サムスン電子の新しい折りたたみスマートフォン、ギャラクシーZフォールド8とその兄弟モデルのギャラクシーZワイドフォールドをめぐる情報が相次いで流出している。
変化の焦点は前面のセルフィー用穴だ。画面の一角を占めていた黒い点が、ほとんど気にならないほど小さくなる。業界が長年課題としてきた「切り欠きのない」ディスプレーに、サムスンがさらに一歩近づいたことを意味する。
海外メディアのPhoneArenaは24日、ITリーカーのIce Universeによる流出情報を引用し、フォールド8のカバーディスプレーのセルフィー穴が2.5mmまで縮小すると伝えた。前作フォールド7の3.7mmと比べると、直径は約3分の1小さくなる。
これは画素補正やベゼル削減といった小手先の調整ではない。レンズモジュール自体を新たに設計した結果とみられる。首位を守る市場支配者が、ディテールへのこだわりを強めていることを示す。
2.5mmという数字の意味は単なるサイズ以上だ。画面を見ながら、ユーザーが無意識に認識する視界妨害要素が消える臨界点に近い。
Notebookcheckは、同じ技術が8インチの内側ディスプレーに適用されれば、視覚的な断絶感がほぼ消えると指摘した。ただし、内側画面のサイズ変更の有無はまだ確認されていない。
◆ワイドフォールド、同じ部品で異なる比率
流出したレンダリングを総合すると、カメラ穴が小さくなったことで前面デザインの一体感が一段と強まった。基本型のフォールド8と大画面のワイドフォールドは、画面比率とフォルムファクターだけが異なり、核心部品を共有する可能性が高い。
消費者の立場では、この判断には意味がある。カメラ性能の違いを悩む必要がなく、自分の使い方に合った画面サイズを選べばよい。動画視聴やマルチタスク中心ならワイドフォールド、携帯性や片手操作を重視するならフォールド8、という選び方だ。
部品共有戦略は製造コストの面でも合理的だ。折りたたみ端末は一般的なスマートフォンに比べて部品点数が多く、歩留まりも低いため、ラインアップが増えるほどコスト負担が大きくなる。中核モジュールを共通化すれば、2モデルを同時に展開しても生産効率を維持できる。
GSMアリーナが3月に報じた追加の流出情報には、フォールド8本体のスペックも含まれていた。8インチの折りたたみ画面と6.5インチのカバーディスプレーの双方が120Hz駆動に対応する。チップセットにはGalaxy向けのSnapdragon 8 Elite第5世代が搭載される。
背面カメラは2億画素のメイン、5000万画素の超広角、1000万画素の望遠からなる3眼構成。バッテリーは5000mAhで、45Wの有線充電に対応する。前作より薄く軽くなる点も強調された。
◆ファーウェイが先に仕掛けた勝負手
業界の視線がサムスン電子に集まる背景には、すでに市場に投入された競合製品がある。ファーウェイは先月20日、中国でPura X Maxを正式発売した。折りたたみ市場で初めて、横長のワイドフォルムファクターを量産モデルとして投入した例だ。
Pura X Maxは7.7インチの内側ディスプレーと5.5インチのカバー画面を備える。比率は2対1に近く、開いたときには小型タブレットのように変わる。横向きの動画視聴やマルチウィンドウ作業が自然に行えることが、ファーウェイが打ち出す強みだ。価格は12GB RAMと256GBストレージの構成で、1万999元(約215万円)から始まる。
サムスン電子がワイドフォールドを準備している流れとまったく重なる。Android Authorityは、ワイドフォールドの7.6インチ内側画面と5.4インチカバー画面の仕様が、Pura X Maxとほぼ同じだと分析した。両社が似た時期に似たフォルムファクターを投入するのは偶然ではない。折りたたみ市場が、縦型から横型へ重心を移す転換点に入ったことを示している。
問題はスピードだ。ファーウェイが先に市場に旗を立てた状況で、サムスン電子はカメラ穴の縮小といった細部で差別化を図るしかない。なお、ファーウェイのPura X Maxについては、カメラ穴のサイズ情報は公表されていない。
◆アップルが1年遅れた理由
では、アップルはどう動いているのか。MacRumorsによると、アップルは今年秋、初の折りたたみiPhoneをiPhone 18 Proラインアップとともに公開する予定だ。5.5インチの外部画面と7.8インチの内部画面を備えたブック型デザインとされる。価格は2000ドル(約280万円)を超える見通しだ。
注目すべきは、アップルが折りたたみiPhoneの内部画面に24メガピクセルのアンダーディスプレーカメラを試みる点だ。JPモルガンのレポートを引用した情報である。従来のAndroid折りたたみ機のアンダーディスプレーカメラが4メガピクセルか8メガピクセルにとどまっていたことを踏まえると、大きな進歩だ。
本当の勝負はその先にある。MacRumorsはDigital Chat Stationの情報を引用し、アップルが2027年のiPhone発売20周年に合わせ、外部画面のカメラまでディスプレー下に完全に隠すフルスクリーンモデルを準備していると伝えた。穴のない、一枚のガラス板のようなデザインが目標だ。
ただし、Gadget Hacksの分析を見ると、アップルの計画にはほころびも見える。ディスプレー下にFace IDセンサーを埋め込む技術が、iPhone 18 Proでは外れる可能性があるという。カメラの隠蔽と生体認証の隠蔽という2つの難題を、18か月以内に同時に解決しなければならない状況だ。
◆進む道が分かれた
サムスン電子とアップルは、同じ目標を異なる道で追っている形だ。アップルはカメラを画面下に完全に隠す正攻法を選んだ。
視界の妨げを100%取り除く一方で、画面を通過した光がセンサーに届かなければならないため、画質低下という本質的な問題を抱える。光透過率と画像処理アルゴリズムが重要な変数になる。
サムスン電子は別の方向を取る。レンズモジュール自体を物理的に小さくする路線だ。報道によれば、新しいディスプレー統合技術と、より効率的な駆動回路の一部を有効領域の下に配置する方式が用いられたとされる。
画質は従来のパンチホールカメラ水準を維持しつつ、視覚的な妨げだけを最小化する。視界の妨害を0%にはできないが、画質を損なわず、ほとんど見えない水準まで引き下げることができる。
両路線の交差点は、結局ユーザーの体感にある。2.5mmは、人間の視覚的認知の限界に近いサイズだ。日常的に画面を見る距離では、意識して探さなければ見つけにくい。アップルのアンダーディスプレーカメラが2027年に登場しても、画質が落ちるなら、サムスンの小さなパンチホールのほうが実用上優位になる可能性がある。
折りたたみ端末のカメラ穴をめぐる1mm単位の競争は、単なるデザイン争いではない。どのディスプレー技術が市場標準を取るかを分ける分岐点だ。今年夏、ギャラクシーZフォールド8がベールを脱ぐ瞬間、その黒い点の運命も輪郭を現す。