スペースX上場まで30日、スターシップV3まで打ち上げへ…韓国の宇宙産業はどこにいるのか【深層分析】

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By Global Team

15日(現地時間)、テキサス州スターベース発射場で人類宇宙開発史の分岐点が生まれる。イーロン・マスク率いる米民間宇宙企業スペースXが、次世代打ち上げロケット「スターシップV3」の初試験飛行に乗り出す。全長124メートル、推力9000トン。人類がこれまで作った中で最も強力なロケットだ。

スペースXは10日、自社SNSで「スターシップV3が史上初めて完成形となった」と明らかにした。公開された写真には、1段目ロケット「スーパーヘビー」の上に2段目宇宙船が集合住宅のように積み上がった姿が写っている。高さはアパート41階建てに相当する。

今回の打ち上げは単なる技術デモではない。米国が再び月に旗を立てる日程がここにかかっている。来月にも見込まれるスペースXのナスダック上場は、米資本市場の構図を変える転換点となる。そして韓国の宇宙産業がグローバル競争の中で生き残れるかを問う局面が始まる。

推力9000トン…NASAの打ち上げロケットの2倍を超える「怪物ロケット」

スペースXの「スターシップ」試験機が着陸燃焼を行っている。(写真=スペースX)

スターシップV3の最大の特徴は、圧倒的なエンジン性能だ。推力は約9000トンに達する。直前モデルのスターシップV2(7590トン)より20%強い。

米航空宇宙局(NASA)がアルテミス宇宙船の打ち上げに使用するロケット「宇宙発射システム(SLS)」の推力3900トンと比べると、2倍を大きく超える。

スペースXは2023年4月の初試験飛行以降、V1・V2段階を経て基礎技術と軌道飛行の安定性を確保してきた。1~6回目の飛行では機体再使用技術の確立が任務だった。

7~11回目では地球軌道飛行の安定化に集中した。12回目の飛行の主役となるV3は、実運用能力の検証のため宇宙へ向かう。

業界が注目するのはペイロード能力だ。スターシップV3が完全再使用型で低軌道(LEO)に運び上げられる貨物は最大200トンに達すると推定される。

ヌリ号のLEO搭載能力1.5トンと比較すると、130倍を超える数値だ。衛星や宇宙ステーションのモジュール、月着陸船を一度にまとめて送れるという意味でもある。

2028年、米国人が再び月へ…宇宙開発覇権を固める

今回の飛行が成功すれば、米国の宇宙開発日程が見えてくる。米国は先月1日、アルテミス2号の打ち上げに成功した。宇宙飛行士4人を乗せたオリオン宇宙船が10日間月周回軌道を回り、4月10日に無事帰還した。1972年のアポロ17号以来53年ぶりの有人月飛行だった。ただし今回の任務は月着陸は行わず、軌道飛行にとどまった。

2026年4月6日、月観測任務の途中、NASA所属宇宙飛行士のリード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、ジェレミー・ハンセンがオリオン宇宙船内でカメラを回して自撮りを撮影している。(出典=NASA)

実際の月着陸は2028年のアルテミス4号任務で試みられる。このとき使用される着陸船が、スペースXが開発中の「スターシップHLS」だ。スターシップV3はHLSの直接的な技術的母体である。

NASAは今年2月、アルテミス計画を修正した。当初は月着陸任務だったアルテミス3号を、地球低軌道でオリオンと着陸船のドッキングを試験する任務に変更した。実際の月面着陸は2028年のアルテミス4号に先送りされた。スペースXとブルーオリジンの両社に対し、日程加速を求める圧力カードを切った形だ。

V3が初飛行で成果を挙げれば、スターシップHLSの開発がNASAの要求するスケジュールに間に合う可能性が高まる。逆に失敗すれば、米国の月帰還が遅れ、その間に中国の有人月着陸計画(2030年目標)が米国を上回る変数が生じる。

これは単なる面子争いではない。月南極の永久影地域にある水資源やヘリウム3などの宇宙資源の確保権、月ゲートウェイ宇宙ステーションの運営主導権、火星有人探査の出発線が、この一度の打ち上げ成功の有無に連動している。

2570兆ウォンIPO…宇宙産業の資本ブラックホールとなる

スターシップV3の打ち上げは、来月予定されるスペースXのナスダック上場日程と連動している。

米金融界では、スペースXの企業価値を1兆7500億ドル(約2570兆ウォン)から最大2兆ドル(約2940兆ウォン)と評価している。米国株式市場史上最大規模の新規株式公開(IPO)だ。従来の最大記録だったサウジアラムコの290億ドルを、3倍近く上回る規模である。

