輸入車が現代自動車・起亜の“本拠地”を突き破った。テスラの電気自動車「モデルY」が先月、韓国内で最も多く売れた乗用車となり、国産車が守ってきた販売1位の座が初めて移った。
韓国輸入自動車協会(KAIDA)によると、モデルYは先月8762台が販売された。国産車1位で全体2位の起亜ソレント(7836台)を900台以上上回った。輸入車の単一モデルが国産車を抜いて月間販売1位になるのも、電気自動車が1位を占めるのも初めてだ。
イーロン・マスクのテスラ最高経営責任者(CEO)は現地時間8日、すぐに反応した。ソーシャルメディアXに太極旗の絵文字を添えて「韓国は最高」と記した。現代自動車・起亜の本場で歴史的な瞬間が生まれたという投稿も共有した。今年韓国で売れた輸入車の3台に1台はテスラだという自評も込められていた。
◆「価格」が生んだ1位
記録の背景には価格がある。モデルYは中国生産分を持ち込み、価格を抑えた。開始価格は4999万ウォンで、そこに補助金が加われば負担はさらに軽くなる。
競争構図そのものが変わった。国産車の代表格であるソレント・ハイブリッドが3896万ウォンから始まる点を踏まえると、電気自動車と内燃機関車の価格差は大きく縮まった。
同じような値段なら、新技術を備えた電気自動車を選ぶ消費者が増えるということだ。テスラが攻撃的な価格戦略で市場に深く切り込んだ結果だという分析が出ている。
1モデルだけの成果でもない。テスラは先月、韓国内で1万866台を販売し、BMWとメルセデス・ベンツを抜いて輸入車ブランド1位に立った。両ドイツブランドの販売を合わせた数より多い規模だ。新規登録された輸入乗用車の3台に1台以上がテスラだった。
◆揺らぐ本拠地、中国という変数
現代自動車・起亜にとって、本拠地市場の亀裂は痛い。内需で圧倒的優位を享受してきた両社が、今や自国市場で輸入電気自動車の追撃を受けることになった。
注目すべき点は「中国」だ。モデルYの価格競争力は中国生産から生まれた。さらに中国の電気自動車メーカーBYDも国内で3カ月連続で1000台超を売り、存在感を広げている。コストパフォーマンスを前面に出す電気自動車が、韓国消費者の抵抗感を急速に崩している流れだ。
電気自動車への転換期において、価格が勝負を左右するというシグナルでもある。補助金と生産地戦略によって順位が揺れ動く市場で、ブランド忠誠心だけでは地位を守るのは難しくなった。
◆補助金が剥がれた後が本当の試験台
いまの優位が固定されたわけではない。モデルYの強さは、攻撃的な価格設定と補助金に支えられた面が大きい。補助金が減るか価格政策が変われば、販売曲線も変わり得る。
1カ月の記録がトレンドになるのか、それとも一時的なブームに終わるのかは、価格が正常化した後に見えてくる。明らかなのは、国産車が本拠地で享受してきた無風地帯が消えたという事実だ。現代自動車・起亜が価格と電動化のスピードでどう応戦するかが、次の順位表を左右する。