iOS 26.5ベータ3が配布された。外観の変化は小さいが、メッセージのセキュリティと地図広告の導入など、核心的な機能の変化が含まれている。(写真=MacRumors)
アップルが次期OS、iOS 26.5の第3ベータ版を開発者向けに配布した。見た目は小幅な更新だが、内部をのぞくと性格は異なる。メッセージアプリのセキュリティを一段引き上げる一方で、地図アプリには初めて広告を載せるための土台を敷いている。アップルのアイデンティティに直結する2つの変化が、同じアップデートに同時に盛り込まれた形だ。
先週公開されたiOS 26.5ベータ3は、5月の正式配信を前にしている。アップルの視線はすでに、6月8日の世界開発者会議(WWDC)で公開される次期作iOS 27へ移っており、今回の26.5は最後の中間地点に近い。それでも軽く見るべき更新ではない。
Androidとのメッセージが、ついに「封印」される
最も目立つ変化は、RCSメッセージへのエンドツーエンド暗号化の導入だ。RCSは、SMSを代替する次世代標準で、iPhoneユーザーがAndroidユーザーと写真や動画をやり取りするときに使う通路だ。これまでこの通路には決定的な弱点があった。送信中に第三者が途中で傍受し、内容をのぞける可能性があったことだ。
エンドツーエンド暗号化が適用されれば、送信者と受信者だけが内容を解読できる。通信事業者も、アップルも、グーグルも中身を見ることはできない。iPhone同士で使うiMessageに適用されていたセキュリティ水準が、Androidとの会話にも同じように及ぶわけだ。
興味深いのは、アップルがこの機能を一度先送りしたことだ。すでに前回のiOS 26.4ベータで同機能を試していたが、先月正式配信された26.4には含まれなかった。安定性や互換性の検証に、さらに時間が必要だったとみられる。
韓国の利用者にとっては、体感できる効果は限定的かもしれない。カカオトークが会話市場を事実上掌握しているためだ。ただし、海外在住者や外国の友人・家族と頻繁に連絡を取る利用者には意味が異なる。米国や欧州ではRCSが日常的なメッセージ手段であり、その中でやり取りされる写真や動画がようやく安全な封筒に入ることになる。
地図に広告が出る…「アップルらしさ」が揺らぐ瞬間
アップルの地図アプリに広告が導入される見通しだ。検索結果の上部と、推薦スポットの領域に広告の表示が適用される。(写真=MacRumors)
2つ目の変化は、まったく逆方向からやってくる。Apple Mapsに広告を表示するためのコードが、iOS 26.5に組み込まれたのだ。
アップルは先月、米国とカナダの利用者を対象に、この夏から地図アプリに地域事業者の広告を表示すると明らかにした。利用者が検索した際に結果の上部へ広告が表示され、新たに作られる「おすすめスポット」欄の最上段にも広告が入る。おすすめスポットは、周辺の人気場所やユーザーの最近の検索履歴をもとに表示される。
この変化の重みは、単なる新機能の追加以上だ。アップルはこれまで、「われわれは広告で稼ぐ会社ではない」というメッセージをブランドのアイデンティティとして磨いてきた。
グーグルが検索と地図に広告を埋め込んでいく一方で、アップルはユーザー体験とプライバシー保護を掲げ、差別化を図ってきた。そんな会社が、自社の基幹アプリのど真ん中に広告を差し込み始めたのである。
もちろん安全装置はある。広告には「Ad」表記が付き、App Storeの検索広告に近い方式で運用される。アップルは、ユーザーの位置情報や広告への反応がアップルアカウントと連動しないと説明している。プライバシーを守りつつ収益を確保する折衷案だ。
問題は、その流れだ。アップルの広告事業はApp Storeから始まり、ニュース、株価アプリへと領域を広げ、いまや地図にまで到達した。次はどこか、という声が大きくなる理由でもある。韓国ユーザーへの当面の影響はない。広告配信地域が米国とカナダに限定されているためだ。ただし、このモデルが定着すれば、ほかの市場へ拡大する可能性は開かれている。
EUの圧力が生んだ意外な贈り物
3つ目の変化は欧州から始まる。iOS 26.5ベータでは、通知、Live Activities、AirPodsレベルの簡単なペアリングといったiPhone固有の機能を、他社製スマートウォッチやヘッドホンにも開放する作業が進んでいる。適用地域は欧州連合(EU)だ。
この変化の背景には、EUのデジタル市場法(DMA)がある。巨大プラットフォーム企業が、自社の端末やサービスだけを優遇できないようにする法律だ。
アップルはこれまで、自社のウォッチやAirPodsにだけ滑らかにつながるようOSを設計してきたが、これからはEUの利用者に限り、Galaxy Watchやソニーのヘッドホンでも似た体験を得られるようになる。
韓国の利用者は直接の恩恵を受けない。EU限定の措置だからだ。しかし示唆するところは小さくない。巨大プラットフォームが築いた閉鎖的な生態系の壁が、市場原理ではなく規制の力で崩される初めての事例だからだ。韓国でもプラットフォーム規制の議論が続いているだけに、EUの実験結果はいずれ私たちの話になる可能性がある。
最後に、iOS 26.5とwatchOS 26.5には、性的少数者の人権を象徴する新しい「プライド・ルミナンス」壁紙とウォッチフェイスが追加される。毎年6月のプライド月間を前に、アップルが繰り返してきた年中行事だ。
iOS 26.5は表面上はささいに見えるアップデートだ。だが、セキュリティ強化、広告導入、規制対応という3つの変化が一度に盛り込まれた事実は意味深い。アップルがどの方向へ進化しているのか、その断面がそのまま表れている。5月の正式配信後、利用者がどう受け止めるかが、6月のWWDCで公開されるiOS 27の青写真にも影響を与える見通しだ。
iOS 26.5ベータ3が配布された。外観は小幅な変化にとどまるが、メッセージのセキュリティと地図広告の導入など、核心的な機能の変化が含まれている。(写真=MacRumors)