連載を始めるにあたって
気候の記事はあふれている。記録が更新されたという知らせ、氷が溶けているという警告、何度上がったという数字。読者は知っている。地球が熱くなっているという事実を。
本当に知りにくいのは、その先だ。なぜある大陸は2倍の速度で熱くなるのか。なぜ豊かな都市が猛暑で崩れるのか。どの対策が実際に人を守ったのか。答えはいつも記事の外にあった。
世界保健機関は先月、欧州の猛暑期間における超過死亡者を1300人以上と集計した。同機関は、対応策があるだけで死亡を80%減らせたと明らかにした。言い換えれば、備えが不足していた分だけ被害が大きくなったということだ。気候危機はもはや気温の問題ではなく、備えの問題だ。
「気候、だからどうする」を始める。危機を知らせるだけでは終わらない。原因を最後まで掘り下げ、すでに検証された解決策を探す。失敗した対策も記録する。何が通用し、何が通用しなかったのかを見極めてこそ次がある。<編集者注>

サンゴの白化に関する長年の通念が覆った。海中で育つ色とりどりのサンゴが白く死んでいく現象について、これまで自然現象のエルニーニョが主因とみなされてきたが、実は人間が排出した温室効果ガスによる気候変動が原因だったという分析が出た。過去40年に地球が経験したサンゴの大量死の真の原因に迫った研究だ。
米国の気候研究団体クライメート・セントラルが主導した研究チームは21日、国際学術誌オーシャノグラフィーに論文を掲載した。過去40年間に地球で起きた大規模なサンゴ白化は、人為的な気候変動がなければ起こらなかったという結論だ。論文を率いたのはアンドリュー・パーシング、クライメート・セントラル最高プログラム責任者だ。
パーシング責任者は「気候変動がなければ、サンゴ白化はまれで局所的な事象にとどまっていただろう」とし、「地球規模の大規模白化はそもそも起きなかったはずだ」と述べた。海を温めた熱の出どころは自然ではなく人間だという診断だ。
研究が対象にしたのは、これまで記録された4回の大規模白化すべてだ。1998年に初めて観測されて以降、2010年、2014~2017年、2018~2025年まで続いた。いずれもエルニーニョの時期と重なる一方、地球気温が着実に上昇していた時期でもあった。研究チームは、この2つの要因が絡み合った結び目をほどき、人間の影響を切り分けた。

まず白化とは何かを押さえる必要がある。サンゴは植物のように見えるが、実際にはイソギンチャクと同じ仲間の動物だ。体内に「黄緑色共生藻」と呼ばれる微細藻類を抱えて生きている。
藻類は光合成で作った栄養をサンゴに渡し、サンゴ特有の色鮮やかな色合いも藻類によるものだ。両者は互いになければ生きにくい共生関係にある。サンゴが華やかな色を見せるのは、藻類が健康に生きている証拠だ。
問題は海水が熱くなりすぎたときに起こる。水温が限界を超えると、サンゴは体内の藻類を外へ吐き出す。色を作っていた藻類が抜けることで、サンゴの白い骨格がそのまま露出する。白く見える白化が起きる理由だ。
色を失ったサンゴは死んだわけではなく、飢えている状態だ。栄養を与えていた藻類がいなくなったからだ。水温がすぐ下がれば藻類が戻り、サンゴは息を吹き返す。だが高水温が長く続けば、サンゴは最終的に飢え死にする。最近のように、白化が回復の暇もなく繰り返されれば、サンゴ群は回復不能の坂道を転がり落ちる。
サンゴ礁はしばしば「海の熱帯雨林」と呼ばれる。狭い面積に数え切れないほど多くの生き物がすみついているからだ。サンゴがつくる凸凹した構造は、魚や貝、甲殻類の隠れ家であり産卵場でもある。サンゴが死んで骨格が崩れれば、海底は平坦な砂漠のようになり、そこに頼って生きていた生物も姿を消す。

研究チームが通念に反論した根拠は「帰属分析」と呼ばれる手法だ。特定の現象に人間活動がどれほど介入したかを数値で示す方法である。
研究チームは複数の気候モデルを用い、人間が排出した温室効果ガスが海面水温をどれほど押し上げたかを計算した。熱波や洪水が起きた際に、気候変動の影響が何%かを調べる分析と同じ原理だ。近年の気象災害報道で頻繁に登場する方法論でもある。
核心は「反事実シナリオ」だ。人間が化石燃料を燃やさなかったなら海水温はどうなっていたか、仮想の海をコンピューターで再現する方式である。実際の海と仮想の海を並べ、サンゴ白化リスクがどう変わるかを比較した。米国海洋大気局(NOAA)のサンゴ礁監視システムが作成した白化リスクモデルに結果を当てはめた。
結果は明瞭だった。2018年から2025年まで続いた白化事態では、白化が観測された71海域のうち、気候変動がなければ白化リスクにさらされたのはわずか1か所にすぎなかった。残り70海域の白化は、温暖化がなければ起こらなかったという意味だ。
1998年、2010年、2014~2017年、2018~2025年など、これまでエルニーニョと重なったすべての大規模白化でも同じ結論が出た。研究チームは、白化の閾値を超えさせた決定的な力は、そのたびに人間が生んだ温暖化だったと指摘した。とりわけエルニーニョの影響が大きいと考えられていた1998年の最初の事態でさえ、気候変動の明確な痕跡が残っていた。

