系外惑星の大気は丸くない…ジェイムズ・ウェッブで周囲を測定したところ夕方側がより膨張

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By Global Team

主なポイント

▶ 米コーネル大学と英ブリストル大学の共同研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測により、系外惑星WASP-17bの大気が完全な円形ではなく、片側に伸びたゆがんだ球状であることを確認したと、14日(現地時間)に発表した。研究成果は「Nature Astronomy」に掲載された。

▶ ブリストル大学のデービッド・グラント博士とハンナ・ウェイクフォード博士が開発した「透過ストリング(transmission strings)」という手法を初めて適用した。

▶ 惑星が恒星の前を通過する際、大気の縁を通る光を角度ごとに分けて測定する方法で、大気を同じ半径の円と仮定し、平均スペクトルだけを抽出していた従来の分析とは異なる。

▶ 地球から約1,300光年離れた「ホットジュピター」WASP-17bでは、赤道の夕方側の大気が朝側より膨らんでいた。

「透過ストリング」手法で描いた系外惑星WASP-17bの大気の形。赤道に沿った幅広い帯状のジェット気流が、恒常的な昼側から夜側へ物質と熱を運ぶ。(写真:Engine House、ハンナ・ウェイクフォード、コーネル大学提供)
「透過ストリング」手法で描いた系外惑星WASP-17bの大気の形。赤道に沿った幅広い帯状のジェット気流が、恒常的な昼側から夜側へ物質と熱を運ぶ。(写真:Engine House、ハンナ・ウェイクフォード、コーネル大学提供)

系外惑星の大気の形が、初めて周囲に沿って測定された。

米コーネル大学と英ブリストル大学が主導した国際研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータに「透過ストリング」手法を適用し、系外惑星WASP-17bの大気が完全な円形ではなく、片側に伸びた形であることを確認したと、14日(現地時間)に発表した。

これまで系外惑星の大気は、丸い円として描かれてきた。研究成果は同日、「Nature Astronomy」に掲載された。

◆ 一つの円から、周囲の各地点へ

系外惑星の大気は、惑星が恒星の前を通過する際、恒星の光が大気の縁を通り抜けて吸収される量をもとに分析する。

従来の方法では、大気の半径はどの方向でも同じだと仮定し、縁全体の平均スペクトルを一つ抽出していた。

ブリストル大学のデービッド・グラント博士とハンナ・ウェイクフォード博士が開発した透過ストリング手法は、惑星が恒星の前を通過する間に、大気の縁を通る光を角度ごとに分けて読み取る。

これにより、周囲の各地点で惑星の中心から大気の端までの距離を個別に測定できる。研究チームはこの方法を「トランジット・マッピング」と呼ぶ。JWSTで先行して試みられた「食マッピング」が、惑星が恒星の背後に回る際の光の変化を測定するのと対をなす手法だ。

筆頭著者でコーネル大学クラーマン博士研究員のリリー・オルダーソン氏は、「大気の半径はどの方向でも同じだと仮定するのではなく、この手法では惑星の中心から縁までの距離を方向ごとに導き出せる。指輪を一つ見る段階から、指輪のどこに宝石がはめ込まれているか分かる段階に進んだと言える」と話した。オルダーソン氏はブリストル大学で物理学の博士号を取得する過程で研究を始めた。

恒星の前を通過するWASP-17b。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測により、恒星の光を吸収する大気の形が明らかになった。(写真:Engine House、ハンナ・ウェイクフォード、コーネル大学提供)
恒星の前を通過するWASP-17b。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測により、恒星の光を吸収する大気の形が明らかになった。(写真:Engine House、ハンナ・ウェイクフォード、コーネル大学提供)

◆ 夕方側に「宝石」があった

観測対象は、地球から約1,300光年離れたWASP-17bだ。恒星のすぐ近くを公転する巨大ガス惑星、いわゆる「ホットジュピター」で、片側は常に昼、反対側は常に夜となっている。

測定の結果、大気は丸みを帯びているものの、片側に伸びた非対称な形をしていた。伸びていたのは赤道の夕方側だった。昼側から夜側へ熱を運ぶジェット気流が通る場所であり、理論や先行モデルが大気の膨張を予測していた領域だ。赤道の朝側はそれよりも低温で、膨らみも小さかった。

オルダーソン氏は、「理論では朝側と夕方側の温度差が大きいと予測されており、WASP-17bはその傾向によく合っている。予想どおりだった」と話した。

また、「惑星が実際に三次元の天体であり、恒星の周りを公転する間、私たちが予測した現象が一貫して起きていることを示す概念実証だ。計算で確かめることと、実際に見ることは別の問題だ」と述べた。

赤道から極へ、昼側から夜側へと続く温度変化や化学組成も、理論や他のモデルの予測と一致した。水と二酸化炭素は大気全体にほぼ均等に分布していた。

研究チームは、これらの測定結果を組み合わせ、系外惑星の大気についてこれまでで最も包括的な三次元画像を作成したと発表した。今回の結果は、これまでに確認された6,000個以上の系外惑星と比較する際の基準となる。

◆ 昼と夜を越えて、緯度ごとの天候へ

共著者でブリストル大学の天体物理学准教授、ウェイクフォード氏は、「惑星は気まぐれで、大気は複雑で混沌としている。これらすべての数値が一つになり、1,000光年以上離れた巨大惑星の、非常に構造的でダイナミックな姿を見せてくれたことに大きな興奮を覚える」と話した。

さらに、「最先端のデータに適用できる、非常に堅牢な数学モデルを得た。多次元で多面的な世界で起きている力学を美しく示す成果だ」と述べた。

研究チームは、WASP-17bで手法の有効性が確認されたことから、より多くの系外惑星に適用できるとみている。昼側と夜側の違いを超えて緯度ごとの環境を区別し始めており、系外惑星の気候における、天候規模のパターンを地図化する第一歩になるという。

データは、JWSTの科学者チームが複数の装置を使って系外惑星の大気を詳しく調べる「TST DREAMS」保証観測プログラムから得られた。コーネル大学のニコール・ルイス教授が主任研究者を務める。論文の著者は20人で、研究費はNASA、英国科学技術施設会議(STFC)、クラーマン・フェローシップが拠出した。