韓国・ソウル市は21日、これまでの「ソウルデジタル財団」を「ソウルAI財団(Seoul AI Foundation)」に名称変更し、人工知能(AI)政策を一元的に推進する専任機関として新たにスタートさせました。
ソウルAI財団の発足式は同日午後2時、ソウル市中区の大韓商工会議所にて開催され、オ・セフン(呉世勲)ソウル市長をはじめ、AI関連企業の関係者や全国の自治体、関連機関の代表らが参加しました。
この再編は、ソウル市議会が第330回臨時会で関連条例の改正案を可決し、19日に公布・施行されたことを受けたものです。改正により、財団の名称と事業目的がAIに焦点を当てた内容に変更され、都市行政と市民生活におけるAI活用を本格化させる体制が整いました。
元のソウルデジタル財団は2016年に設立され、これまでスマートシティ構築やデジタル技術の普及、データを活用した行政改革などを担ってきましたが、AIの活用が広がる中、その役割をAI中心へと再定義しました。
今後の重点施策として、都市課題に対するグローバルな連携、物理空間を活用したAI技術の実装、市民が体感できる公共サービスの革新、公正で倫理的なAI普及、産業分野へのAI導入支援などが掲げられています。
特にグローバル戦略では、国内外の大学、企業、自治体、市民が連携するネットワークを構築し、ソウルに最適化された都市型AIソリューションを共に開発する計画です。ドイツ人工知能研究所(DFKI)やケンブリッジ大学など、海外の研究機関との連携もさらに強化される予定です。

また、公共サービスの分野では、これまでの研究・コンサルティング・教育成果を基に、市民の生活に密着したサービス展開を加速させます。倫理的なAI活用についても、研究・啓発キャンペーン・教育を通じて責任あるAIの運用を促進します。産業面では、民間企業や研究機関と連携し、幅広い業種におけるAI活用モデルを発掘・導入していきます。
発足式に続いて開催された「AI行政革新フォーラム」には、全国の自治体や企業、大学などから約300名が参加しました。LG AI研究院のキム・ユチョル本部長が「エージェントAIと新たなAIエコシステムの始まり」をテーマに講演したほか、ソウル市デジタル政策課のキム・スクヒ課長が「ソウル市のAI戦略」を紹介。ソウルAI財団のチュ・ソンファン本部長も、地方自治体におけるAI導入戦略を発表しました。
さらに、京畿研究院のキム・ソンハセンター長や、光州のAI産業融合事業団(AICA)のカン・ジェヒョク室長も、地域密着型のAI活用戦略を共有しました。
ソウルAI財団は今後、AIインフラの整備、国際的な研究協力・産業連携の拡大、市民体感型サービスの普及などを重点課題として掲げ、「スマートライフウィーク(SLW)」や「AIコンサルティング」、「オディナ支援団」など既存プロジェクトの拡張も継続していく予定です。