SKT「社員4000人がAIエージェントを作成」…「AX革新2.0」加速化を発表

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By Global Team

▶ SKテレコムは1日、全社的なAIトランスフォーメーション(AX)を「個人から組織へ、利便性から実用性へ」と進化させる「AXイノベーション2.0」を加速すると発表した。

▶ 今年、AIエージェントを自ら作った社員は4,000人を超え、社内で定期的に利用されているエージェントは1,500に上る。

▶ 次の段階では、個人がAIを使うレベルを超え、組織の業務プロセスや協業のあり方をAI中心に再設計する。

SKテレコムのキム・インスAI Boardチーム長が、利川にあるSKテレコム人材開発院でAXの現状について説明している様子(写真=SKテレコム)
SKテレコムのキム・インスAI Boardチーム長が、利川にあるSKテレコム人材開発院でAXの現状について説明している様子(写真=SKテレコム)

SKテレコムが社内AIトランスフォーメーションの第2段階に進む。同社は1日、全社的なAIトランスフォーメーション(AX)の方向性を「個人から組織へ、利便性から実用性へ」と定め、「AXイノベーション2.0」を加速すると発表した。

これは、チョン・ジェホンCEOが6月の「ニュー利川フォーラム」で、AIエージェントに社員番号を付与し、社員と同じように管理する方針を示したことを具体化するものだ。

第1段階の成果は数字に表れている。今年、SKテレコムでAIエージェントを自ら作った社員は4,000人を超えた。社内で定期的に利用されているエージェントは1,500に上る。同社は、社員がAIツールを使って自分の業務を支援するエージェントを作る文化が広がったとみている。第2段階では、そうしたエージェントを個人のデスク上から組織の業務プロセスへと移していく。

◆導入直後はいったん効率が落ちる

SKテレコムが第2段階の目標に掲げるのは、「AXのJカーブの谷を突破する」ことだ。Jカーブとは、アルファベットのJのように、最初は下がった後、大きく上昇する曲線を指す。

AIを導入すると、当面は社員の再教育や業務の進め方の再設計、データや組織の整備に時間がかかり、効率が低下する。その谷を越えた組織だけが生産性を高められるという。SKテレコムは、谷を生み出す要因としてデータへのアクセス、システム連携、セキュリティを挙げた。エージェントを作っても、社内データに接続できず、既存システムと連携できず、セキュリティ規定に阻まれれば役に立たないということだ。

SKテレコム「A.Xイノベーション2.0」の主要な実行プログラムと導入技術(資料=SKテレコム)
SKテレコム「A.Xイノベーション2.0」の主要な実行プログラムと導入技術(資料=SKテレコム)

そのために進めるプログラムは3つある。△「AXイネーブラーTF」は、AIの活用に伴って生じる共通課題を全社的に解決する。教育・支援体制やデータ・セキュリティー基盤を整えるほか、AIエージェントに社員番号を付与し、評価制度を設けるなど、経営インフラの再設計も担う。△「AXサンドボックス」は、既存業務をAI中心に一から組み立て直す実験だ。上半期にはサービス開発部門で、社員1人がAIエージェントだけを使い、企画から開発、検証までを完了する実験を行った。下半期には全社に広げ、複数の社員と複数のエージェントが協働する方法を探っている。△「AXカタリスト」は、現場でAIを積極的に活用する社員10人を9月に第1期メンバーとして選び、AIモデルの利用費用や技術・データ連携を支援する制度だ。メンバーがデータ、権限、システム、セキュリティー面で直面する課題をイネーブラーTFとともに解決し、ほかの社員が同じ壁にぶつからないようにする。

◆原本を見せずにAIを活用

セキュリティーと活用を両立させる技術も発表した。「Z.E.Z(Zero Exposure Zone)」は、AIにデータの原本を見せずに業務を行わせる技術だ。個人情報などの機微な原本は別の領域に保管し、AIにはメタデータや照合用トークン、計算結果など、業務に必要な処理結果だけを渡す。たとえば、AIが顧客の住民登録番号を直接見ることなく、「この顧客は条件を満たしているか」を判断できる仕組みだ。SKテレコムは特許を出願した。

「データデスク」は、AIが社内データを理解できるよう支援する。これまで社内データは、システムや開発者の利便性を基準に管理されてきた。そのためAIにとっては、データが業務上どのような意味を持つのか把握しにくかった。データデスクは各データに説明や業務上の文脈を自動で付与し、エージェントが必要な情報を見つけて利用できるようにする。

「ワークマップ」は、反対に、人の仕事をAIが読み取れるよう整理する。AIが既存の業務資料や目標を先に読み込み、業務の流れを把握したうえで、社員との対話を通じて業務マップを作成する。そのマップを基に、人とAIが協働するための標準的な手順を定め、エージェントを導入できる業務を選び出す。

SKテレコムは「AXのJカーブの谷を突破するため、社員とAIエージェントがともに働く業務環境を構築している」とし、「社員の自発的なAI活用文化と全社的な支援体制を有機的につなぎ、AXイノベーションの成果を組織全体に広げていく」と述べた。

◆通信大手3社、それぞれ異なる道

通信大手3社はいずれも社内AXを推進しているが、その手法は異なる。SKテレコムは、社員がエージェントを自ら作り、会社が社員番号や評価制度を通じて管理する独自のエコシステムを目指す。5月に社内へ配布した「エイダット・ビズ・コワーク」のベータ版では、開発者ではない社員も、実行計画の作成からコードの記述・検証まで行える。

LGユープラスは5月、マイクロソフトのCopilotを全社標準の業務ツールとして導入した。導入から1カ月で利用率は80%を超え、プロンプトの累計は44万件、社員1人当たりの平均は86件だった。コーディングにはCodexやClaude Code、企画にはFigmaやClaude、コンテンツ制作にはGeminiと、業務ごとにツールを使い分けている。

KTは全社員を対象にした実習型研修「AXディグリー2026」を運営するとともに、独自の検索拡張生成(RAG)技術「K RAG」を社内エージェントに適用し、業務全体を担うパーソナライズドエージェントの研究を進めている。