▶ サムスン電子は、Galaxy Z Fold8などの折りたたみスマートフォンの需要増に対応するため、台湾のファウンドリーUMCにディスプレイドライバーIC(DDI)用ウェハーを1万枚以上追加で発注したが、断られたと台湾の経済日報が11月2日(現地時間)に報じた。
▶ サムスン電子は、スマートフォン市場の減速を見込んで関連する発注を取り消していたが、その後、販売が予想を上回ったため、必要な数量の確保に乗り出したという。UMCは、すでに他の顧客に生産能力を割り当てており、追加注文への対応は難しいとの立場だ。
▶ サムスン電子は8月から、Fold8向けDDIを確保するため生産日程の調整を進めてきた。業界では、成熟プロセスの生産余力が逼迫するなか、半導体サプライチェーンの管理がますます重要になっているとの見方が出ている。

折りたたみスマートフォンの販売増に対応するため、サムスン電子が主要半導体の追加確保に乗り出したものの、台湾のファウンドリー企業の生産余力不足により、難航しているという。
台湾の経済日報は2日(現地時間)、業界関係者の話として、サムスン電子がUMCに有機EL(OLED)ディスプレイドライバーIC(DDI)の生産用ウェハーを1万枚以上、緊急に追加発注したが、受け入れられなかったと報じた。
UMCは、既存顧客の生産日程がすでに確定しており、短期間で生産量を調整するのは難しいと説明したという。サムスン電子とUMCは、この報道について公式な立場を明らかにしていない。
◆ 需要予測が外れ、取り消した生産枠の再確保に動く
DDIは、スマートフォンのディスプレイの各画素に送る電気信号を制御し、画面の明るさや色を表現する半導体だ。OLEDパネルの駆動に欠かせない部品で、供給が不足すれば完成品の生産にも影響する可能性がある。
経済日報によると、サムスン電子は先に、メモリー半導体の価格上昇や世界的な物価負担などを考慮してスマートフォン需要を慎重に見通し、UMCに割り当てていた生産枠の一部を取り消していた。
しかし、その後スマートフォンの販売が予想を上回り、Galaxy Z Fold8とFlip8の需要も増加したことで、状況が変わった。サムスン電子は取り消した生産枠を再び確保しようとしたが、UMCはすでにその生産能力を他の顧客に割り当てていたという。
部品調達の負担は8月から表面化していた。サムスン電子は、2027年製品向けに確保していたDDIをFold8の生産に優先的に投入し、UMCに緊急の優先生産を意味する「スーパー・ホットラン(Super Hot Run)」を要請した。
Fold8向けDDIは、UMCの22ナノメートルプロセスで生産されるとされる。
◆ Fold8の販売好調、供給先の多様化を検討
サムスン電子は8月、Galaxy Z Fold8の販売実績が過去最高水準に達したと発表し、米国のSamsung.comでは一部モデルが品切れになることもあった。需要増に対応するため、生産台数を100万台追加する案も進めたと伝えられている。
サムスン電子はDDIの供給網の多様化も検討しているという。米グローバルファウンドリーズを追加の供給元として確保する案を検討している。
今回の事例は、先端半導体だけでなく、ディスプレイドライバーICなどに使われる成熟プロセスでも、生産能力の確保が重要になっていることを示している。
成熟プロセスとは、最先端の微細化プロセスに比べて技術的に安定した製造工程で、DDIや電源管理IC(PMIC)、車載半導体など、さまざまな製品の生産に用いられる。
スマートフォンメーカーにとっては、需要予測に応じて半導体の発注量を調整する従来の方法が、より大きな負担となる可能性がある。生産枠を取り消した後に需要が回復しても、ファウンドリーの生産日程が他の顧客で埋まっていれば、短期間で供給を増やすのは難しいためだ。
安定した部品確保に向けた長期生産契約と供給先の多様化が、メーカーにとって重要な課題となっている。