怒れる民心に輸出規制まで…オープンAIが米政府に「持ち分上納」を持ち出した内情

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By Global Team

世界最大の人工知能(AI)企業が、政府に会社の持ち分を差し出すことを自ら持ちかけている。ChatGPTを開発したオープンAIが、米トランプ政権に持ち分5%を提供する案を協議していると、フィナンシャル・タイムズ(FT)が1日(現地時間)に複数の情報筋を引用して報じた。

注目されるのは規模だ。オープンAIの企業価値は最近、8520億ドル、約1323兆ウォンと評価された。持ち分5%は約426億ドル、約66兆ウォンに相当する。サムスン電子を除けば、韓国のどの上場企業の時価総額と比べても見劣りしない金額だ。民間企業が無償で政府にこれほどの持ち分を譲る前例は、ほとんど見当たらない。

オープンAIは2022年末にChatGPTを公開し、現在の生成AIブームに火をつけた企業だ。公開から4年も経たないうちに企業価値は1300兆ウォン台へ膨らんだ。まさに富の集中論争の中心にある企業が、富の分配策を政府に先に提案した格好だ。

◆ アルトマン氏がホワイトハウスに持ち込んだ「持ち分共有」構想

FTによると、サム・アルトマン・オープンAI CEOは、トランプ大統領に加え、ハワード・ラトニック商務長官、スコット・ベッセント財務長官ともこの問題を協議してきた。アルトマン氏は、AIが生み出す利益を国民と分かち合う最善の方法は持ち分の提供だという立場を示してきたという。

構想はオープンAI一社にとどまらない。アンソロピック、グーグル、メタなど他の米AI企業も、同規模の持ち分を公的機関に差し出す案が並行して取り沙汰された。

モデルとしては「アラスカ永久基金」が挙げられる。アラスカ州が石油で稼いだ資金を株式などに投資し、その収益を住民に毎年配当として分配する基金だ。1976年に設立され、この基金のおかげでアラスカ州民は毎年一定額を現金で受け取っている。石油が生んだ富を住民全体で分けるように、AIが生み出す富も国民全体で分けようという発想だ。

水面下の協議は今回が初めてではない。米メディアの報道を総合すると、アルトマン氏は2025年初めにトランプ大統領へこの構想を最初に提案し、先月初めには政府と主要AI企業との予備協議が進んでいるとの報道が相次いだ。トランプ大統領も先月、政府がAI企業の持ち分を持つのは「美しいこと」であり、米国民が「この革命のパートナー」になることだと公言している。

政治圧力はそれ以上に強い。バーニー・サンダース上院議員は、国家ファンドを通じてAI企業の持ち分をほぼ半分まで公共が保有すべきだと主張する。アルトマン氏は最近、サンダース氏ともこの問題を協議したと伝えられている。5%案は、強硬論が勢いを増す前に企業側が条件を提示する先手対応との見方が出ている。

◆ インテルが残した教訓、「持ち分を渡せば味方になる」

今回の提案を読み解く鍵として、まず挙げられるのがインテルの事例だ。米政府は昨年8月、半導体法による補助金を株式に転換する形で、インテル株9.9%を確保した。89億ドル、約13兆8000億ウォン規模だ。資産運用会社ブラックロックを抜き、一気に筆頭株主となった。

取引の構造を見れば、その性格はさらに明確だ。政府は新たな資金を出していない。半導体法に基づきインテルに支給する予定だった補助金と国防総省支援金89億ドルを、新株4億3300万株に引き換えて受け取った。形式上は取締役会の議席も経営介入権限もない「静かな株主」だ。ラトニック商務長官は当時、政府がインテルの経営に干渉しないと明言した。

この取引の前後で、トランプ大統領の態度は一変した。彼はマレーシア出身のリップブー・タン・インテルCEOを「親中」と呼び、公然と辞任を要求した。持ち分取得が成立すると、評価は「驚くべき成功ストーリーを持つ人物」へと変わった。政府が株主になると、批判が応援に変わったわけだ。

市場の反応も劇的だった。インテル株は政府の持ち分取得発表当日に5%超上昇し、今年に入ってからは140%超上がった。トランプ大統領は今年5月、政府保有分の価値が500億ドル、約77兆7000億ウォンを超えたと主張した。政府という筆頭株主が、事実上の生存証明書の役割を果たしたとの評価が市場で出た。

インテルは始まりにすぎなかった。トランプ政権は希土類、量子コンピューティングなど戦略分野の企業の持ち分にも手を伸ばしてきた。関税収入、企業持ち分、武器輸出を束ねて国家財政に充てる、いわゆる「国家資本家」構想をトランプ大統領自身が明らかにしたこともある。政府が戦略企業の株主として入り込むことが、この政権では例外ではなく公式になったとの評価がある。

