▶ メタはカメラを取り外したスマートグラス「ルナ」(コード名)を、早ければ10月に発売する計画だ。
▶ ルナは6つのマイクとスピーカーを搭載し、音声でメタAIとAIアシスタント「ミューズ」を利用できる。写真・動画の撮影機能はない。
▶ カメラをなくしたことでテンプルを細くでき、一般的な眼鏡に近い形状になる。発表は23~24日に開催されるメタ・コネクトが有力視されている。
▶ イーブンリアリティとレイネオもカメラを搭載しない製品を発売している。スマートグラス市場は、撮影機能を重視する製品と音声AIを重視する製品に分かれるとの見方が出ている。

メタがカメラをなくしたスマートグラスを発売する。IT専門メディアのザ・インフォメーションは15日(現地時間)、情報筋の話として、メタがコード名「ルナ」と呼ばれるカメラ非搭載スマートグラスを、早ければ10月に出荷する計画だと報じた。発表時期は、23~24日に開催されるメタの開発者イベント「コネクト」が有力だ。
ルナはカメラの代わりに音声を活用する。フレームに6つのマイクを搭載し、着用者がメタAIチャットボットや、今月投入された消費者向けAIアシスタント「ミューズ」に話しかけられるようにした。テンプルにはメタAIを直接呼び出すボタンが備わる。スピーカーは従来製品と同程度の水準だ。写真や動画を撮影することはできない。
カメラをなくしたことによる副次的な効果もある。テンプルを細くできるため、一般的な眼鏡に近いデザインになる。デザインは「クラブマスター」と「バーバンク」の2種類が用意されると伝えられている。メタは報道内容について公式見解を示していない。
◆ 撮影表示灯を隠すステッカーまで販売

従来のスマートグラスは、スマートフォンを取り出さず、着用者の視点から撮影できる点を強みとしてきた。一方で、周囲の人が撮影されていることに気づきにくいとの指摘が付きまとっていた。
メタは対策を講じてきた。撮影中は白色LEDが点灯し、表示灯が覆われたり損傷したりしたと検知されると、カメラ機能が自動的に停止する。同社は、表示灯を改変した製品は全販売量の0.1%未満だと説明してきた。
しかし、論争は収まらなかった。一部の利用者が表示灯を隠したまま周囲の人を撮影する事例が明らかになり、ソーシャルメディアで注目を集めるため、意図的に他人を撮影するケースも出てきた。
オランダの消費者団体は先週、オンラインで表示灯を隠すステッカーが販売されていることを理由に、欧州全域での販売禁止を求めた。
ニューヨークの裁判所や英国最大のパブチェーンは、すでに着用を禁止している。オーストラリアの一部自治体では、プールや子ども向け施設での使用を制限する動きも見られる。
技術的な対策だけでは、眼鏡をかけていない周囲の人々の不安を取り除くのは難しいことが明らかになった。カメラそのものを取り外せば、隠し撮りの可能性は根本的になくなる。
◆ マイクは残る
カメラをなくしても、プライバシーの問題がすべて解決するわけではない。ルナには6つのマイクがそのまま搭載される。外観が一般的な眼鏡に近づくことで、かえってスマートグラスだと見分けにくくなるとの指摘も出ている。
機能も減る。カメラがなければ、メタAIが着用者の見ているものを説明する機能は利用できない。目の前にある看板を翻訳したり、物体を認識したりする、いわゆるビジョンAIが搭載されないためだ。
ルナの価値は、音声対話やオーディオ、ミューズのようなAIアシスタントがどれだけ実用的かにかかることになる。ディスプレイを搭載した製品とは異なり、ルナにはディスプレイも搭載されないとみられている。
◆ AIスマートグラス市場
カメラを搭載しないスマートグラスは、メタが初めてではない。イーブンリアリティはカメラとスピーカーをいずれも搭載しない製品を発表しており、レイネオもカメラ非搭載製品を公開している。市場をけん引してきたメタまで加わり、製品群が分化する様相を呈している。
一方は撮影機能とビジョンAIを前面に打ち出す製品だ。もう一方は音声AIと情報表示に集中し、プライバシーへの負担を軽減する製品となる。消費者は、顔にカメラを装着して歩くのか、マイクだけを装着するのかを選ぶことになる。
メタ・コネクトでは、拡張現実(AR)グラス「フェニックス」も公開される可能性が取り沙汰されている。仮想作業空間や映画を視聴するための画面を表示する製品として知られている。ルナの仕様と発売日程は、まだメタが公式に発表したものではない。