鄭義宣会長、アイオニック3の品質を自ら点検…欧州電気自動車市場に本腰

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By Global Team

現代自動車グループの鄭義宣会長は、7月30日(現地時間)にトルコ・イズミット工場を訪れ、アイオニック3の生産ラインを点検し、現地の生産・販売戦略について協議したと2日に明らかにした。

鄭義宣会長が現代自動車のトルコ工場の従業員らとともに生産ラインを点検している。(写真=現代自動車提供)
鄭義宣会長が現代自動車のトルコ工場の従業員らとともに生産ラインを点検している。(写真=現代自動車提供)

欧州の小型電気自動車市場をめぐる完成車メーカー同士の競争が熱を帯びている。現代自動車が初のBセグメント電気車アイオニック3で参入を控える中、グループトップ自らが量産2週間前の生産現場へ直接飛んだ。

現代自動車グループは、鄭会長が7月30日(現地時間)にイスタンブール近郊の港湾都市イズミットにあるトルコ工場を訪れ、アイオニック3の生産ラインを視察し、従業員らと現地での生産・販売戦略を話し合ったと2日に発表した。

◆ 量産2週間前、トップ自ら現場に立った

鄭義宣会長が現代自動車のトルコ工場の従業員らとともに生産ラインを点検している。(写真=現代自動車提供)
鄭義宣会長が現代自動車のトルコ工場の従業員らとともに生産ラインを点検している。(写真=現代自動車提供)

鄭会長は車体生産から内装・組立ラインまで全工程を確認し、徹底した品質点検を要請した。

鄭会長は「量産初期から品質を最優先に置き、顧客の期待を超える完成度で市場競争力を高めなければならない」とし、「特に安全については、欧州で最高の車両として認められるようにすべきだ」と強調した。さらに近くの現代モービスのバッテリーシステム組立(BSA)工場を訪れ、アイオニック3に搭載されるバッテリーの生産工程も確認した。

訪問時期には意味があるとの見方も出ている。アイオニック3は8月中旬に量産を開始し、下半期から欧州で順次販売される。新車の初期品質が欧州市場定着の成否を左右するとの判断が、トップの現場行動の背景にあるという分析だ。欧州の消費者や評価機関は、安全性と完成度に特に厳しい基準を求めることで知られている。

トルコ工場にとっては初の電気自動車への挑戦となる。1997年に稼働を開始した同工場は、現代自動車の海外生産拠点の中で最も長い歴史を持つ。年間生産能力20万台、累計生産340万台を積み上げ、i20やベイオンなど欧州戦略小型車を担ってきた。約30年間小型車のみを扱ってきた工場が、電動化転換の試練に直面している。

鄭会長は工場の従業員らに組織変革も注文した。鄭会長は「過去30年間に築いた成果を基盤にさらに成長できるよう、新しい時代の変化に合わせて働き方を変えていかなければならない」と述べた。続けて「生産、品質、販売の全分野で、名実ともにトルコ最高の企業になれるよう、持続的な競争力強化を推進すべきだ」と求めた。来年の量産30周年を前に、工場に対して電動化転換と体質改善を同時に求めた発言と受け止められている。

トルコ国内での販売成績は上昇基調にある。現代自動車は昨年、トルコで前年より6.7%増の6万7120台を販売し、今年上半期も3万1630台と前年同期比2.3%増となった。生産拠点であり販売市場でもあるトルコの比重が高まる流れだ。

◆ 欧州需要の15%を占めるBセグメント、電動化の激戦地に

鄭義宣会長が現代自動車のトルコ工場の従業員らとともに生産ラインを点検している。(写真=現代自動車提供)
鄭義宣会長が現代自動車のトルコ工場の従業員らとともに生産ラインを点検している。(写真=現代自動車提供)

現代自動車が小型電気車に力を入れる背景には、欧州市場の構造がある。Bセグメントは欧州全体の自動車需要の15%を占める重要な車格だ。狭い都市部の道路や短い走行距離、実用性を重視する消費傾向が重なり、小型ハッチバックの需要は安定している。