AI業界はこの光景を見ていた。持ち分を差し出せば政治リスクが友好関係に変わり、企業価値まで上がる可能性があるという計算が成り立つようになったとの分析だ。FTも、政府に持ち分を渡せば政治圧力との関係を整えつつ、富を国民と分かち合うという大義名分が立ち、反発を和らげられると指摘した。

◆ 電気料金は上昇、雇用不安も…追い詰められるAI業界

オープンAIが66兆ウォン規模のカードを切るほど切迫した事情もある。米国内でのAI反発世論がただ事ではない。

最も肌で感じられる問題は電気料金だ。AIデータセンターは電力を大量に使う巨大な計算工場である。最新の大型データセンター1棟は、原子力発電所1基の出力に匹敵する電力を消費する。

データセンターが集中する地域ほど料金の上昇が急だった。米エネルギー情報局の集計によると、バージニア州は1年で13%、イリノイ州は15.8%上昇した。全国平均の引き上げ率の2〜3倍高い。増えた送電網コストが最終的に家庭向け料金に上乗せされたとの分析が出ている。

民意は行動に移りつつある。住民の反発により、今年第1四半期だけで420億ドル規模、20件を超えるデータセンター事業が中止されたと集計された。さらに、AIが雇用を代替するのではないかという不安、サイバーセキュリティへの懸念も重なった。世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査では、居住地域に関係なくデータセンターに否定的だという回答が多数を占めた。11月の中間選挙を前に、政治圏がこの空気を無視するのは難しいとの見方がある。

投資規模が大きくなるほど摩擦面も広がる。米ビッグテックはAI基盤整備に7500億ドル以上を投じている、あるいは投じる計画だ。格付け会社ムーディーズは、2030年までに世界のAIデータセンター投資が3兆ドルに達し、そのかなりの部分が米国に集中すると見通した。電気料金を抑えると公約していたトランプ大統領にとって、公화党支持地域にまで広がる反発は負担になっているとの観測が出ている。

規制環境も厳しくなった。米政府は先月、アンソロピックの最新モデル「フェイブル5」と「ミソス5」に輸出規制を発動した。制限は約3週間で解除されたが、政府の判断一つで最先端モデルのサービスが止まり得ることが確認された。オープンAIとアンソロピックが早ければ今年末にも新規株式公開(IPO)を準備する中、政治リスクはそのまま企業価値リスクになるとの解釈が後を絶たない。

◆ 政府が株主になる国…議会と利益相反の壁が残る

構想が現実化するには、越えるべき山が多い。情報筋によると、協議はまだ初期段階で、実現には議会立法が必要になる可能性がある。ホワイトハウスとオープンAIはいずれも報道に対し公式コメントを出していない。

他企業の参加も不透明だ。アルトマン氏の提案は、主要AI企業が一緒に持ち分を差し出すことを前提としている。しかし、アンソロピックは先月初め、政府との持ち分関連協議は行っていないとの立場を示した。グーグル、メタも公式見解はない。

原則論争はさらに熱い。専門家の一部は、規制当局である政府が特定企業の株主を兼ねると深刻な利益相反が生じると指摘する。持ち分価値が下がることを恐れて、安全規制を緩く執行する恐れがあるという。ホワイトハウスのAI政策を担当してきたデイヴィッド・サックス氏や、保守系シンクタンクのカトー研究所は、政府が特定企業を選んで投資する方式自体が自由市場の原則を揺るがすと批判してきた。

ウォール街では、時間軸をもっと長く見るべきだとの指摘もある。今回の政権は「静かな株主」を約束しているが、政権交代後の次の政権がその持ち分をてこに経営へ介入する懸念がある。一度政府の手に入った持ち分は企業が取り戻しにくいという点で、5%という数字以上に前例そのものが残す重みが大きいという分析だ。

反対側の見方もある。政府が確保した持ち分から生じる収益を家計配当や公共目的に使えば、AIが生み出した富が少数の企業や投資家に偏る問題を緩和できるという理屈だ。オープンAIとアンソロピックは以前から、市民がAI発展の成果を分かち合うための公的基金や国家ファンドが必要だと主張してきた。

企業統治の観点からも疑問は残る。オープンAIは、非営利財団から始まり営利構造へ移行してきた会社だ。上場を控え、政府まで株主名簿に加われば、取締役会の構成や意思決定の仕組みをめぐる計算はさらに複雑になるとの指摘がある。

はっきりしているのは流れだ。半導体から始まった政府の持ち分参加がAIへ広がっている。補助金を出して終わりだった政府が、株主として企業の中に入る構図だ。市場論理で動いてきた米国の産業政策が、国家主導へと方向を変えているサインだとの分析が出ている。

米市場に投資する、あるいは米ビッグテックと取引する韓国企業や投資家にとっては、企業業績だけでなく、ワシントンの政治が企業価値を左右する変数になったことを意味する。66兆ウォン規模の提案が議会の壁を越えられるのか、AI時代の政府と企業の関係を書き換える試金石になる見通しだ。