国民の87.4%が「自分の個人情報が重要だ」と答え、個人情報保護の重要性が高まっています。
個人情報保護委員会は、AI時代に適した個人情報保護政策が緊急であると報告しています。日常生活へのAIの使用範囲が拡大し、個人情報保護への対応が重要な課題として浮上しています。

個人情報保護委員会(委員長 高学수、以下個人情報委)は、発足5周年を迎えて全国の成人男女1,500人を対象に「個人情報保護政策関連の国民認識調査」を行いました。調査は2025年6月9日から16日までの8日間にオンラインで実施されました。
今回の調査は、個人情報に関する国民の全般的な認識に加え、個人情報委の政策に対する評価、今後推進すべき政策方向まで包括的に扱いました。
調査の結果、回答者の87.4%が自分の個人情報が重要だと答え、92.4%が個人情報保護そのものを非常に重要と認識していました。個人情報が単なる情報の集まりではなく、日常と権利を守る核心要素として定着しているということです。

こうした認識は個人情報委に対する認知度にもつながっています。個人情報委の存在を知っていると答えた比率は50.9%で、発足当初の2021年には23.6%でしたが、倍以上に上昇しました。個人情報委の役割が重要だと答えた比率は88.2%、今後役割がさらに強化されるべきだという回答も87.9%に達しました。

最も効果的な政策は「調査・処分の強化」…国民は実効性を重視しています
個人情報委が推進した主要10大政策の中で、「厳正な法執行で調査・処分を強化」が最も効果的な政策として選ばれました。回答者の77.3%が非常に効果的または効果があると評価しました。
続いて「法改正を通じた調査・処分体制の合理化」(73.9%)、「小中高生向けのデジタル忘れられる権利導入」(73.6%)、「個人情報処理方針の運営」(70.3%)の順となりました。上位8つの政策すべてが65%以上の肯定的評価を受けました。
国民は法と制度を通じた実質的な実行力に高い価値を置いています。単なる宣言や勧告よりも調査や制裁といった具体的措置を伴わなければ政策効果を感じることはできないという認識が反映されています。
AIが変えた個人情報保護の環境…国民は「技術に対する政策」を求めています
今後、重点的に推進すべき政策としては「AIなどの新技術関連の個人情報保護強化」が26%の選択を受け、1位を占めました。次いで「新技術関連の個人情報利用拡大」(15.8%)、「個人情報保護法違反の調査・処分強化」(12.9%)、「公共・民間部門の個人情報管理強化」(12.3%、11.2%)の順でした。
国民は人工知能技術の発展の中で個人情報がどのように収集・利用されるのかを懸念しており、それに見合った保護措置の準備を求めています。既存の制度だけでは対応が難しいという現実認識が明確にされています。

AI環境ではデータの流れが複雑で予測が難しいため、情報主体のコントロール権を事前に保障する制度が必要だとの指摘もあります。これはデータ活用と保護が衝突せず、調和を成す政策的な方向性を求めていると解釈されます。
解決策: 技術に適した評価基準とデータガバナンスの整備
現在の保護体制は伝統的な個人情報処理構造に焦点を当てています。しかしAI技術はデータを非構造的に収集し、自身の学習を通じて新しい情報を生成することができるため、既存の法制だけでは管理に限界があります。
技術の種類ごとに差別化された性能評価基準が用意されるべきです。たとえば、巨大言語モデル(LLM)の数学的解釈能力や長文理解力などの項目は、一般的なデータ基準とは異なる方式の評価が要求されます。個人情報委が現在準備中の性能評価データセット構築事業は、こうした違いに対応するための初めての試みという点で注目されます。
データガバナンス体制も整理が必要です。情報主体がいつ、どこで、どのような方法で自分の情報が使用されるのかを確認できるようにし、それをサポートする統合的な管理システムが求められます。マイデータ制度や匿名データベース運用もこうした側面で実効性を高めるツールとなり得ます。
実効的な法執行も併せて補完されなければなりません。新技術を悪用した個人情報侵害の事例については迅速な調査と責任究明が行われ、それに必要な技術的専門性を備えた調査・処分人材の強化が必要です。
AI技術が高度化するほど、個人情報の敏感性と活用可能性は共に増大します。国民は技術の進歩そのものを否定してはいません。ただし、その技術がどのような原則の下で利用されるか、その原則が個人の権利をどのように守るかに関する説明と措置が必要であるという要求を明確にしています。