NASA、アルテミス2号の船長とパイロットを名誉職に移行…「経験は組織に残す」

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By Global Team

月周回飛行を終えた宇宙飛行士2人が、現役を退く。

NASAは、アルテミス2号の乗組員であるリード・ワイズマン氏とビクター・グローバー氏を、9月からテキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターの名誉職に移行させると発表した。名誉職とは、技術や専門知識を持つ人材が時間をかけて現職の職員を教育・助言する役職だ。NASAは専門的な助言を通じて人材を継続的に活用でき、本人は他の活動と並行できる余地を得る。

◆アポロ13号の記録を更新した10日間

2人が任務を終えたのは今年4月10日だった。オリオン宇宙船は米太平洋時間午後5時7分、米カリフォルニア州サンディエゴ沖に着水した。

複数の記録が生まれた。乗組員4人は10日近い飛行で、計111万8,000kmを移動した。地球から最も遠く離れた地点は40万6,700kmに達し、1970年にアポロ13号が打ち立てた記録を更新した。人類が月の軌道を訪れたのは50年以上ぶりだった。

ワイズマン氏は船長を務めた。国際宇宙ステーションに165日間滞在した経験がある。グローバー氏はパイロットを務め、海軍パイロットとテストパイロットを経て、クルー1ミッションに参加した。クリスティーナ・コック氏とカナダ宇宙庁(CSA)所属のジェレミー・ハンセン氏も搭乗運用専門家として参加した。

NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、2人について「有人宇宙飛行で最も困難な任務の一つを担い、米国が月の環境へ戻ることに貢献した」と評価した。ジョンソン宇宙センターのバネッサ・ワイチ所長は、「探査への献身と揺るぎないリーダーシップが、長く残る影響を生み出した」と述べた。

◆オリオンを操縦した唯一の人材

グローバー氏は、オリオン宇宙船のシステムに関する知識を、今後のアルテミス計画に引き継ぐ考えを示した。同氏は「新たな役割に適応する間も、NASAと宇宙飛行は私の勤務人生において意義深い存在であり続ける」とし、「月に向かう仲間たちをこれからも応援していきたい」と語った。

ワイズマン氏は、アルテミス3号の準備に携わる同僚たちに飛行経験を伝える。同氏は「NASAは私に大きな責任を託し、2度の宇宙任務と宇宙飛行士室長を務めた時期を支えてくれた」と述べ、「名誉職制度を通じて、今後の任務とプログラムに引き続き貢献できることをうれしく思う」と語った。

ジョンソン宇宙センターの宇宙飛行士室長、スコット・ティングル氏は、「2人が残す運用能力の遺産が、これから何年にもわたり宇宙飛行士団を形作っていくだろう」と述べた。

経験の重みは、計画変更とも関係している。NASAは今年2月27日にアルテミス3号の構成を変更することを決め、3月に公表した。7月15日には詳細を説明した。当初は月面着陸任務だったアルテミス3号は、地球低軌道での実証に変更された。

2027年に予定されているアルテミス3号では、3機のロケットを相次いで打ち上げる。ブルーオリジンのブルームーン、NASAの宇宙発射システム(SLS)とオリオン、スペースXのスターシップ試験機だ。乗組員4人は地球軌道上でランデブーとドッキングを2回行う。

乗組員がスターシップに乗り移ることはない。結合した飛行体を安全に制御できるか、通信を維持できるかを確認する工程だ。アルテミス計画のジェレミー・パーソンズ・マネージャーは、地上と飛行の運用を網羅する「最も複雑で野心的な作業の一つ」だと説明した。

月面に人を送り込む任務は、アルテミス4号に持ち越された。目標時期は2028年初頭だ。

日程が後ろ倒しになった分、オリオンを実際に運用した経験はより貴重になった。これまでオリオンに人を乗せて飛行した事例は、アルテミス2号の1回しかない。その飛行を指揮・操縦した2人が現役を退く時期に、NASAは彼らを組織内にとどめる形を選んだ。

NASAの宇宙飛行士ビクター・グローバー(左)とリード・ワイズマンが、2026年4月1日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターでアルテミス2号の試験飛行を前に宇宙服の漏れ点検を行っている。グローバーはアルテミス2号のパイロット、ワイズマンは船長を務めた。[写真=NASA/Kim Shiflett]
NASAの宇宙飛行士ビクター・グローバー(左)とリード・ワイズマンが、2026年4月1日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターでアルテミス2号の試験飛行を前に宇宙服の漏れ点検を行っている。グローバーはアルテミス2号のパイロット、ワイズマンは船長を務めた。[写真=NASA/Kim Shiflett]