歩いている途中で誰かにiPhoneをひったくられて逃げられた瞬間、端末が自らロックされる。Appleがこうした機能を準備しているとみられる。
米Apple専門メディアの9to5Macは26日(現地時間)、AppleがiPhone向けに新たな「ひったくり防止(anti-snatching)」機能を開発中だと報じた。
盗難の状況を自動で検知し、画面を即座にロックする仕組みだ。窃盗犯が端末を手に入れても、中にある個人情報や金融データへアクセスできないようにするのが目的である。
カギとなるのは「判断方法」だ。9to5Macによると、新機能はiPhoneに内蔵された加速度センサーと、ペアリングしたApple Watchとの距離情報を活用する。
窃盗犯は通常、端末を奪った直後に走って逃げるか、自転車で素早く立ち去る。その際、iPhoneが利用者の手首から急に離れ、同時に異常な動きが検知されると、システムが盗難状況と判断して直ちに端末をロックする仕組みだ。
◎「盗難デバイス保護」と連動…見慣れない場所では機能自体を制限
この機能は、Appleがすでに提供している「盗難デバイス保護(Stolen Device Protection)」と同じルールで動作する。
iPhoneが普段訪れない場所にある、あるいは初めて接続するWi‑Fiに接続したと判断されると、端末の一部領域へのアクセスが自動的に制限される。
パスワード変更、Appleアカウントの解約、保存済みカード情報の確認などの機微な操作には、Face ID認証をもう一度求められ、一定時間が経ってから実際の変更が行われる仕組みだ。
Appleはこれまで、紛失・盗難されたiPhoneを守るための仕組みを段階的に整えてきた。
「探す」機能で位置を追跡し、遠隔で端末をロックしたりデータを消去したりする機能も提供している。しかし今回の機能は性格が異なる。利用者が盗難に気づいて対処する前に、端末が自ら「今、奪われた」と判断して先に動く、初めての試みだからだ。
路上での携帯電話の強奪は、英国ロンドン、米ニューヨーク、仏パリなど主要都市で長く社会問題となっている。単なる端末の紛失を超え、モバイルバンキングアプリや決済情報まで一緒に盗まれ、二次被害が大きくなる傾向にある。Appleの今回の機能は、こうした流れに対応したセキュリティ強化策とみられる。
◎WWDC目前…iOS 27で姿を現す可能性
公開時期は目前だ。Appleは6月8日に年次世界開発者会議(WWDC)2026を開催する。
9to5Macは、新しいひったくり防止機能がこの場で次世代OSのiOS 27の一部として発表される可能性があると予測した。ただし、Appleは正式日程を公式には確認していない。
業界では今回の機能を、単なるセキュリティ機能の追加以上のものと受け止めている。iPhoneとApple Watchを連携させて動作する仕組みだからだ。
手首の上の端末が時刻確認だけでなく、iPhoneのセキュリティセンサーの役割まで担うことになるわけだ。Appleのエコシステム内で、デバイス間の協業がさらに一段深まる方向である。
WWDCを前に、Siriの全面刷新やApple Intelligenceの拡張など大型発表が予告される中、今回のひったくり防止機能は、華やかな新技術よりも日常の脅威に対応する実用的な変化として注目される見通しだ。
路上で端末を奪われる瞬間を想定したセキュリティ設計こそ、最終的に利用者の体感価値が最も高い領域になる可能性がある。