【解説】孫正義氏がまた「オールイン」…オープンAIに60兆円の借入動員、ソフトバンクはどこまで行くのか

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By Global Team

ソフトバンクがオープンAIへの追加投資に向けた400億ドル(約60兆円)のブリッジローンで、銀行の追加募集に着手した。

JPモルガン、みずほなど5行が1次引受に参加し、1行当たり約50億ドル(約7兆円)ずつ追加で割り当てられる超大型案件だ。

S&Pは「流動性毀損のリスク」を理由に信用格付け見通しを引き下げ、ARMの87%を保有する孫正義氏の次の一手に市場の注目が集まっている。

ソフトバンク提供
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孫正義ソフトバンクグループ会長が、再び賭けの規模を拡大している。米人工知能(AI)企業オープンAIへの天文学的な投資に60兆ウォン規模の借入を動員し、世界の金融市場がその動向を見守っている。

ブルームバーグ通信が先月15日に報じたところによると、ソフトバンクは400億ドル(約60兆ウォン)規模の融資に追加参加する銀行の募集段階に入った。取引はいわゆる「ソフトローンチ」局面で、1次主幹事銀行が組んだ枠組みに他の銀行が加わる段階だ。

◆ 1行が7兆ウォンを抱える超大型取引

今回の融資の重さは数字にそのまま表れている。追加で参加する銀行は、1行当たり約50億ドル(約7兆ウォン)を負担しなければならない。銀行にとっては、1件の取引で7兆ウォンを賭けるのと同じだ。

この融資を最初に引き受けたのは、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった米大手銀行、そして日本の3大メガバンクであるみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループだ。まず5行がリスクを引き受け、これから追加の銀行がその一部を分担する構造だ。満期は2027年3月25日で、1年余りとなっている。

聞き慣れない用語もあるが、要するに単純だ。ブリッジローンとは、大きな資金が入るまでの間、つなぎとして一時的に借りる「橋」の役割を果たす短期融資だ。会社に入ってくる予定の資金があっても時期が遅い場合、まず銀行から借りて急ぎの約束を守り、後で返済する仕組みである。サブアンダーライターは、リスクを分けて引き受ける追加の保証人のようなものと理解すればよい。

ブルームバーグの続報によれば、先月末時点で少なくとも8行が参加の意向を示した。英国HSBC、フランスBNPパリバ、イタリアのインテーザ・サンパオロなど欧州の主要銀行が新たに加わった。日本の1社の取引が、米・欧・アジアのグローバル銀行を総動員する構図へと広がった形だ。

◆ オープンAIにすでに30兆ウォン超を投入

孫会長がここまで無理をする理由は、オープンAIに集中している。ソフトバンクはすでにオープンAIに300億ドル(約44兆ウォン)超の資金を投じている。ChatGPTを生み出した企業への賭けだ。今回の60兆ウォンの融資も、実質的にはオープンAIへの追加投資のための原資である。

ソフトバンクが誇るもう一つの資産は、英国の半導体設計会社ARMホールディングスだ。約87%の株式を保有している。スマートフォンの中に入る半導体設計の中核企業で、韓国の半導体業界とも深い関係がある。ソフトバンクにとってオープンAIとARMは、二大保有資産といえる。

オープンAIの累計投資額は、今回の融資が実行されれば約646億ドル(約95兆ウォン)に増え、ソフトバンクの保有持分は約13%水準に上昇すると伝えられている。日本の一企業の運命が、ChatGPTの成否に丸ごと結びつく構図だ。

◆ 信用格付け会社も市場も「危険だ」と警告

問題は借金だ。孫会長が描く構図は華やかだが、それを支える負債は重く積み上がっている。市場関係者が不安視するのはそのためだ。

国際格付け会社S&Pグローバル・レーティングスは、今年3月にソフトバンクの信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ1段階引き下げた。見通しがネガティブに変わるということは、今後格下げされる可能性が高いというシグナルだ。会社が資金を借りる際、より高い金利を負担しなければならないことを意味する。

S&Pが懸念した核心は2つだった。オープンAIへの投資がソフトバンクの手元資金を逼迫させる可能性と、保有資産の信用品質が低下する可能性だ。要するに「一つに賭けすぎている」という警告だった。

◆ 社債発行まで同時に進める孫正義氏

ソフトバンクは融資に加え、社債市場にも働きかけている。ドルとユーロ建てで計6種類の社債発行を検討し、投資家との協議を進めているという。

橋はできるだけ多くのルートで架けたほうが安全だという判断とみられる。銀行融資だけに頼らず、社債市場からも資金を調達してこそ、60兆ウォンという重みを分散できるからだ。

ソフトバンク側はこの件について公式見解を示していない。会社の広報担当者はブルームバーグの問い合わせに回答を拒否したとされる。

◆ 韓国市場が注目すべき理由

孫正義氏の賭けは、日本の一企業の事情で終わらない。ソフトバンクが保有するARMは、サムスン電子やSKハイニックスが作る半導体設計の標準を左右する企業だ。オープンAIも、ChatGPTをはじめとするグローバルAIエコシステムの中心にあり、韓国のIT企業との技術的交流も活発だ。

もしソフトバンクの資金繰りが揺らげば、ARMの経営戦略、オープンAIの今後の資本調達、そして世界のAI投資ムード全体に波及するだろう。韓国の半導体企業とAI企業も、この流れと無縁ではいられない。

孫会長は過去、ビジョンファンドを通じてUberやWeWorkなどのスタートアップに巨額を投じたが、損失を出した経験がある。今回こそ、ChatGPTを生み出したオープンAIという「確かなカード」に最後の勝負をかけているようだ、という分析が出ている理由だ。

勝負の結果は、オープンAIが今後どこまで成長するか、そして企業公開(IPO)を通じてソフトバンクが投資資金を回収できるかにかかっている。孫正義氏の60兆ウォンの橋が無事に対岸へ届くのか、市場は息をひそめて見守っている。

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