米連邦最高裁の相互関税違法判決で、暫定的に導入されていた10%のグローバル関税が24日(現地時間)に失効する。米トランプ政権は、これに代わる貿易法301条関税へ切り替える準備を進めている。

米通商代表部(USTR)は3月から貿易法301条を用い、過剰生産と強制労働の2項目で各国を調査してきた。グローバル関税の失効後を見据えた布石だ。
◆ 最高裁判決が生んだ空白…122条から301条へ
関税制度転換の出発点は司法判断だった。連邦最高裁は2月、トランプ政権の相互関税を違法と判決した。行政当局は貿易法122条に基づく10%のグローバル関税で防波堤を築いた。
122条関税は制度上、当初から期限付きだった。法律そのものが賦課期間を150日に制限しており、延長はできない。失効日が7月24日と定められた背景にはこうした事情がある。トランプ政権が新たな法的根拠を急いで整えてきた理由でもある。
貿易法301条は、外国政府の不当または差別的な慣行に対し、関税賦課などで対応する権限を行政に与えている。違法とされた根拠の代わりに、裁判所が問題視しなかった別の法条項へ関税の土台を移す形だ。
301条には賦課期間の別途制限がない。期限付きだった122条と異なり、恒常的に維持できる手段であることから、関税政策の法的土台を安定させる狙いだとの見方が出ている。
関税を課す名目も変わる。相互関税が貿易赤字を理由に一律で賦課されたのに対し、301条関税は過剰生産と強制労働という個別事由を国ごとに適用する方式だ。通常は12か月ほどかかる301条調査が3、4か月で最終段階に入ったことについては、失効時期に合わせたスピード戦との解釈が出ている。
◆ 強制労働12.5%を先行…過剰生産は後から上乗せ
調査対象は、過剰生産16の経済主体、強制労働60の経済主体だ。韓国はいずれの項目にも挙げられた。
2つの関税は進行速度が異なる。強制労働関税は10~12.5%を課す計画が先月初めに発表され、公聴会も終えており、確定発表を待つ段階だ。一方、過剰生産関税は、まだ賦課計画すら示されていない。発表後に公聴会の手続きを踏むことを考えると、24日以前の確定は物理的に難しい。
過剰生産と強制労働という名目自体が、特定国を狙ったものではなく、広範囲に賦課できる根拠として設計されている点も特徴だ。強制労働項目だけで60の経済主体が挙げられていることから、実質的には大半の貿易相手国に適用可能な枠組みだとの評価もある。
強制労働と過剰生産の確定時期がずれることで、グローバル関税の失効に合わせ、早ければ今週中にもUSTRが強制労働関税を先に確定するとの観測が出ている。後に過剰生産関税が確定すれば、強制労働関税に合算される構造だ。韓国は強制労働関税12.5%に過剰生産関税が上乗せされる。
根拠法が変われば、輸出企業が直面する条件も再編される。税率や適用品目、賦課手続きが新たに設計されるためだ。失効と代替が数日差で進むだけに、通関や契約実務で混乱が生じる懸念も出ている。
関税拡大は複数国へ広がる兆しもある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は21日、トランプ大統領が今週中に数十か国へ新関税を課せるよう、複数の方策を準備していると関係者の話として伝えた。トランプ大統領は20日にも、301条ではなく1930年制定の関税法338条を根拠に、カナダ製品の大半へ50%の追加関税を予告している。
ただしホワイトハウス高官らは、昨年各国と結んだ貿易合意を尊重し、交易相手国との関係を安定的に保つ必要があると助言したとされる。11月の中間選挙を前に、貿易戦争による経済ショックや市場不安を受け入れる理由はないとの判断だ。
◆ 焦点は15%上限…適用方式で変わる
合意尊重の流れと強硬姿勢が併存する状況は、予測を難しくする要因と指摘される。最重要同盟国のカナダにも50%関税を予告した前例に照らせば、合意国という地位が自動的な安全弁になるわけではないとの慎重論もある。
韓国の関心は15%上限の維持可否に集まっている。韓国は米国と15%の関税で合意しているため、301条関税が15%を超えれば、合意違反にほかならない。
兆しはひとまず前向きだ。ジェイミソン・グリアUSTR代表は先月初め、合意上の関税上限を尊重すると公に述べた。韓米の高官間の意思疎通でも、15%上限は守られるとの言及があったと伝えられている。
15%という数字だけを見れば、すでに賦課予告されている強制労働関税12.5%との余地は2.5ポイントしかない。過剰生産関税がいくらに設定されるかによっては、上限を超える構造だ。
ただ、方式は不透明だ。過剰生産関税を別途賦課したうえで15%まで引き下げる、あるいは条件を付けて合わせる方式などが取り沙汰されている。いずれにせよ、「15%+α」の負担が課されれば、合意違反との指摘は避けられない。名目上は上限を守っても、条件履行の負担が新たに生じれば、実質的な負担は大きくなり得るとの懸念もある。
合意の有無が関税水準を分ける変数として作用しているわけだ。政府間の対話チャネルで上限維持に関する言及があったとはいえ、当面の破局の可能性は低いとみられている。それでも文書で確定するまでは不確実性が残るというのが、通商関係者の大勢の見方だ。
301条関税で15%上限が守られるかどうかは、米国が結んだ貿易合意の信頼性を測る試金石になるとの分析が出ている。24日前後に出るUSTRの発表で、上限適用の方式がどう設計されるかが、韓国の輸出企業の負担を左右する見通しだ。