要点
▶ 先月1日にアップルのCEOに就任したジョン・ターナス氏が、事実上、最高デザイン責任者の役割まで担っていると、ブルームバーグのマーク・ガーマン記者が10月4日(現地時間)、ニュースレター「Power On」で報じた。
▶ ターナス氏は、インダストリアルデザインチームとヒューマンインターフェースチームのスタジオで週に数回、日によっては1日に2度訪れるほど、直接仕事をしているという。ハードウェアの外観もソフトウェアの画面も、彼の目を通る。
▶ アップルでは2019年にジョニー・アイブ氏が退社して以来、ハードウェアとソフトウェアのデザインを一人が統括したことはない。

アップルのデザインにおける最終決定権が、7年ぶりに再び一人の人物に集まっている。その人物はデザイナーではなく、CEOだ。
ブルームバーグのマーク・ガーマン記者は4日(現地時間)、ニュースレター「Power On」で、先月1日に就任したジョン・ターナスCEOが、ハードウェアの外観とソフトウェアのインターフェース双方のデザイン決定の中心にいると報じた。
アップルがターナス氏を最高デザイン責任者に正式任命したわけではない。しかし、デザイン部門の事情に詳しい人々は、同氏を部門の最終決定権者と見ているとガーマン記者は伝えた。
◆ 週に数回、スタジオへ
ターナス氏は、アップルのインダストリアルデザインチームとヒューマンインターフェースチームにかなりの時間を割いている。インダストリアルデザインはiPhoneやMacなどのデバイスの外観を、ヒューマンインターフェースはiOSやmacOSの画面でユーザーが見たり操作したりする部分を設計する。
複数の部門関係者がガーマン記者に語ったところによると、ターナス氏は週に数回スタジオで直接仕事をしており、1日に2回以上訪れる日もあるという。
デザインスタジオは、ターナス氏にとってなじみのない場所ではない。同氏はハードウェアエンジニアリング部門を率いていた頃から、デザインの構想を量産可能な製品に仕上げる過程で、スタジオと緊密に連携してきた。
CEO就任後は、関与する範囲が広がった。エンジニアリング上の検討にとどまらず、ハードウェアやOSの形を作る人々と定期的に直接協働しているというのが、ガーマン記者の説明だ。
◆ アイブ氏退社後、空席だったポスト
アップルでは2019年にジョニー・アイブ氏が退社して以降、インダストリアルデザインとソフトウェアデザインを一体的に見るリーダーはいなかった。アイブ氏は両分野を一手に担った最後の人物だった。退社後、両チームにはそれぞれ責任者が置かれ、ジェフ・ウィリアムズ前最高執行責任者(COO)に報告する体制となった。ウィリアムズ氏はデザインではなく、製造・運営の専門家だった。
ターナス氏がその空席を埋める形となっている。インダストリアルデザインはモリー・アンダーソン氏が、ヒューマンインターフェースはスティーブ・ルメイ氏が引き続き率いる。変わったのは、両チームがデザイン作業に直接関わるCEOと直結するようになった点だ。
チームとCEOの間に別の幹部を置かずとも、アップルの最重要製品に関する議論で、デザインが直接意見を伝えられるようになった。ブルームバーグによると、アイブ氏の後任にあたる最高デザイン責任者を外部から探す動きは進んでいない。
◆ ディスプレー設計担当として入社したCEO
ターナス氏はアップルでキャリアを積んだエンジニアだ。2001年にアップル・シネマ・ディスプレーの製品設計チームの一員として入社し、2013年にハードウェアエンジニアリング担当副社長、2021年に上級副社長に就任した。
先月1日、ティム・クック前CEOが取締役会長に退き、ターナス氏がCEOに就任した。就任後初の基調講演では、新CEOの隣にデザイン部門のリーダーたちがこれまで以上に目立つ形で並んだ。
エンジニア出身のCEOがデザインまで直接目を配ることで、アップル製品の一貫性が高まるのか。それと同時に、デザイナーが現実的な制約に挑む自由を十分に保てるのかが、試されることになりそうだ。