4日(現地時間)S&P500は1.79%、ダウは1.71%上昇し、そろって史上最高値で取引を終えた。S&P500は7736.52となり、初めて7700台を突破した。
ベセント米財務長官が「きょうかあすにもホルムズ海峡の開放合意に達する可能性がある」と明らかにし、国際原油価格(WTI)は5.69%下落して75.77ドルまで急落した。ここ2日間の下落幅は10%前後に達する。
原油価格の落ち着きで米10年国債利回りは4.61%まで低下し、ハイパースケーラーの決算が刺激したAI投資期待も重なって、フィラデルフィア半導体指数は6.55%急騰した。
決算発表銘柄の明暗は分かれた。パランティアは29.4%急騰した一方、予想を上回る決算を出したスペースXとAMDは時間外取引で7~8%台の急落となった。
言葉ひとつで原油は押し下げられ、株価は記録を塗り替えた。中東の海上物流が息を吹き返すかもしれないというシグナルに、ニューヨーク市場は安堵のラリーを展開している。
4日(現地時間)のニューヨーク株式市場で、S&P500は前日比1.79%高の7736.52で引け、約2か月ぶりに史上最高値を更新した。7700台を超えたのは初めてだ。ダウ平均も1.71%上昇して5万4085.88となり、2日連続で新記録を打ち立てた。ナスダックは2.59%急騰し、2万6584.99を記録した。
◆「きょうかあすにも合意」――その一言で、原油は2日で10%下落した
上昇相場に火をつけたのは、スコット・ベセント米財務長官だ。ベセント長官はテレビインタビューで「現在イランと交渉を進めている」とし、「きょうかあすにもホルムズ海峡を再び開放し、紛争を正常な局面へ戻す合意に達する可能性がある」と述べた。合意が成立すれば、商船の自由な航行が保障されるとの説明も付け加えた。
ベセント長官は波及効果についても具体的に指摘した。海峡の内側には出航を待つ船舶が1000隻近く集まっており、航路が開かれれば供給の混乱は速やかに解消されうるという。
影響は原油だけでなく、肥料や精製石油製品、産業用ガスにまで及ぶとした。マルコ・ルビオ国務長官も、オマーンとイランの間の交渉に米国が関与しているとし、近く合意が期待できると述べた。仲介国カタールも、双方の外交接触がかなり進展したと評価した。
ホルムズ海峡は世界の原油供給の5分の1が通る海路だ。先月の海峡攻撃事件以降、封鎖懸念が原油価格に上乗せされていたが、交渉進展の報を受け、その上乗せ分が急速に剥がれ落ちている。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は5.69%安の1バレル75.77ドル、ブレント原油は5.3%下落して79.36ドルで引けた。両油種とも2日で約10%急落し、80ドル台を下回った。
原油安を受けて金利も低下した。原油価格の下落は物価上昇圧力を和らげ、市場金利を押し下げる要因として働く。米10年国債利回りは前日比0.063ポイント低下の4.61%、金融政策見通しに敏感な2年債利回りは4.19%で取引を終えた。同日に発表された6月の米求人件数が予想を下回ったことも金利低下材料となった。雇用需要が鈍れば、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切る根拠が強まるためだ。
先月初めの相場と比べると、劇的な反転だ。海峡攻撃直後には原油が急騰し、半導体株が急落して3指数がそろって下落した。1か月後に、原油急落と半導体急騰、指数の新記録という正反対の図が描かれたことは、中東情勢が市場の方向性を左右する最大の変数であることを示しているとの評価が出ている。
◆AI投資サイクル延長への期待、半導体が最も大きく上昇した
業種別の成績で最も大きく上昇したのは半導体だった。フィラデルフィア半導体指数は6.55%急騰し、メモリー企業を組み入れた上場投資信託(ETF)は7.35%上昇した。エヌビディア(2.56%)、TSMC(2.72%)、ブロードコム(6.61%)などの設計・ファウンドリー企業はもちろん、ラムリサーチ(7.85%)やASML(4.22%)といった装置メーカーまで幅広く上昇した。
ニューヨーク上場のSKハイニックスの米国預託証券(ADR)は、ウォール街で最高320ドルの目標株価が示された中、8.2%急騰し、韓国の投資家の注目を集めた。
韓国の半導体関連の技術ニュースも追い風となった。サムスン電子は同日、AIチップの上にメモリーを垂直に積み重ねる次世代構造「zHBM」を公開し、高性能メモリー競争に新たなカードを投じた。AI半導体の性能と電力効率を同時に高める構造で、メモリー業況への期待と相まって関連株の投資心理を刺激したとの見方がある。
背景には、決算シーズンが確認した投資継続のシグナルがある。アマゾンやマイクロソフトといったハイパースケーラーが堅調な決算とともにデータセンター投資拡大方針を再確認し、人工知能(AI)インフラ投資サイクルが長期化するとの期待がよみがえった。データセンターが増えるほどチップ、メモリー、製造装置の受注も増える構造で、半導体エコシステム全体に買いが広がったという分析だ。
追い風は重機株にも及んだ。建設機械大手キャタピラーはAIデータセンター建設ブームを背景に予想を上回る決算を発表し、5.60%上昇した。データセンターを建てるには土地を掘り、電力設備を整える必要があるため、AIの恩恵が建設機械需要につながっていると評価されている。
前日に好決算を発表したパランティアは、通常取引で29.4%急騰し、上昇相場の先頭に立った。
◆好決算でも売られる市場、高まった期待値が変数に
祭りムードの中でも警戒音は鳴った。通常取引で9%台の上昇を見せていたスペースXは、引け後に予想を上回る決算を公開したにもかかわらず、時間外取引で約7%下落した。大規模投資に伴うコスト負担が意識されたためだ。AMDも市場予想を上回る内容を示したが、時間外株価は8%台の弱含みとなった。
好決算でも株価が下がる場面は、市場の期待値がそれだけ高くなっていることを示す。株価に先に期待が織り込まれた状態では、予想を少し上回る程度では足りず、大きく期待を超えるサプライズがあって初めて追加上昇につながる構図だ。ラリーが続くほど、個別企業の決算発表が株価急変の導火線になりうるとの見方が出ている。
韓国株にも温もりをもたらす材料とされる。メモリーETFとSKハイニックスのADR急騰が示すように、米国市場が確認したAI投資継続のシグナルは、韓国の半導体大型株の投資心理に直結する。原油安は石油を全量輸入する韓国経済にとって、物価と貿易収支の両面で負担を軽減する要因になるという診断も続いた。
ただし、合意そのものはまだ正式に結ばれていない。イランは海峡に入る船舶の統制と出る船舶の監視権限を要求し、管理権を主張しているため、交渉にはなお隔たりが残る。原油急落が反転する可能性も排除できないだけに、ホルムズ合意の成立可否が安堵ラリー継続の分かれ目となる見通しだ。