SKハイニックスは22日、インテルの米オハイオ半導体工場の買収推進報道について「買収計画はない」と否定した。5年以内の米国でのメモリー生産を目標に交渉中だという前日の報道を受けた対応だ。
インテルはオハイオ州ニューオールバニに工場2棟を建設しているが、経営難に伴う投資縮小で稼働時期が2030年以降に後ろ倒しになっている。
否定にもかかわらず見方が続く背景には、崔泰源SKグループ会長の発言がある。来年はメモリー需要が60~100%増えるとし、米国を含む新たな生産拠点の必要性を繰り返し訴えてきた。
SKハイニックスの米国生産拠点は、建設中のインディアナHBMパッケージング工場だけだ。ウェハーを生産する前工程ファブを新たに建てるのか、既存施設を買うのかが今後の注目点とされる。

SKハイニックスがインテルの米オハイオ州半導体工場敷地と施設を買収するという報道を否定した。22日の業界によると、オハイオ半導体キャンパスの買収推進報道について「買収計画はない」という立場を明らかにした。
前日には、SKハイニックスが5年以内に米国内でメモリー半導体を生産することを目標に、インテルとオハイオ工場の買収交渉を進めていると報じられた。
単独報道の形で出た買収説は、会社の公式否定により一日でいったん収束した。しかし半導体業界では、米国内でのメモリー生産の可能性そのものが閉ざされたわけではないという解釈が出ている。グループ総帥が米国での新工場建設の可能性を相次いで言及してきたためだ。
◆建設途中のインテル工場、買収説が出た背景がある

買収説の舞台となったインテルのオハイオキャンパスは、ニューオールバニで建設中の半導体工場2棟だ。インテルが2022年、初期投資額200億ドルを掲げて発表した大型事業である。
インテルは経営難と投資調整により、昨年、大規模な人員削減と投資縮小計画を発表し、この工場の稼働時期も当初計画より遅い2030年以降へと延期した。
建設途中の大型工場は、買収する側から見れば時間を短縮できる物件だ。用地確保や許認可、基盤工事にかかる数年を省けるからだ。米国で生産拠点を急いで整えたい企業と、投資負担を軽減したいインテルの利害が一致するという見方が、買収説の土台だった。
米国政府による国内投資の圧力と、半導体サプライチェーン再編の要求も買収説が出た背景として挙げられた。買収が成立すれば、5年以内に米国現地でメモリー生産が可能になるというシナリオだった。
両社の取引は初めてではない。SKハイニックスは2020年、インテルのNANDフラッシュ事業部を約88億ドルで買収する契約を結び、米国子会社ソリダイムの設立と中国・大連工場の譲り受けを経て、昨年その手続きを完了した。こうした経緯が今回の買収説に蓋然性を与えたという解釈も出ている。
SKハイニックスは明確に否定した。上場企業が買収報道に対して公式見解を出すのは、株価や投資判断に影響する事案であるため、市場の混乱を抑えるための手続き的な意味合いがある。ただし、否定の対象はオハイオ工場の買収という特定の取引であり、米国を含む海外生産拡大の検討自体を否定したわけではないという評価が業界では出ている。
◆需要は倍増、供給は横ばい…発言が残した余地

市場が買収説に敏感に反応した背景には、崔泰源会長の最近の発言がある。メモリー供給不足がAIデータセンター投資拡大と重なる中、HBMとサーバー用DRAMの生産能力拡大は業界共通の課題として浮上している。
崔会長は15日、韓国商工会議所の済州フォーラム記者懇談会で「今年より来年は60~100%多くメモリーを求められている」と述べた。来年は供給がほとんど増えないため、需要と供給の差がさらに広がるほかないという診断も示した。供給量を早く増やすには規模が大きくなければならず、世界中から候補地を探して優先順位をつけ、迅速に建設すべきだという趣旨だった。
米国投資への言及はさらに直接的だった。崔会長は10日(現地時間)、米ニューヨークのNASDAQ本社での記者懇談会で、条件に合う場所なら米国でも世界のどこでも構わないという立場を示した。最大の市場は米国にあり、相当な収益も米国から生まれ、多くの顧客が米国内での工場建設を望んでいると説明した。
同日、海外メディアとのインタビューでは、電力と用水、用地、人材、サプライチェーンが整うなら米国に工場を建てられない理由はないと述べた。米国での前工程投資の前提条件をトップ自ら提示した格好だ。一連の発言は、SKハイニックスがNASDAQに米国預託証券(ADR)を上場した直後に出た。米資本市場へのデビューと投資示唆が重なり、現地生産への期待を高めた側面がある。
AIサーバー向けメモリー需要が供給を上回る局面で、トップが新たな生産拠点の必要性を繰り返し強調したことで、市場は次の手として米国工場の候補地を探し始めた。インテル・オハイオ買収説が力を得た土壌だという分析が出ている。会長発言の後、証券業界では米国投資観測が続き、今回の買収説もその延長線上で出たとの評価だ。
◆新設するか、買って改修するか、選択肢は分かれる
SKハイニックスが米国で保有する生産拠点は、まだ限られている。インディアナ州で高帯域幅メモリー(HBM)の後工程中心の先端パッケージング工場を建設しているだけで、ウェハーを生産する前工程ファブの建設計画は公式化していない。
前工程はウェハー上に回路を描いて半導体を作る前段工程、後工程は完成したチップを切断して包装する後段工程を指す。インディアナ工場は後段を担う施設であり、米国でメモリーを最初から作る体制はまだ整っていない。
米国での前工程進出を決めた場合、経路は大きく二つに分かれる。用地を選んで一から建てる新設と、インテル・オハイオのような既存施設を買い取って改修して使う買収方式だ。
新設は設計から思い通りに進められる一方、用地選定や許認可、建設に数年かかる。買収は時間を節約できる反面、変数が伴う。
ファウンドリー向けに設計された施設をメモリー生産用に改修する費用と期間、そして再編が進行中のインテルの状況に伴う不確実性が負担要因とされる。海外半導体企業が米国で補助金や税制支援を受けて工場を建てる流れも、判断材料として挙げられる。
国内投資との優先順位調整も課題だ。SKハイニックスは今月、NASDAQ上場で調達した約40兆ウォンを、龍仁半導体クラスターと清州先端パッケージング工場など国内生産基盤に投入する計画を明らかにしている。米国前工程投資が加われば、資金配分の問題が生じる。
投資家の立場では、否定後も会社が公式発表する投資計画を基準に判断する必要があるという助言が出ている。買収説段階の情報は変動性が大きいためだ。
結局の焦点は条件だ。崔会長が示した電力と用水、用地、人材、サプライチェーンの要件を満たす候補地が現れるかどうかが、米国前工程投資判断を左右する尺度とされる。今回の否定でオハイオという選択肢は消えたが、米国生産をめぐる議論は続くという見方が優勢だ。