【解説】サムスン電子ゼネスト回避の成果給合意、黒字・赤字事業部めぐる対立焦点に

Photo of author

By Global Team

写真=サムスン電子
写真=サムスン電子

サムスン電子の労使は5月20日、賃金・団体協約の暫定合意案をまとめた。翌日未明に予定されていたゼネストを目前にした時点だった。労組がストライキを保留したことで、半導体生産ラインの稼働停止という最悪の事態はいったん回避された。

今回の合意の重みは、ストを止めたことだけにとどまらない。核心は、サムスン電子が10年単位の新たな成果給制度を設けた点にある。1年ごとの賃金交渉で終わっていた労使関係が、長期の時間軸に乗ったことになる。

合意を導き出したのは、金永勲(キム・ヨンフン)雇用労働部長官が自ら乗り出した仲裁だった。この日午前、中央労働委員会の事後調整が決裂した後も長官主宰の追加交渉が続き、合意案は午後10時40分ごろに姿を現した。

◆黒字と赤字、同じエンジニアをどう束ねるのか

今回の交渉の核心的争点は、同じ半導体部門の中で黒字を出している部署と赤字の部署をどう扱うかという問題だった。

サムスン電子の半導体事業を担う組織は、デバイスソリューション、略してDS部門と呼ばれる。DS部門の中でも事情は分かれる。メモリー事業部は利益を上げている一方、ファウンドリー事業部とシステムLSI事業部は赤字状態にある。

会社側は「成果のあるところに報酬がある」という原則を掲げ、差等支給を主張した。労組は、赤字事業部で働く社員も同じ半導体エンジニアだとして、モチベーション向上のための配分を求めた。両者の立場は簡単には折り合わなかった。

合意案は、双方が一歩ずつ譲った結果だ。労組は、成果給の財源を営業利益の15%から事業成果の10.5%へ引き下げる案を受け入れた。

会社側は、赤字事業部にも一定水準の成果給を支給することにした。ただし、赤字事業部への差等配分方式は1年間猶予され、2027年から適用される。当面の衝突を先送りし、時間を稼いだ形だ。

◆12%の成果給と10年という時間表

合意書が描く報酬構造は二つの柱からなる。従来の超過利益成果給(OPI)制度はそのまま維持する。これに加え、DS部門特別経営成果給が新設される。OPIの1.5%と特別経営成果給の10.5%を合わせると、成果給の規模は12%水準に達する。

特別経営成果給の財源は、労使が合意して定めた事業成果の10.5%だ。支給率の上限は別に設けない。税引き後基準で全額が自社株で支給される。受け取った株をすぐにすべて売却することはできない。3分の1は直ちに売却可能だが、残りはそれぞれ1年と2年間、売却が制限される。

財源配分比率は、部門40%、事業部60%と決まった。共通組織の支給率はメモリー事業部の支給率の70%水準に合わせた。赤字事業部は部門財源を活用して算出した共通支給率の60%を受け取る。

注目されるのは適用期間だ。特別経営成果給は今後10年間維持される。ただし条件が付く。

今年から2028年までは、DS部門の年間営業利益が200兆ウォンを超えなければ支給されない。2029年から2035年までは、その基準が年間100兆ウォンに引き下げられる。報酬の扉を開いておきつつ、実績という錠前も同時にかけた構造だ。

DX部門の社員には、600万ウォン規模の自社株が別途支給される。賃上げ率は6.2%に決まった。基本引上げ率4.1%に成果引上げ率2.1%を加えた数値だ。労使は社内住宅融資制度や子どもの出産祝金、給与キャップの引き上げでも合意した。共生協力のための財源造成計画もまとめる予定だ。

◆合意が終わっても、労組内の計算はずれている

半導体成果給をめぐる争いは沈静化した。しかし今回の合意は、労組内部にさらに解きにくい結び目を残した。

この数カ月、労組の交渉力はDS部門の成果給一つに集中していた。その間、スマートフォンや家電など完成品をつくるDX部門、すなわちデバイスエクスペリエンス部門の処遇は、交渉の席にほとんど上らなかった。

このずれはすでに組織の亀裂へと広がっている。今月4日には、DX部門を基盤とする同行労組が共同交渉団から離脱した。

労組が一枚岩で動けなければ、会社側の負担はむしろ大きくなる。DS部門とDX部門をそれぞれ相手に、賃金交渉を行わなければならない状況が現実になる可能性があるためだ。

◆最後の関門は組合員の票

合意は結末ではない。暫定合意案は、組合員の賛否投票という最後の関門を越えなければならない。サムスン電子労組は22日午後2時から27日午前10時まで、組合員を対象に投票を行う。この結果によって、6カ月間韓国社会を揺るがしたサムスン電子の賃金対立の行方が決まる。

今回の合意は、報酬制度をめぐる労使対立がもはや1年単位の交渉では終わらないことを示すシグナルとして受け止められる。10年単位の時間表を組んだ以上、黒字と赤字の事業部の間の緊張も、その期間じゅう続かざるを得ない。

1年の猶予という折衷は、対立を解消したというより、ひとまず先送りしたに近い。2027年、差等配分が実際に適用される時点で、労使が再び同じ問いに向き合うかどうかは、その時になってみなければ分からない。

Leave a Comment