ホルムズ海峡の真ん中で炎に包まれたHMMナムホ号の爆発原因は、「不明な飛行体による攻撃」と結論づけられた。
これは韓国政府の合同調査団が10日に発表した内容であり、イラン当局がこれまで維持してきた「無関係」とする立場は、もはや一方的な否定だけでは耐えがたい局面に入った。
責任主体は特定されていないが、イランが米国・イスラエルとの戦争開始以降、ホルムズ海峡を封鎖し、第三国の商船を複数回攻撃してきた状況証拠が、視線を一方向へと集めている。
イランは事故直後から自国関与説を否定してきた。しかし、否定した主体とその重み、さらに同じ時期に流れた自国メディアの発言が食い違い、かえって疑念を深めた。韓国政府の発表を機に、テヘランがどのような動きを見せるのかが外交筋の関心事となっている。
◆大使館・国営メディア・議会…同じ事件、異なる声
イランの最初の公式反応は事故の2日後、6日に出た。在韓イラン大使館は声明で、「イラン大使館は、ホルムズ海峡で韓国船が受けた被害に関連し、イラン共和国の軍が関与したというあらゆる主張を断固として退け、強く否定する」と明らかにした。
声明は強い口調だったが、発信主体が外務省ではなく在外公館だった点で重みはやや落ちる。外交慣行上、軍の関与疑惑のような重大案件では、本国の外務省が直接立場を表明するのが通例だ。大使館名義の否定は、形式的な距離の取り方と受け取られる余地がある。
同じ日、イラン国営メディアのプレスTVでは、異なる趣きの文章が掲載された。「戦略分析デスク」のコラムは、「イランが新たに定義した海上ルールに違反した韓国船1隻を標的にしたことは、イランが物理的行動で主権を守るという明確なシグナルだ」と記した。
自国軍を直接名指しはしていないが、「物理的行動」という表現は攻撃の事実自体を示唆するニュアンスに近い。大使館声明とは真っ向から食い違うメッセージだった。
論争が拡大すると、翌日にはイラン議会の国家安全保障・外交政策委員長エブラヒム・アジジ氏が火消しに乗り出した。
韓国国会の外交統一委員長キム・ソンギ議員とのテレビ会談で、アジジ委員長は「イラン軍は攻撃していない」とし、「もしイランが本当に韓国船を標的に攻撃したのなら、堂々と政府や軍がやったと述べただろう」と強調した。「イランの報道機関の報道はイラン政府の公式見解ではない」「事実ではない、信じてほしい」といった発言も続いた。
問題はその後だ。8日にイラン国営IRNA通信が伝えた同じ通話に関する報道では、アジジ委員長によるナムホ号関連の否定発言がまるごと抜け落ちていた。
IRNAは、「韓国がホルムズ海峡での軍事作戦に参加しないと決めたのは賢明な措置だ」という評価だけを重点的に伝えた。韓国側には否定を、国内には別のメッセージを送る二重トラックに見える。
◆トルコ事例が示す「否定の文法」
今回のナムホ号事件と似た光景は、すでに中東各地で起きている。米国・イスラエルとイランの戦争が始まったこの2カ月余り、イランは隣国の米軍基地を狙って全面的な報復空爆を続けてきた。その過程で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国トルコの領土にもミサイルが何度も飛来した。
そのたびにトルコ国防省とNATOは、「イランからトルコへ飛来したミサイルを迎撃した」と明確に示した。イランの対応は一貫していた。ミサイル攻撃には関与していないとして、強硬に否定を繰り返した。
否定のパターンは単なる外交レトリックではない。自国の軍事作戦における意図した標的と、意図しない付随被害とを分けることで、責任の範囲を狭めようとする戦略的計算が背景にある。
ホルムズ海峡の封鎖と商船攻撃を「主権防衛」と位置づけるイランにとって、第三国の船舶に加えた被害まで認めることになれば、その大義は揺らぐ。
ナムホ号事件も同じ文法から自由ではない。プレスTVのコラムが攻撃を示唆するような表現を使った後、議会関係者が韓国側に即座に否定メッセージを伝えた流れは、国内向けメッセージと対外向けメッセージを分けて運用する構造と重なる。
◆まだ26隻の船が残っている
今回の事態の出発点から、あらためて確認する必要がある。今月4日(現地時間)、ホルムズ海峡内のアラブ首長国連邦(UAE)近海に停泊していたナムホ号で爆発と火災が発生した。死傷者はいなかった。しかし、韓国船が今回の紛争で初めて被害を受けた事件として記録された。
政府は、自力航行が不可能な状態のナムホ号を7日にUAEのドバイ港へ曳航した。その後3日間、火災原因の調査が行われた。
海洋水産部傘下の海洋安全審判院の調査官3人と、消防庁の鑑識専門家4人で構成された政府調査団は、ナムホ号の航海データ記録装置(VDR)と閉回路テレビ(CCTV)映像を確保した。乗組員の証言聴取や現場鑑識も並行して進められた。
ドナルド・トランプ米大統領は5日(現地時間)、ナムホ号が米国主導の航行保護任務に参加せず単独航行していたところ、イランの攻撃を受けたと主張した。
イランが米国・イスラエルの攻撃に対抗して、今年3月1日からホルムズ海峡を事実上封鎖して以降、現地にはナムホ号を含む26隻の韓国運航船が停泊している。25隻の行方は、今回の事件の処理方針に直接・間接に結び付いている。