OpenAIでコンピューティングインフラを統括してきたサチン・カティ氏。入社から約1年で会社を去り、新たな事業に乗り出す。(写真=サチン・カティ氏のXアカウント)

OpenAIでコンピューティングインフラを統括していたサチン・カティ氏が、入社から約1年で会社を去る。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は14日(現地時間)、事情に詳しい関係者の話として、カティ氏が来月退任し、退社後も顧問として同社との関係を続ける見通しだと報じた。OpenAIはこの日、社内で正式に発表する予定だ。
後任はウデイ・ルダラジュ氏。イーロン・マスク氏率いるxAI出身で、今夏、コンピューティング能力部門の最高技術責任者(CTO)に昇進した。今後はコンピューティング戦略を担当し、グレッグ・ブロックマン社長に直接報告する。

◆ インテルCTOは7カ月、OpenAIは1年
カティ氏は2025年3月、インテルのネットワーク・エッジグループでCTO兼AI責任者に就任したが、同年11月、わずか7カ月でOpenAIに移った。
インテルはリップブー・タンCEOがAI事業を自ら統括することで、後任不在を補った。OpenAIでカティ氏が担ったのは、コンピューティングインフラの計画と構築だった。今年初めのインフラ組織再編後は、インフラチーム全体を監督し、ブロックマン社長に報告していた。
カティ氏が担当した重要課題の一つが「スターゲート」だった。OpenAI、オラクル、ソフトバンクが共同発表したAIデータセンター事業は、初期段階でソフトバンクやオラクルとの交渉が遅れ、計画に支障が生じていた。
WSJによると、カティ氏は両社とそれぞれ個別契約をまとめたほか、AWSをはじめとする主要サプライヤーとの追加コンピューティング契約も確保した。
他社が建設したデータセンターの賃借だけに頼らず、自ら用地を借りる戦略も復活させた。その成果が、8月にソフトバンク傘下のSBエナジーと締結した、10GW規模のオハイオ州データセンター賃貸契約だ。エヌビディアが最大1050億ドルの財務保証を行い、第1段階は2028年に稼働する予定だ。
WSJは7月、OpenAIが2030年までのコンピューティング投資見込み額を約6000億ドルから7500億ドルに引き上げたと報じていた。
◆ 2カ月でインフラ責任者が再び交代
インフラ部門で幹部が退社するのは、わずか2カ月ぶりだ。データセンター部門を統括していたクリス・マローン氏が8月に退社した。
メタで5年、グーグルで10年勤務した後、2025年3月に入社したマローン氏は、組織再編後、ブロックマン氏ではなくカティ氏に報告する体制となった直後に会社を去った。当時、OpenAIはルダラジュ氏、ブレント・メイヨ氏、スパス・ラザロフ氏ら経験豊富なデータセンターチームがいると説明していた。
今年OpenAIを去った幹部は、インフラ部門に限らない。サム・アルトマンCEOの右腕だったフィジ・シモ氏は、健康上の問題で製品・事業責任者を退き、顧問を務めている。
最高執行責任者(COO)のブラッド・ライトキャップ氏、最高収益責任者(CRO)のデニス・ドレッサー氏、最高マーケティング責任者(CMO)のケイト・ラウチ氏、倫理責任者のクロエ・バカラ氏、Sora責任者のビル・ピーブルズ氏も退社した。Business Insiderの集計によると、今年退社した幹部は13人に上り、その多くが直近1カ月に集中した。
ブロックマン社長は8月、CNBCの取材に対し、幹部の交代について、自身とアルトマン氏は変わらず会社にいるとして、不安定化の兆候ではないと述べた。OpenAIは株式上場の時期を今年から2027年に延期したと伝えられている。カティ氏の後任人事を除き、OpenAIから公式な発表はまだない。