ブルームバーグは9月8日(現地時間)、アンソロピックがAIスタートアップのディカート買収を取りやめたと報じた。交渉とデューデリジェンスは進めたが、契約締結には至らなかった。
取り沙汰されていた買収額は約60億ドル、日本円で約8兆円規模だった。ブルームバーグは8月13日、交渉が行われていると最初に報じていた。
ディカートは2023年9月にイスラエルのテルアビブで創業した企業だ。チップ性能を高め、AIモデルの学習や運用コストを下げる技術を開発している。
アンソロピックは買収を見送ったものの、別の形での協業の可能性は残しているとブルームバーグは伝えた。
アンソロピックは6月初め、米証券取引委員会(SEC)に上場申請書類の草案を非公開で提出した。市場では10月初めの上場が取り沙汰されている。
また、アンソロピックは5月28日のシリーズHで650億ドルを調達した。企業価値は9,650億ドルだ。サムスン電子とSKハイニックスも参加した。
[写真=アンソロピック]
アンソロピックがAIスタートアップのディカート買収を取りやめた。ブルームバーグは9月8日(現地時間)、事情を知る関係者の話として報じた。
ブルームバーグによると、アンソロピックはディカート買収を検討し、デューデリジェンスまで進めていた。契約締結直前の段階で最終的に撤退した。取り沙汰された金額は約60億ドル、ウォン換算で約8兆円規模だ。ブルームバーグは8月13日、両社が60億ドル規模の買収を協議していると最初に報じたが、その時点でも合意はまだまとまっていなかった。
ブルームバーグは、両社に別の形での協業余地は残されていると伝えた。
◆ ディカートとはどんな企業か
ディカートは2023年9月、イスラエルのテルアビブで設立された。ディーン・ライタースドルフ最高経営責任者(CEO)とモシェ・シャレフ最高製品責任者(CPO)が創業した。
主力技術はチップ効率だ。AIモデルを学習させ、サービスとして動かすにはGPUなどの半導体が大量に必要になる。同じチップでより多くの演算を処理できれば、その分コストは下がる。ディカートはエヌビディアGPU、Google TPU、Amazon Trainiumなど、異なる種類のチップで共通して動く推論・学習プラットフォームを構築した。特定企業のチップに縛られない設計だ。
リアルタイム映像生成技術も備えている。遅延時間を30ミリ秒以下に抑えたモデルを発表した。
資金調達は急速に進んだ。2025年8月7日には、セコイア・キャピタルやベンチマークなどが参加したラウンドで1億ドルを調達した。当時の企業価値は31億ドルだった。2026年5月19日には、ラディカル・ベンチャーズ主導のラウンドでさらに3億ドルを確保した。
エヌビディアが新規投資家として加わり、アドビ・ベンチャーズ、トヨタ・ベンチャーズ、イーベイ・ベンチャーズも参加した。ラウンド後の企業価値は40億ドルと評価された。累計投資額は4億5300万ドルだ。
取り沙汰された60億ドルの買収額は、直近の評価額を50%上回る水準だった。
◆ 上場を控えるアンソロピック
アンソロピックは上場準備を進めている。6月初め、米証券取引委員会に上場申請書類(S-1)の草案を非公開で提出した。法務アドバイザーは、Googleの2004年上場を担当したウィルソン・ソンシーニだ。市場では10月初めに上場する可能性が取り沙汰されている。
直前の資金調達で確認された規模は大きい。アンソロピックは5月28日(現地時間)のシリーズHラウンドで650億ドルを調達したと発表した。評価された企業価値は9,650億ドル、日本円で約144兆円だ。5月末時点の年換算売上高は470億ドルと集計された。
国内企業もアンソロピックの株主名簿に名を連ねている。サムスン電子とSKハイニックスはマイクロンとともにシリーズHに参加した。SKテレコムは2023年8月、約1億ドルを投資した。
上場を控える企業が8兆円規模の現金支出を決断するのは負担が大きい。デューデリジェンスまで終えたうえで撤退した背景について、アンソロピックとディカートの双方は公式コメントを出していない。