インターネット上に散らばった文章の断片をつなぎ合わせて、特定の人物を見抜くAIの危険性が高まっている。ネイバーはこの防御アイデアを社外から募る実験を続けている。
ネイバーは18日、京畿道城南市の1784本社で個人情報保護アイデア公募戦「ネイバー・プライバシーチャレンジ」の本選を開いたと19日に明らかにした。「AI時代の個人情報保護強化策」をテーマに全国の大学生・大学院生からアイデアを集め、本選では10チームが競った。
最優秀賞は「バブアジョシ」チームに渡った。複数のオンライン投稿に散らばった情報を総合して個人を推定できるリスクをAIで分析し、不要な露出を減らす方法を提案した研究だ。賞状とネイバーペイポイント150万ウォンを受け取った。
名前を伏せて書いても安心はできない。通う学校や住む地域、職場、趣味が投稿ごとに少しずつ残る。断片情報が一つに集まって個人が浮かび上がる現象を「モザイク効果」と呼ぶ。匿名アカウントでも「○○駅の近くに住んでいる」「子どもが今年小学校に入学した」といった書き込みが積み重なれば、推定範囲は急速に狭まる。
かつては断片をつなぎ合わせるのに手間がかかった。今ではAIが検索と組み合わせを数秒でやってのける。バブアジョシチームは、露出リスクを事前に診断し、利用者が自ら痕跡を減らせるようにするアプローチを採った。
生成AIに特定IDで書いた投稿を集めて整理するよう求めたり、写真の背景だけで撮影場所を推定したりする事例が国内外で報告されている。思い立てば専門知識がなくても身元追跡が可能な環境になったということだ。
個人情報保護法は、他の情報と結び付けて個人を識別できる情報まで保護対象にしている。断片情報の結合が法律上も認められるリスクだという意味だ。公開投稿がAI学習に使われる中で、結合リスクはさらに高まったとの見方が出ている。
イ・ジンギュネイバー個人情報保護責任者(CPO)は「急変するAI時代に合わせて、安全で革新的なオンライン生態系をつくるため多様な意見を聞いている」とし、「役職員と利用者、中小事業者を対象に個人情報保護の認識向上活動を続ける」と述べた。
ネイバーは2016年から、利用者提案に報いるPER(プライバシー改善報奨)制度を運営してきた。個人情報保護を強化するアイデアが実際のサービス改善につながれば報奨を支給するプログラムだ。
今年上半期には130件が受け付けられ、29件に353万ウォンが支払われた。同制度の開始以来、累計1659件が寄せられ648件が反映され、報奨金は約7120万ウォンに達する。受け付けた提案10件のうち4件ほどがサービス改善に使われた計算だ。
セキュリティ業界のバグバウンティに似た仕組みだ。バグバウンティは外部の専門家や利用者がセキュリティ上の弱点を報告すると、企業が報酬を支払う制度だ。内部人員だけでは見つけにくい盲点を外から補う。グーグルやアップルなど海外の技術企業は、重大な脆弱性の報告1件に数億ウォン級の報酬を提示することもある。ネイバーはその原理をプライバシー領域に広げた。
国内では昨年、大手通信会社の加入者情報流出事件を経験し、個人情報への不安は大きく高まっている。事故後の収拾費用と信頼失墜が、予防投資より大きいことも改めて確認された。
企業にとっては、事故を未然に防ぐ方がはるかに安い。個人情報保護法改正で、違反企業に科せる課徴金の上限は関連売上高の3%まで引き上げられた。流出事故が一度起きれば、課徴金に加えて信頼失墜まで重なり損失は大きくなる。予防に使う報奨金が保険料の性格を帯びる背景だ。
外部の提案を受ける方式は、外部監査より費用が少なく、利用者の信頼も得られる利点がある。ただし、報奨規模が小さいと参加が一過性のイベントで終わる可能性があるとの見方もある。1件あたりの平均報奨額は11万ウォン程度だ。
会社レベルの管理対象は協力会社まで広がった。ネイバーは個人情報処理を委託された受託会社の点検システムを構築し、パートナー企業の保護活動を支援している。委託先で事故が起きても、被害は結局利用者の負担になるからだ。プライバシーセンターの改編や、個人情報の適法処理に関する研究班の運営も並行して進めている。
大学生公募戦の形式は、若い利用者の感覚でリスクを洗い出すと同時に、個人情報分野の人材を早めに確保する通路にもなる。審査過程そのものが、同社の保護政策を知らせる広報の場としても機能する。
利用者が今すぐ実践できることもある。古い投稿や使っていないアカウントを整理し、コミュニティごとにニックネームを変える方が安全だ。住んでいる地域や職場、子どもの情報のように、組み合わさるほど危険性が高まる内容は投稿から外す習慣が必要だ。
プラットフォームが提供するツールを活用する方法もある。検索露出履歴やアカウントの接続記録、個人情報の利用履歴を確認すれば、知らないうちに広がった痕跡を減らせる。政府も、子どもの頃に投稿した記事の削除を支援する「消しゴムサービス」を運営している。児童・青少年期の投稿が成人後に足かせになる事態を防ぐ狙いだ。
AIの発展速度に合わせて、個人情報への脅威も速くなっている。企業だけでは防ぎにくいリスクを、利用者の集団知で補うモデルが定着するのか、大学街のアイデアが実際のサービスにどれだけ反映されるのかが、今後の見どころだ。