木星の外側を公転する氷の天体が、彗星へと変わる過程が観測された。
米セントラルフロリダ大学(UCF)フロリダ宇宙研究所のチャールズ・シャンボー研究准教授の研究チームは、今月1日(現地時間)、小天体450P/LONEOSでガスと塵の噴出を確認したと発表した。研究チームは、米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハワイのジェミニ北望遠鏡を使用した。論文は今年6月、米天文学会の『Planetary Science Journal』7巻6号に掲載された。
450Pは2004年1月に米ロウェル天文台の探索プログラム(LONEOS)が発見した天体だ。名称はこのプログラムに由来する。核半径は約1.8km。木星と海王星の間を22.4年周期で公転する。

◆ ケンタウルス天体とは
天文学界では、木星から海王星の間を公転する小さな氷の天体をケンタウルス天体と呼ぶ。小惑星のように活動がないかと思えば、彗星のようにガスを噴き出すこともある。ギリシャ神話の半人半馬にちなんで名付けられた。
これらの天体は、海王星のさらに外側にあるカイパーベルトから来たとみられている。カイパーベルトは冥王星が属する、太陽系外縁の氷天体の領域だ。巨大惑星の重力に影響されて内側へ入り込んだ天体がケンタウルス天体となる。
ケンタウルス天体の軌道は、木星、土星、天王星、海王星のうち少なくとも一つと交差する。そのため、軌道は数百万年単位で不安定だ。巨大惑星がこれらを太陽側へ押し出したり、太陽系の外へ放り出したりする。
太陽側へ押し出された天体は、木星族彗星になるという仮説がある。木星族彗星は、公転周期が20年未満で、木星の重力の影響を受ける彗星だ。シャンボー教授は発表文で、「ケンタウルス天体は太陽系のさらに外側から来て、木星族彗星へ徐々に進化する過渡期の天体と考えられている」と述べた。
◆ 1992年の土星接近が軌道を変えた

450Pが活動を始めたきっかけは土星だ。研究チームが軌道を逆算した結果、この天体は1992年に土星へ460万kmまで接近していた。地球と月の距離の約12倍にあたる。
この接近で軌道は大きく縮小した。太陽に最も近づく点(近日点)は現在、5.4天文単位、約8億1000万kmだ。1天文単位は地球と太陽の距離、約1億5000万kmを指す。木星の軌道は5.2天文単位だ。
研究チームは2019年から2024年まで450Pを観測した。この期間、天体は太陽から7.83天文単位から7.24天文単位まで近づいた。2022年のジェミニ北望遠鏡の画像ではコマは見えなかった。その後の観測では、核の周囲にガスと塵の雲が現れた。
シャンボー教授は、「太陽熱が増すと核の表面と地下層が温められる」とし、「この層が温まると、揮発性の氷や閉じ込められていたガスが抜け出し、表面の塵を引き連れてコマを作る」と説明した。

◆ 水ではなく二酸化炭素がコマを形成
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、コマの成分を分析した。二酸化炭素ガスが検出された。水蒸気と一酸化炭素は検出限界以下だった。
彗星活動は、氷が液体を経ずに直接気体になる昇華によって起こる。水の氷は、太陽にかなり近づかなければ昇華しない。二酸化炭素の氷、いわゆるドライアイスは、はるかに低い温度で気体になる。
シャンボー教授は、「450Pがいる距離では核があまりに冷たく、水の氷の昇華が主な活動要因になることはない」とし、「二酸化炭素の検出は、コマを動かしている力が何かを示す重要な手がかりだ」と述べた。
ウェッブ望遠鏡は、結晶構造を持つ水の氷の粒子の痕跡も捉えた。地球で見る氷は、分子が規則正しく並んだ結晶氷だ。太陽系外縁天体の氷は、その多くが分子配列の乱れた非晶質氷である。非晶質氷は多くの空隙にガスを閉じ込める。熱を受けると結晶氷へ変わり、閉じ込められていたガスを放出する。

研究チームは論文で、摂氏マイナス133度からマイナス113度(140~160K)の間で起こる結晶化が、二酸化炭素の放出を引き起こしたと分析した。シャンボー教授は、「結晶氷があるということは、コマの中の氷の一部が形成後そのまま残ったのではなく、加熱や物理的変化を受けたことを示している」と述べた。
シャンボー教授は、「450Pのような天体の研究は、小天体の進化段階をつなぐのに役立つ」とし、「活動や表面特性、揮発性物質の組成を調べれば、彗星核が太陽系内側へ移動するにつれてどう変化するのか、原始的な氷をどれほど長く保存するのかが分かる」と語った。
450Pは2027年7月に近日点を通過する。公転周期22.4年は、木星族彗星の基準である20年を上回るため、現時点ではまだ木星族彗星には分類されていない。