
サムスン電子の高帯域幅メモリー(HBM)の価格が、来年大幅に上昇するとの見方が相次いでいる。主力製品がHBM3EからHBM4に移行するなか、AI向けメモリーの供給不足と汎用DRAM価格の上昇が重なっているためだ。
7日、業界や証券関係者によると、サムスン電子は主要顧客と2027年のHBM供給価格について交渉を進めている。NVIDIAやBroadcomなど主要顧客を中心に、来年の供給量に関する協議が行われており、価格交渉も最終段階に入ったと伝えられている。
市場では、サムスン電子がHBM4の価格を従来のHBM3Eより大幅に高く提示したとみられている。ただし、現在取り沙汰されているのは交渉過程で提示された価格であり、最終的な契約価格はまだ確定していない。
◆ HBM3EからHBM4へ…平均価格は2倍との見通し
価格上昇の最大の要因は、HBMの世代交代だ。サムスン電子は2月にHBM4の量産を開始し、顧客向けに商用製品を出荷した。サムスン電子のHBMの主力も、HBM3EからHBM4へ急速に移りつつある。
証券業界は、この過程でHBMの平均販売価格(ASP)が大きく上昇するとみている。
KB証券は、2027年のサムスン電子のHBM販売価格が今年に比べて100%以上上昇すると予想した。HBM4の売上構成比が今年の約40%から来年には80%程度まで拡大し、HBM4がHBM全体の平均販売価格を押し上げると分析している。
市場調査会社TrendForceは先月29日、2027年のHBM全体の平均販売価格が今年に比べて121%上昇するとの見通しを示した。
AIサーバー需要が拡大し続ける一方でHBMの供給は逼迫していること、相対的に価格の高いHBM4の比率が高まることに加え、来年下半期からHBM4Eの生産も拡大することを理由に挙げた。
◆ 汎用DRAMの価格上昇もHBMの価格を押し上げる
汎用DRAMの価格上昇も、HBMの価格交渉に影響している。TrendForceは、今年第4四半期の汎用DRAMの契約価格が前四半期に比べて10~15%上昇すると予想した。AIサーバーを中心に高性能メモリーの需要が増えるなか、DRAMメーカーが先端プロセスの生産能力をサーバー向け製品やHBMに優先的に振り向けているためだ。
HBMと汎用DRAMは生産能力を共有している。HBMの生産が増えるほど、汎用DRAMに投入できるウェハーや先端プロセスの生産能力は減少する。

HBMは一般的なDRAMよりもウェハーの消費量が多い。業界では、HBMは同容量の汎用DRAMに比べて、はるかに広いウェハー面積を必要とするとみている。
実際、サムスン電子も、来年はDRAM業界全体のウェハー生産能力に占めるHBMの割合が、現在の約20%から30%近くまで高まると予想している。
HBMの生産拡大が汎用DRAMの供給を圧迫し、汎用DRAMの価格上昇が再びHBMの価格交渉力を高める構図が生まれている。
◆ HBM4は4ナノのベースダイを採用、製造コストも上昇
HBM4自体が従来製品より製造しにくくなっていることも、価格上昇の要因だ。サムスン電子のHBM4は、6世代の10ナノ級となる1c DRAMを積層し、最下部にはサムスンファウンドリーの4ナノプロセスで製造したロジックベースダイを採用している。
HBM3Eまではメモリープロセスを中心に製品を製造していたが、HBM4からは先端ロジックプロセスの重要性が大幅に高まった。DRAMの製造コストだけでなく、先端ファウンドリープロセスの費用も製品価格に影響する。
サムスン電子のHBM4は、ピン当たり11.7Gbpsの転送速度を安定して実現し、最大13Gbpsに対応する。サムスン電子は2月の量産発表時、1c DRAMと4ナノのベースダイを採用し、初期段階から安定した歩留まりを確保したと発表した。
来年のHBM価格には、供給不足だけでなく、HBM4への移行に伴う製造難度やコストの上昇も反映される可能性が高い。
◆ マイクロンはすでに2027年分を値上げして契約
競合のマイクロンも、来年のHBM価格を引き上げている。マイクロンは最近の決算説明会で、2027年のHBM供給量のかなりの部分をすでに販売しており、価格も2026年より大幅に上昇したと明らかにした。
サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は、2027年からHBMの価格上昇が本格的に反映され、汎用メモリーとHBMの収益性の差も縮小するとの見通しを示した。
マイクロンが実際に2027年の契約価格を引き上げたことで、サムスン電子やSKハイニックスも価格交渉で有利な環境を迎えた。
TrendForceも、AIサーバー需要の増加と限られた生産能力を踏まえ、HBMの供給不足は2027年まで続くと予想している。
◆ サムスンのDRAM売上高に占めるHBMの比率が拡大
価格と出荷量がともに増えることで、サムスン電子のDRAM事業に占めるHBMの割合も高まる見通しだ。
ハナ証券は、2027年に主要顧客向けのHBM4出荷が本格化し、サムスン電子のDRAM売上高全体に占めるHBMの比率が15%前後まで上昇すると予想した。
ただし、価格の上昇がそのまま利益の増加につながるとは限らない。HBM4の歩留まりや顧客認証の進捗、実際の契約価格、製品ごとの供給量が変数となる。市場で取り沙汰されている高いHBM4価格も、顧客との交渉を終えた最終価格ではない。
サムスン電子がHBM4の供給を本格的に増やす来年から、価格と出荷量が業績にどの程度反映されるかが焦点となる。