Google AIチップ、宇宙から俳句を送信…宇宙データセンター初の試験に合格

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By Global Team

10月1日に打ち上げられた「プロジェクト・サンキャッチャー」の試作衛星。搭載されたTPUがAIモデル「Gemma 4」で俳句を生成し、ノルウェーのスバールバルから受信

要点

▶ Googleは現地時間10月30日、宇宙データセンター構想「プロジェクト・サンキャッチャー」の試作衛星から、初のAI応答を受信したと発表した。

▶ 衛星は10月1日、SpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられた。地球観測衛星企業のPlanetがGoogleと共同で製作した。

▶ データセンター級のTPUを4基搭載し、太陽光で最大1kWを発電する。

下には青い地球、

静かな恵みの中を流れるデータ、

星明かりが私のコアを満たす。

Googleが宇宙に打ち上げた衛星で、AIが作って送った詩だ。

Googleは現地時間30日、宇宙データセンター構想「プロジェクト・サンキャッチャー」の試作衛星から、初のAI応答を受信したと発表した。

地上の研究チームが、衛星に搭載されたオープンAIモデル「Gemma 4」に「宇宙にいる気分を俳句で書いてほしい」と依頼。衛星はノルウェーのスバールバルにある地上局の上空を通過しながら、回答を送信した。

俳句は、3行からなる日本の伝統的な定型詩だ。Googleは「当社のチップが正式に宇宙へ羽ばたいた」とし、「宇宙を目指す長期目標の実現に向けた重要な成果だ」と述べた。

◆ 軌道上でTPUが計算

詩の内容よりも重要なのは、詩が作られた場所だ。地球軌道を周回する衛星の中で、データセンター級のTPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)がAIモデルを動かし、回答を生成した。

Googleの研究組織を率いるシニアディレクター、トラビス・ビールズ氏は、これをプログラミングを学ぶときに最初に表示させる「Hello, World」に例えた。すべてが動作していることを示す合図という意味だ。衛星は10月1日、ほかの衛星とともにSpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられた。

地球観測衛星企業のPlanetがGoogleと共同で製作した。軌道に投入された後、約3週間にわたって試運転と機器の点検を行い、機械学習の演算試験に入った。

課題は電力だ。衛星にはTPUが4基搭載され、太陽光発電で最大1kWを生み出す。家庭用電気ケトルを1台動かせる程度の電力だ。この電力では、TPUを一度に1基、約20分しか稼働させられない。地上のデータセンターで数千基のTPUが24時間稼働しているのに比べれば、文字どおり試験段階だ。

◆ なぜデータセンターを宇宙に置こうとするのか

Googleがサンキャッチャー構想を初めて発表したのは昨年11月だ。出発点にあるのは太陽光だ。低軌道の衛星は夜間がほとんどないため、同じ太陽電池パネルでも地上の最大8倍の電力を得られる。

地上のデータセンターを悩ませている電力、冷却水、用地の問題を、軌道上に移すことで回避しようという構想だ。Googleが描くのは、数十基のTPUを搭載した小型衛星を複数、レーザー通信でつなぎ、1つのデータセンターのように運用する姿だ。Googleは地上試験で、TPU「Trillium」が5年間の宇宙ミッションで受ける放射線量を上回る量に耐えたと明らかにしている。

次の段階も決まっている。Googleは、衛星が急激な温度変化や宇宙放射線にさらされる環境で、TPUがデータエラーを起こさず計算できるかを試験する。検証を終えれば、2027年に高性能TPUと衛星間レーザー通信装置を搭載した衛星2基を打ち上げ、衛星同士でデータをやり取りする試験に入る。

◆ 競合もいる、課題も残る

宇宙データセンターを目指す企業はGoogleだけではない。NVIDIAが出資するスタートアップのStarcloudは昨年12月、NVIDIAのH100 GPUを搭載した衛星でGoogleのAIモデル「Gemma」を動かしたと発表した。Googleはその約10カ月後、自社チップで同じことを実現した。

実用化までの道のりは遠い。放射線による機器の損傷やデータエラー、真空中での排熱、電力の確保、故障時の修理方法、宇宙ごみなど、課題は多い。地上なら部品を交換できるが、軌道上ではそうはいかない。Googleは衛星の数や軌道高度、事業費を公表していない。今回の俳句で確認できたのは、軌道上でTPUが計算を行うという事実だけだ。