ジェンソン・ファンの娘が7ヶ月ぶりにソウルを訪問、その動線が示す先とは

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By Global Team

マディソン・ファン、ソウル大→LG→サムスン・SK→斗山ロボティクス→ネイバー

『オムニバス・ジェットソン・トール』を韓国の製造ラインに接続する作業

フィジカルAIは結局、工場と家電、自動車で完成する

[この記者記事の核心ポイント]

▶ エヌビディアのオムニバス・ロボティクス担当シニアディレクター、マディソン・ファンが7か月ぶりに再来韓

▶ 28日にソウル大・LG電子、29日にサムスン・SKハイニックス・斗山ロボティクス・ネイバーまで、2日間にわたる全方位点検

▶ 「ジェットソン・トール」コンピューティング・プラットフォームを韓国の製造ラインに結びつける構想が核心

▶ AIがソフトウェアを越えて工場・ロボット・家電へ入り込む「フィジカルAI」段階が本格稼働

斗山ロボティクスのキム・ミンピョ代表とエヌビディアのマディソン・ファン上級理事が対話している。
斗山ロボティクスのキム・ミンピョ代表とエヌビディアのマディソン・ファン上級理事が対話している。

エヌビディアのオムニバス・ロボティクス製品マーケティング担当シニアディレクター、マディソン・ファン氏が29日、サムスン電子とSKハイニックスを相次いで訪れ、協力案を協議する。ジェンスン・ファンの長女で、フィジカル人工知能(AI)とデジタルツイン、ロボティクス事業を担う人物だ。

この日の訪問はこれで終わりではない。ファン氏は同日、城南・板橋の斗山ロボティクス・イノベーションセンターへ移動し、キム・ミンピョ代表と面会した。ネイバーとの協力協議も視野に入った。2日間の日程で、韓国の半導体と家電、産業用ロボット、プラットフォーム企業までを一本の線で結ぶ動線が組まれた。

ソウル大講演から始まった2日間

前日、ソウル大学キャンパスでは、自律型AIエージェント構築の実習プログラム「Build a Claw」が開かれた。ファン氏はここに直接参加した。

人材育成のメッセージを打ち出し、その後に産業協力へと進む順序だ。同日午後には、ソウル汝矣島のLGツインタワーで、リュ・ジェチョルLG電子社長と会談した。LGのホームロボット「Cloid」をエヌビディアのロボティクス・プラットフォーム「Isaac」に接続する案が議題に上った。

29日の日程の重心はメモリー2社にある。サムスン電子の訪問は昨年に続き2回目だ。初来韓の際にはソウルR&Dキャンパスと水原生産技術研究所(GTR)を回った彼が、再び同じ舞台に立った格好だ。生産技術研究所は、DX部門傘下の組織で、ロボット・自動化・デジタルツインを基盤にしたスマートファクトリーを設計する中核拠点だ。

中心に置かれたチップ、「ジェットソン・トール」

フィジカルAIとヒューマノイド・ロボティクスのための『ジェットソン・トール』AIコンピューティング・プラットフォーム。
フィジカルAIとヒューマノイド・ロボティクスのための『ジェットソン・トール』AIコンピューティング・プラットフォーム。

業界が注目するキーワードは、エヌビディアの「ジェットソン・トール」AIコンピューティング・プラットフォームだ。ブラックウェルGPUを基盤とするこのモジュールは、クラウドを経由せずロボット自体で大規模言語モデルと視覚モデルを動かす。ボストン・ダイナミクス、Figure、Neura Roboticsのようなヒューマノイド開発企業がすでに頭脳として採用している。

サムスン電子は昨年11月、エヌビディアと「半導体AIファクトリー」構築計画を公開し、今後数年間で5万個以上のGPUを導入すると明らかにした。

同時に、「ジェットソン・トール・ロボティクス・プラットフォームを活用し、知能型ロボットの推論と安全制御を強化する」という方向も示した。マディソン・ファン氏の今回の訪問が、この大きな構想に実際の日程と仕様を埋め込む作業と受け止められる理由だ。

SKハイニックス側の議題は性格が異なる。エヌビディアの主要メモリーパートナーらしく、次世代HBM(高帯域幅メモリー)の供給日程とデータセンター向けソリューションが議題に載る。SKハイニックスがエヌビディアと共同開発した「液冷式eSSD」は、すでにGTC 2026の舞台で公開されたことがある。

斗山ロボティクス、ネイバーまで及んだ動線

斗山ロボティクス・イノベーションセンターで、マディソン・ファン氏はキム・ミンピョ代表と産業用ヒューマノイド協力について議論した。

キム代表は「斗山のハードウェア製造能力とエヌビディアのソフトウェア・エコシステムを結合し、知能型ロボットソリューションと産業用ヒューマノイドの商用化を推進する」と述べた。斗山が開発中のロボットOS「エージェンティック・ロボットOS」とエヌビディアのIsaacシミュレーションを結ぶ作業が核心議題だ。

ネイバーとの協力可能性まで加われば、今回の来韓は半導体・ロボット・家電・プラットフォームという4本柱を一度に点検する動きとして整理される。

ある業界関係者は「AIは今やソフトウェアを越えて実際の産業と結びつく段階に入った」とし、「エヌビディアにとって韓国の製造業は核心パートナーだ」と指摘した。

3回目の訪問

ファン氏は昨年9月の単独来韓に続き、10月には父ジェンスン・ファンCEOとともにアジア太平洋経済協力会議(APEC)期間中に韓国を訪れた。今回が3回目の訪問だ。約7か月の間に、同じ人物が韓国の産業現場を3度見て回ったことになる。

フィジカルAIを実現するには、チップとモデルだけでは不十分だ。ロボットが動き、自動車が走り、家電が学習する舞台が必要だ。

韓国はメモリー半導体をはじめ、自動車、家電、スマートフォン、造船、鉄鋼、海運まで、世界競争力を備えた製造大国だ。AIが現実世界で機能するには、この産業基盤と結びつかざるを得ないとの分析が出る理由でもある。

マディソン・ファン氏の慌ただしい動線は、その結合がどこで、誰と、どの速度で進むのかを示した凝縮された地図だった。

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