スペースXは先月、米証券取引委員会(SEC)に非公開で登録届出書を提出した。6月8日週から機関投資家向けロードショーを開始し、6月末~7月初めに上場する日程とみられている。資金調達規模は最大750億ドルと推定される。

その資金がどこへ流れるのかは明確だ。スターシップの量産ライン拡張、スターリンク衛星網の増設、宇宙データセンター構築など、宇宙インフラ全般への再投資だ。すでに世界の打ち上げ市場の60%以上を占めるスペースXが、資本優位を背景に参入障壁をさらに高くする構図である。

ここで韓国の位置を点検する必要がある。韓国航空宇宙研究院とハンファエアロスペースが共同開発中の次世代打ち上げロケットKSLV-IIIの1段推力は500トン。スターシップV3の18分の1にすぎない。初打ち上げ目標は2030年だ。2030年には、スペースXはすでに火星無人貨物輸送を本格化させている可能性が高い。

韓国宇宙産業の解法…打ち上げ単価・再使用・民間主導

2026年4月2日、NASA宇宙飛行士でありアルテミスII任務司令官のリード・ワイズマンが、オリオン宇宙船の4つの主要窓のうち1つから月周回軌道投入燃焼を完了した後に撮影した地球の写真。(出典=米航空宇宙局)

格差を真正面から追いつくのは現実的ではない。ただし宇宙産業のバリューチェーンの中で、韓国が生き残れる余地は確かに残っている。打ち上げ単価、再使用技術、民間エコシステムという3本柱を同時に動かすべきだというのが業界の一貫した注文である。

▲最も急を要する課題は打ち上げ単価だ。ヌリ号は第1回打ち上げ当時、1回あたり約2000億ウォンがかかった。その単価は第4回打ち上げ基準で1500億ウォンまで下がった。25%の削減である。

ハンファエアロスペースがシステム統合企業として参加し、量産体制に転換した結果だ。この流れを定着させ、1回あたり1000億ウォン未満の水準に入らなければ、世界の小型・中型衛星打ち上げ市場で価格競争力を持てない。

▲再使用技術もこれ以上先送りできない課題だ。宇宙航空庁は昨年2月、KSLV-IIIを最初から再使用型ロケットとして設計変更する案を検討すると明らかにした。

メタンエンジン基盤で再使用化する案と、既存のケロシン100トンエンジンを強化する案が同時に検討されている。いずれにせよ決定が遅れれば、スペースXのスーパーヘビー回収技術とブルーオリジンのニューグレン1段再使用技術が、韓国のロケットとの格差を回復不可能な水準まで広げるおそれがある。

▲残る一つの柱は民間主導エコシステムへの転換だ。米国が宇宙覇権を固めた決定的要因は、NASAが自らロケットを作らず、民間企業に発注するモデルだった。

韓国もヌリ号4回目の打ち上げから、ハンファエアロスペースが製作総括を担っている。ただしハンファ、KAI以外の後続システム統合企業が登場しなければ、競争構図は機能しない。

イノスペース、ペリジーエアロスペースのような民間ロケット企業と、コンテック、セトレックアイのような衛星データ企業の成長を、政府調達と民間資本が同時に支える必要がある理由だ。

宇宙分業体制が答え…部品・素材・サービスで勝負すべき

大型ロケットで米国と真正面から競争することが不可能なら、宇宙産業の分業体制の中で韓国がつかむべき場所を作らなければならないという見方にも説得力が増している。

韓国が強みを持つ分野は明確だ。半導体とディスプレーが結合した衛星搭載体、精密加工が必要なロケット部品、衛星通信アンテナ、地上管制サービスである。

モルガン・スタンレーがまとめた「Space 60」銘柄リストでも、部品・サービス領域に韓国企業が入る余地は開かれている。

スペースX上場後、米国の宇宙関連銘柄のバリュエーションが全般的に再評価される可能性が高いとの分析が出ている。

この時、韓国の宇宙部品・素材企業が米国のロケット供給網に入る機会が開かれる。すでに一部の国内企業は、スペースXのエンジン用ニッケルベース超耐熱合金を納入している。この通路を政府レベルの産業政策で広げるべきだ。

15日のスターシップV3の発射台カウントダウンは、米国宇宙産業が次の段階へ飛躍する号砲だ。同じ瞬間、韓国の政策決定者の前には正反対のシグナルが点灯する。

追いかけるゲームは終わった。どの位置で生き残るかを決めるゲームが始まった。その答えを先送りする時間が長いほど、韓国宇宙産業の選択肢は狭まる。

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