エルニーニョは、しばしばサンゴ白化の元凶と誤解される。エルニーニョは太平洋赤道付近の海水が平年より暖かくなる自然現象で、数年ごとに訪れて世界の気候を揺るがす。水温を押し上げる性質のため、白化がエルニーニョの年に集中し、原因と指摘されてきた。
だが研究チームの説明は違う。エルニーニョは、すでに熱くなった海に最後の熱を上乗せする引き金にすぎず、弾丸を込めたのは温暖化だというのだ。温室効果ガスで温められた海が、白化の閾値ぎりぎりまで水温を押し上げた状態で、エルニーニョが少し後押しすると白化が起きるという論理だ。土台となる温度がすでに危険水準に達していることが問題の本質だ。
時間がたつほど、エルニーニョの役割は小さくなり、温暖化の役割は大きくなる。研究チームは、現在の温暖化の速度が続けば2028年には、サンゴが生息するすべての海域で、人間が引き起こした温暖化の影響がエルニーニョを上回ると予測した。今後の白化は、特別な自然現象が重なった結果ではなく、常に熱い海が招く日常的な災害へと変わるという見通しだ。
繰り返しが特に危険だ。白化を経験したサンゴが回復しきらないうちに再び熱い海水にさらされると、再生能力を失う。幼いサンゴを広める機会もなくなる。一度折れたサンゴ群がなかなかよみがえらない理由がここにある。かつては数十年に一度だった大規模白化が、ここ10年で何度も繰り返されている。
海がどれほど熱を帯びているかは、数値にも表れている。欧州コペルニクス海洋監視サービスによると、6月の全球海面水温は観測史上最高を記録した。6月末時点で海洋熱波は世界の海の約82%を覆っていた。海は温室効果ガスが閉じ込めた余分な熱の90%以上を吸収している。大気温暖化の負担を海が代わりに背負う構造だ。
サンゴが消えれば、人間も揺らぐ。残された時間は排出量次第だ。
サンゴ白化は遠い海の話のように聞こえるが、実際には人々の生計と直結している。サンゴ礁は海底面積のわずか0.2%にすぎないが、海洋生物のおよそ4分の1がサンゴ礁に依存して暮らしている。魚が卵を産み、稚魚を育てるゆりかごであり、数億人の食卓を支える漁場の土台でもある。
経済価値も莫大だ。米環境保護局の分析によると、世界のサンゴ礁が毎年生み出す純利益は約298億ドル、韓国ウォンで40兆ウォン台に達する。内訳は観光・レジャーが96億ドル、波を防いで海岸を守る沿岸保護機能が90億ドル、漁業が57億ドルを占める。サンゴ礁が崩れれば、沿岸漁場は生産性を失い、観光資源も消える。波を和らげていた天然の防波堤がなくなれば、沿岸の町は侵食と氾濫にそのままさらされる。
すでに被害は現実だ。国連支援の世界サンゴ礁観察ネットワークの調査では、2009年から2018年までの10年間に世界のサンゴ礁の14%が失われた。カリブ海では一部のサンゴ種が事実上機能を失い、宇宙からも見えるオーストラリアのグレート・バリア・リーフは2024~2025年に地域によってサンゴ面積の15~40%を失った。国連は、このままなら2050年までに世界のサンゴ礁の最大90%が失われる可能性があると警告している。
韓国周辺の海も安全地帯ではない。台湾南部海域では、NOAAのサンゴ礁監視システムが白化警報を2段階引き上げたことがある。大規模なサンゴ死滅が始まったという兆候だ。アジア東部沿岸は、進行中の2026~2027年のエルニーニョ局面で白化リスクが特に高い地域に挙げられた。南カリブ海、中南米沿岸とともに警戒対象となった。

亜熱帯の海に面した台湾や日本南部、東南アジア沿岸は、もともとサンゴの多様性が豊かな地域だ。それだけ失うものも大きい。韓国に近い海で起きる白化が、対岸の火事ではない理由だ。
科学者たちが手をこまねいているわけではない。米フロリダでは、敏感なサンゴをより深く冷たい海や、温度を調整する実験室へ移す避難作業が進んでいる。熱に強いサンゴ品種を探し、復元に活用する研究も続いている。ただし専門家たちは、避難と復元は時間稼ぎにすぎず、根本解決ではないと口をそろえる。
韓国もサンゴ問題と無縁ではない。済州沿岸には軟質サンゴの群集が広がり、亜熱帯化が進むにつれて南海岸にもサンゴが北上している。海水温の上昇速度が世界平均を上回る朝鮮半島周辺海域は、白化リスクをともに抱えている。漁業や観光に依存する沿岸地域の経済にとっても、他人事ではないとの指摘が出ている。
結局の答えは炭素排出の削減だ、というのが研究チームの結論だ。サンゴがどれほど暑さに適応しても、海が熱くなり続ければ耐えるすべはない。専門家は、海洋保護区を広げてサンゴに回復の余地を与えることも併せて強調する。漁業や汚染など、他のストレスだけでも減らせば、サンゴが暑さに耐える力が増すからだ。温暖化そのものを遅らせることはできなくても、時間を稼ぐ対策として挙げられる。
パーシング責任者は「数百万人と複数の国が、健全なサンゴ礁に生計と食料を頼っている」とし、「今すぐ排出を減らさなければ、私たちが知るサンゴ礁は消えてしまう」と強調した。サンゴに適応の余地が残っていたとしても、海が温まる速度がその余地を毎年削っているというのが研究チームの警告だ。海に残された時間は、人間が温室効果ガスをどれだけ早く減らせるかにかかっている、という診断である。