AIの次のボトルネックは半導体ではなく電力だという警告が出た。テスラ・スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は1日(現地時間)、米ノースカロライナ州チャペルヒルで開かれた主要20カ国(G20)革新相会議の新技術セッションにオンラインで参加し、「来年には深刻な電力不足が訪れる。遠い未来の話ではない」と述べた。インド通信社IANSなどの報道機関が発言内容を伝えた。
◆ 原発15基分の電力が不足する
マスク氏は、業界を見守る分析家らが「2027年のAIチップ稼働に必要な電力が少なくとも15ギガワット(GW)不足する」とみていると紹介した。
15GWがどの程度かを実感するには、原発と比べればよい。韓国の大規模原子炉1基が大体1GWを生み出す。15GWとは、原発15基が一斉に稼働してようやく得られる電力だ。韓国全体の発電設備容量の10分の1に近い規模が、AIチップ1つに不足するという意味だ。
原因は増加速度の差だ。マスク氏は、AIチップの生産が毎年40~50%増える一方、中国を除く地域で利用できる電力は年10~20%の増加にとどまると説明した。彼は「速く増える側が、遅く増える側を最終的に圧倒する」と述べた。AIチップは電力があって初めて動くため、いくら多く作っても電気がなければ使えない。
◆ 「電気をつくる国がAIデータセンターをつかむ」
データセンターや半導体工場など、電力を多く消費する産業の拡大に伴い、送電網はデジタル経済を支える核心インフラとして浮上している。(写真=ソリューションニュース)
マスク氏は電力不足を危機であると同時に機会でもあるとみた。発電設備を速く建設できる国は、AI企業の投資を呼び込めるというのだ。彼は「AIデータセンターに関心のある国なら、大量の電力を確保してAI企業に提供することがチャンスになる」とし、データセンターが立地すれば税金や利用料がその国に流れ込むと付け加えた。
マスク氏の発言は韓国にも示唆を与える。国内でも首都圏に集中したデータセンターが電力網に負担をかけ、新規建設が制限される問題が指摘されてきた。マスク氏の論理によれば、電力をどれだけ早く、どれだけ安く供給できるかが、今後のAI産業誘致の鍵になる。
◆ 「AIが経済を30%押し上げる…来年にはコーディングで人間を上回る」
マスク氏は、AIが世界経済を20~30%、金額で年間20兆~30兆ドル(約2京8000兆~4京2000兆ウォン)押し上げると見通した。世界経済規模が約100兆ドル水準であることを踏まえると、経済の大きさを3分の1近く拡大させるという予測だ。
ソフトウェア分野では時期まで明言した。彼は「来年のある時点で、AIソフトウェアが『ストックフィッシュ』水準になるだろう」とし、「人間がAIとコーディングで競争するのは不可能になる」と述べた。ストックフィッシュは、世界最強のチェス棋士でも勝てないチェスプログラムだ。チェスで人間がコンピューターに勝てなくなったように、プログラム作成でもその瞬間が来るという意味だ。
◆ ヒューマノイド10億台時代

より大きな変化は、人型ロボット、ヒューマノイドから来るとマスク氏は予測した。ロボットがロボットを作り始めると、最初は遅いがある時点で爆発的に増える「フィードバック」効果が生じるという説明だ。彼は「10年後にはヒューマノイドロボットが10億台を大きく超えるだろう」と述べた。
ロボット1台が人間1人の5倍を生産できるというのがマスク氏の計算だ。彼は「10億台のヒューマノイドが、人類全体よりも多く生産するようになる」と語った。テスラは独自のヒューマノイド「オプティマス(Optimus)」を開発中であり、マスク氏の展望は自社事業と重なる面があることを踏まえて受け止める必要がある。
◆ 「新技術は基本的に合法であるべき」
規制については、米国政府と同じ立場をとった。マスク氏は新技術を世に出す際に事前許可を求める方式に反対し、「新しいものは基本的に違法ではなく、基本的に合法であるべきだ」と述べた。規制が多い欧州連合(EU)を、技術発展が遅い事例として挙げた。
政府の支援の方向性についても注文をつけた。企業を森の木に例え、大企業は国家指導者に直接会えるが若い企業はそうではないとして、「システムは大きな木より小さな木を支援する方向に傾くべきだ」と述べた。
マスク氏の発言は、G20加盟国が新技術政策の枠組みである「カロライナ原則」に合意した場で行われた。米国主導のカロライナ原則は、経済成長を支えながら新技術を開発・導入できる政策の方向性を盛り込んでいる。