テスラの自動運転チップに続き、脳-コンピューター分野へと広がるサムスンとマスクの同盟
来年上半期にテストチップ出荷、早ければ来年末の量産を目指す
▶ サムスン電子のファウンドリーが、イーロン・マスクの脳埋め込みチップ企業ニューラリンクの第4世代チップ開発に着手した。昨年末から4ナノプロセスで製造しており、来年上半期のテストチップ出荷、早ければ来年末の量産が目標だ。
▶ 第4世代チップは、脳信号を読み取って機器を制御する従来方式を超え、機器の情報を脳へ送る双方向機能を備える。視力を失った患者の視覚回復などへの活用が取り沙汰されている。
▶ サムスンは最先端の2ナノではなく、実績のある4ナノプロセスを選んだ。脳に埋め込むチップだけに、不良のない安定生産が優先との判断だ。第3世代までを担ってきたTSMCとともに、供給網を二重化する構図となる。
▶ AI注文の殺到でTSMCの生産が逼迫するなか、サムスンに機会が開けた。テスラ、エヌビディア、グーグルの受注に続く今回の協力で、サムスンは赤字ファウンドリーの2028年黒字転換を狙う。
サムスン電子がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が率いる脳神経科学企業ニューラリンクの次世代チップ生産に向けた開発に入った。サムスン電子がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が率いる脳神経科学企業ニューラリンクの次世代チップ生産に向けた開発に入った。(写真=ソリューションニュースAI画像生成)
サムスン電子がイーロン・マスク氏の脳埋め込みチップ企業ニューラリンクの次世代チップ生産に乗り出した。電気自動車と自動運転チップに続き、脳とコンピューターをつなぐ分野まで、両社の同盟は全方位へと広がっている。
韓国経済の独占報道によると、サムスン電子ファウンドリー事業部は昨年末から4ナノメートル(10億分の1メートル)プロセスを基盤に、ニューラリンクの第4世代の脳埋め込み用チップを開発している。
約1か月前に試験用チップの生産に入り、来年上半期にはテストチップを投入する予定だ。早ければ来年末の量産も可能と伝えられている。ファウンドリーとは、半導体を自ら設計せず、受託して製造のみを行う事業を指す。サムスンがニューラリンクの受注を獲得したのは今回が初めてだ。
◆ 脳から機器へ、そして機器から脳へ
ニューラリンクは2016年にマスク氏が設立した脳神経科学企業だ。人間の頭蓋骨にチップを埋め込み、手足を動かさず思考だけでデジタル機器を操作する技術を目指している。2019年に初のチップ「N1」を公開し、2023年には第3世代製品まで発表した。現在の企業価値は12兆ウォンに達する。
第4世代チップは、これまでの製品とは性格が異なる。これまでのチップは、脳から出る信号を読み取って機器に命令を送る一方向だった。新しいチップは逆に、機器の情報を脳へ送り込むところまでこなす。信号が両方向を行き来するわけだ。同社はこの方式で脳神経を刺激し、視力を失った患者に視力を取り戻させる道も開けるとみている。
◆ 最新チップにあえて「4ナノ」を使う理由
注目すべき点はプロセスの選択だ。サムスンの最先端技術は2ナノプロセスだが、ニューラリンクのチップには1世代前の4ナノが使われる。数字が小さいほど回路をより緻密に刻む先端プロセスだが、最も進んだチップにあえて精密さの低い工程を選んだことになる。
理由は安定性にあるとの分析が出ている。4ナノはサムスンが長く扱ってきたプロセスで、不良が少なく生産も安定している。脳に直接埋め込むチップは、わずかな誤差も許されない。実績のあるプロセスで作ってこそ、期限通りに信頼できる数量を供給できるという計算だ。
供給網の構図も変わる。ニューラリンクは第3世代チップまでは、主に台湾TSMCと協力してきたとみられる。第4世代からサムスンを加えることで、1社依存ではない二重化体制が整う。一部の海外メディアはTSMCが押しのけられる流れと解釈したが、元記事はサムスンを新たな協力先として加え、供給を安定させる方に重きを置いた。
◆ TSMCのボトルネックがサムスンに開いた隙
サムスンに機会が訪れた背景にはTSMCの事情がある。AIブームでエヌビディアのような企業がTSMCに巨額の受注を殺到させ、生産ラインは限界に達している。TSMCは先端プロセスの月間生産量を引き上げて対応したが、押し寄せる需要をすべて受け切れていない。空いた供給分や、供給先の多角化を望む顧客がサムスンに目を向ける流れだ。
サムスンにとっては反転の足がかりとなる。昨年はテスラと165億ドル(約25兆ウォン)規模の自動運転チップ供給契約を結び、エヌビディアとグーグルのAIチップ受注も相次いで獲得している。ただし差は依然として大きい。今年第1四半期の世界ファウンドリー市場ではTSMCが73%を握る一方、サムスンは7%にとどまった。ハン・ジンマン・サムスン電子ファウンドリー事業部長は最近の社内説明会で「2028年の黒字達成可能性は高い」と述べた。
脳埋め込みチップという遠い未来の事業までサムスンが取り込むことで、マスク陣営との協力は自動車を超えて人の体の中へと入った。受託生産事業の長年の赤字を断ち切れるかどうかは、最終的に量産段階での歩留まりと信頼性にかかっている。最も実績のあるプロセスで最先端チップを作るという戦略が、サムスンにどのような結果をもたらすのか注目される。