電動化のスピードは急速だ。Bセグメント内での電気自動車の比率は現在14%程度だが、2030年には33%、2035年には65%まで拡大すると予想されている。

内燃機関の小型車需要が電気車へ移り変わる流れを先取りする企業が、欧州販売の主導権を握るという計算が完成車メーカーの間に広がっている。フォルクスワーゲンをはじめ欧州の主要メーカーが小型電気車の投入を相次いで拡大している背景も同じ文脈で理解される。

現代自動車の欧州ラインアップでは、Bセグメント電気車が空白だった。インスター、コナ・エレクトリック、アイオニック5、アイオニック6、アイオニック9へと陣容を広げてきたが、需要層が最も厚い車格が欠けていた。

アイオニック3は、その最後の空白を埋める車種と評価されている。電気自動車専用プラットフォームE-GMPを基に、空力性能と室内空間の両立を狙ったエアロハッチデザインを採用した。欧州販売モデルとして初めて次世代インフォテインメント「プレオスコネクト」も搭載した。

◆ ルノー・フォルクスワーゲン・BYDの三つ巴、勝負を分けるのは価格と安全

鄭義宣会長が塗装工場の模型の前で、現代自動車のトルコ工場の従業員らと塗装品質について話している。(写真=現代自動車提供)
鄭義宣会長が塗装工場の模型の前で、現代自動車のトルコ工場の従業員らと塗装品質について話している。(写真=現代自動車提供)

ルノーはレトロ調デザインを前面に出した「ルノー5」で、フランスなど主要市場で販売を伸ばしている。フォルクスワーゲンはスペインの生産拠点を活用し、小型電気車ラインアップを拡充して量販モデルの受注を急速に積み上げている。中国のBYDはハンガリー工場生産でEU関税を回避し、小型車攻勢の準備を進めている。

勝敗の要素は価格、安全、そして生産基盤に集約されるとの分析がある。欧州の小型電気車市場は2万ユーロ台後半の価格帯で形成されており、補助金やオプション構成を含めた実質購入価格の競争力が販売台数を左右するとみられる。低価格攻勢を仕掛ける中国ブランドと正面から価格競争をするより、手の届く価格に商品性の優位を上乗せする戦略が有効との見方が多い。

安全性は差別化の切り札として挙げられる。鄭会長が安全を強調したのは、欧州の新車安全評価で最高水準を確保し、後発ブランドとの差を広げる戦略と受け止められている。欧州消費者は小型車であっても安全装備を妥協しない購買傾向を示してきた。

現地生産の利点も武器となる。トルコ工場はEU関税同盟圏にあり欧州向け輸出の負担が小さいうえ、30年にわたり蓄積した小型車の生産ノウハウと協力会社のエコシステムを備えている。現代モービスがバッテリーシステムを現地で組み立てる構造は、物流費削減と供給安定の両面に寄与すると評価されている。

奨学事業や災害復旧支援などで築いてきた現地からの信頼も無形資産として挙げられる。現代自動車グループは2023年のトルコ地震の際、義援金と救援物資を支援し、毎年現地の学生400人に奨学金を支給している。生産拠点が地域社会に根付くほど、雇用の安定と生産品質の向上が同時に進むとの見方が続く。

国内部品産業への波及効果も期待される。アイオニック3の販売が軌道に乗れば、バッテリーセルや電子部品、素材を供給する韓国の協力会社の受注も増える構造だ。欧州での現地生産と韓国の部品供給網が連動する分業体制が、電気自動車時代の輸出方程式として定着しつつあるとの評価が出ている。

アイオニック3が来年の年間4万台目標を達成すれば、現代自動車は欧州の電動化競争で大衆車級の足場を確保することになる。小型車の激戦地で収める成績が、欧州市場における現代自動車の地位を占う指標になるとの見方が出ている。