も考慮する必要があります。特に定期購読サービスを利用している場合、別途の解約が必要となることもあり、確認が求められます。

世界初の試みでしたが、限界も明確

アマゾンアプリストアはさまざまなメーカーのアプリを一つのプラットフォームで統合運用できる構造を目指してきました。こうしたマルチベンダー方式は多様性と開放性の面で肯定的に評価されましたが、安全性と互換性の問題は常に付きまといました。

実際に2023年、セキュリティ企業のマカフィーはアマゾンアプリストアに登録された一部の健康関連アプリが悪意のあるコードを含んでいると調査したと発表しました。アマゾンは即座に処置を取りましたが、信頼性にはダメージを受けました。

以前にもアマゾンは独自のスマートフォン『Fire Phone』に自社アプリストアを中心としたサービスを試みましたが、市場の反発を受け早期に生産終了したことがあります。

今後の方向性は?

アマゾンは今後、自社のデバイスユーザーを中心とした閉鎖型エコシステムに集中する見込みです。Fireタブレット、Fire TV、Alexa基盤の機器などでのコンテンツ消費環境を統合し、これらのユーザーにカスタマイズされたアプリサービスとコンテンツを提供することに注力する計画です。

業界では今回の決定がグローバルデジタルプラットフォーム戦争の中でアマゾンが下した「選択と集中」の結果として解釈されています。競争が激しいAndroid外部エコシステムで消耗的な競争を続けるのではなく、独自の制御が可能な環境に集中する戦略です。

ユーザーにとっては変化に伴う不便が避けられませんが、企業の立場からはリスクと資源浪費を減らす現実的な判断として評価されています。

アマゾンアプリ (画像=アマゾン)
アマゾンアプリ (画像=アマゾン)

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