27日(現地時間)、トゥルース・ソーシャルに「AI・人工知能という用語を、関連文書すべてで公式に禁止する」と投稿
9月29日の大統領令14434号により、連邦機関の文書で用語を変更
マスク氏は「スペースXSI」、ベニオフ氏は「SIフォース」に変更。一方、アンソロピックとオープンAIは「AI」を維持
要点
▶ ドナルド・トランプ米大統領は10月27日(現地時間)、トゥルース・ソーシャルに「まもなく、関連文書すべてで『AI・人工知能』という用語の使用を公式に禁止する」と投稿した。
▶ AIという言葉は不正確だとして、「超知能(Super Intelligence・SI)」に置き換えるよう求めている。トランプ氏は9月29日、連邦機関が公式書簡、ウェブサイト、報告書、政策文書でAIの代わりにSIを使うよう定める大統領令「超知能時代の幕開け」(14434号)に署名した。
▶ 大統領令の適用対象は法令に含まれない行政文書に限られ、すでに公表された規則・契約・助成金関連文書は修正しなくてもよい。SIの定義には、現行法が定めるAIの定義(15 U.S.C. 9401条)がそのまま使われる。

トランプ米大統領が「AI」という言葉をなくす意向を改めて示した。トランプ氏は27日(現地時間)、トゥルース・ソーシャルに「AIという用語は不正確なので、近く関連文書すべてとその他あらゆる分野での使用を公式に禁止する」と投稿した。
AIの代わりに「超知能(SI)」を使うよう求めている。トランプ氏は9月29日、連邦政府の文書でAIをSIに置き換える大統領令に署名しており、この日の投稿はその方針を民間にも広げる意向と受け止められる。ただし、大統領令には民間企業や報道機関に用語の使用を強制する条項はない。
◆ 変更したこと、変更していないこと
大統領令14434号「超知能時代の幕開け」は、連邦機関に対し、法律で認められる範囲内で、公式書簡、対外発信、ウェブサイト、報告書、政策文書など、法令に含まれない文書では「人工知能」や「AI」に代えて「超知能」や「SI」を使うよう定めた。
ホワイトハウスは、現在の技術は「AI」という言葉が初めて登場した当時に想定されていた水準を大きく超えており、連邦政府の用語は技術が持つ能力や米国民にもたらす機会を反映すべきだと説明した。また、「超知能」のほうが、その潜在力や急速に進化する能力をより適切に表現できるとしている。
変更されない点も明確だ。大統領令は、すでに公表された規則や大統領の措置、契約、助成金、過去の文書を修正する必要はないと明記した。SIの定義を新たに設けるのではなく、現行法(15 U.S.C. 9401条3項)が定めるAIの定義をそのまま適用する。名称だけを変え、内容は同じということだ。
法律を改正するのは議会の役割であるため、大統領令は大統領科学技術補佐官に対し、60日以内に法律上の定義を修正または置き換えるかを検討し、改正案と今後の対応を提案するよう求めた。署名日から数えた期限は11月28日ごろとなる。トランプ氏が述べた民間領域での「禁止」が法律に結びつくには、この手続きを経る必要がある。
◆ 9月の投票から国連演説、大統領令へ
用語の置き換えは9月から続いている。トランプ氏はトゥルース・ソーシャルで、AIに代わる言葉を尋ねる投票を実施。国連総会での演説では、「人工的(artificial)」という言葉が知能を偽物のように見せるとして、米国のすべての文書でSIを使うと表明した。その後、9月29日に大統領令に署名した。
27日の投稿は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を意識したものでもあった。トランプ氏はWSJに対し、AIの代わりにSIを使うよう圧力をかけた。これに対し、WSJのオピニオン・ニュースレターは、AIシステムの視点から書いた「AIをAIのままに」という記事で反論し、SIはすでに「スポーツ・イラストレイテッド」や国際単位系を指す略語だと指摘した。
◆ マスク氏は追随、アンソロピックは追随せず
民間企業の対応は分かれた。イーロン・マスク氏(スペースX CEO)は10月4日、XでスペースXのAI部門を「スペースXSI」に変更できるかと尋ねられ、「そうだ、そう変更する」と答え、その後、名称を変更した。ウェブサイトのアドレスは今もx.aiのままだ。
セールスフォースのベニオフCEOは「AIフォース」を「SIフォース」に変更すると表明した。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOはXの投稿でSIという言葉を使ったものの、製品や会社の名称は変更していない。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは、トランプ氏の大統領令が出る前の昨年7月から、「個人向け超知能」をメタのビジョンとして掲げてきた。
追随しない企業もある。アンソロピックは大統領令の3日後にあたる10月2日の発表文で、自社を「AI企業」と表現した。オープンAIも従来の用語を使っている。アンソロピックのダリオ・アモデイCEO、グーグルのスンダー・ピチャイCEO、オープンAIのグレッグ・ブロックマン社長はホワイトハウスの「超知能協定」に署名したが、それは各社が用語を変更することを意味しない。アマゾン・ウェブ・サービスのニュースブログも、「人工知能」のコーナーをそのまま残している。
学界からは、用語そのものへの批判が出ている。超知能は人間の知的能力を上回るAIを指す概念であり、現在のAI技術全般をSIと呼ぶのは、従来の技術的な定義と食い違うという指摘だ。
ロイターなどの海外メディアによると、ジェフリー・ヒントン・トロント大学名誉教授は「非常に明確な意味を持つ技術用語を、別の意味で再利用した」と批判した。トランプ氏が述べた民間領域での「禁止」がどのような手段で実施されるのかは明らかになっていない。