アメリカの人工知能(AI)企業オープンAIがアメリカ国防部と最大2億ドル(約2,700億円)規模の契約を締結し、戦闘および行政分野で活用可能なAI技術開発に着手しました。

アメリカ国防部が発表した契約内容によれば、今回の事業は国家安全保障に関連する核心課題を解決するための『フロンティアAI(Frontier AI)』技術試作を開発することが目的です。契約遂行地はワシントンD.C.近郊であり、事業期間は2026年7月までです。現在までに200万ドルが優先的に支払われ、以後段階的に最大2億ドルまで支援される予定です。
オープンAIは今回の契約が、政府専用プログラム『オープンAIフォーガーバンメント(OpenAI for Government)』の一環だと述べています。このプログラムはアメリカ政府機関にカスタマイズされたAIモデルを提供することを目指しています。
オープンAIは自社ブログを通じて、今回のプロジェクトが軍関連行政システムの改善、軍人の医療アクセス向上、サイバー防御能力の強化などを主要目標としていると説明しました。ただし、国防部契約文書には『戦闘(warfighting)』分野のための技術も含まれていると明示されています。
オープンAIはこれまで自社技術の軍事的使用を厳しく制限してきました。2024年1月までには『軍事および戦争目的使用禁止』という条項が使用方針に含まれていましたが、その年に方針が改訂され、条件付き協力が可能となりました。現在は「自分または他人に害を与える方式では技術を使用しないこと」という一般的な規定に変更されています。
今回の契約はオープンAIがアメリカ政府および国防分野と公式に締結した初の大規模な契約です。先立ってオープンAIは防衛産業技術企業アンドゥリル(Anduril)と協力して監視および検知分野でAI技術を試験適用したことがあります。また、前アメリカ国家安全保障局(NSA)局長ポール・ナカソネ(Paul Nakasone)を理事会に招聘し、国防部の高位官僚出身であるサシャ・ベイカー(Sasha Baker)を国家安全保障政策責任者として採用するなど、国防分野の能力強化に取り組んでいます。
今回の契約は競争入札を通じて締結され、アメリカの報道によれば計12企業が応札しました。アメリカ国防部は今後、AI技術が行政および作戦の効率性を大いに高めることができると期待しています。