AppleはVision ProとSiriの部門で200人超の社員を削減した。ブルームバーグ通信が21日(現地時間)に報じた。Appleも構造調整の事実を認めた。
Vision Proを担当するVision Products Groupでは約100人が削減された。ゲームコンテンツチームはほぼ解体され、没入型ビデオチームも縮小された。
SiriとAI機器の連携を担当してきた組織でも約100人が削減された。Siriの技術構造を全面的に見直しており、必要な人材構成が変わった影響だ。
Appleは次期Vision Proの発売を2028年末以降に先送りし、スマートグラスの開発に注力するとも伝えられている。ヘッドセットからメガネへとデバイス戦略が移りつつある。
Appleは「事業を進化させ、最高のユーザー体験を提供するための措置」とし、新たな職務の創出と他部門への異動機会を約束した。

Appleがかつて未来の成長分野として打ち出していた複合現実ヘッドセットの組織にメスを入れた。
ブルームバーグ通信は、AppleがVision ProとSiri関連の部門で200人超の社員を削減したと21日(現地時間)に報じた。Appleはブルームバーグに対し、構造調整の事実を認め、「事業を進化させ、ユーザーに最高の体験を提供するためのものだ」とし、「一部の既存の役割が影響を受ける」と説明した。
◆ どこで、どれだけ、どのように
まず、複合現実ヘッドセットVision Proを担当するVision Products Groupで約100人が会社を去る。Vision Pro向けゲームコンテンツチームはほぼ解体され、ヘッドセットの看板機能だった没入型ビデオ制作チームも規模が縮小された。
残る100人余りは、音声アシスタントSiriとAI機器の連携を担ってきた組織から出た。AppleがSiriの技術構造を土台から再構築しているため、必要とされる専門能力が変わり、既存人材の一部が組織再編の対象となったという。
Appleは削減とあわせて新たな職務を設け、対象社員に社内での異動機会を提供すると明らかにした。
◆ ヘッドセットをたたみ、メガネに向かう

削減の対象を見ると、Appleのデバイス戦略の方向性が読み取れる。2024年に3499ドル(約490万円)で発売されたVision Proは、重さと価格の負担から大衆市場を開拓できなかった。
ブルームバーグによると、Appleは次期Vision Proの発売を2028年末以降に延期し、代わりにメガネ型のスマートグラス発売に集中している。スマートグラスは没入型ビデオをサポートしないため、関連コンテンツチームが縮小の対象になった。
Siriの削減は整理というより再構築に近い。ChatGPT以降、音声アシスタント競争で遅れを取ったと評価されてきたAppleは、Siriの中核を生成AI中心に入れ替える作業を進めている。
古い構造を維持していた人員を減らす一方で、AI専門人材の需要は増え続けており、会社全体の雇用削減というより人員構成の転換だという見方が出ている。
時期も注目される。Appleは来月、ティム・クックCEOが退き、ジョン・ターナス体制へ移行する転換期を控えている。AI基盤への投資ブームでメモリ半導体価格が上昇し、MacやiPadの値上げに踏み切るなど、原価負担も重くなっている。
うまくいっていない事業を整理し、スマートグラスとAIという次の勝負どころに力を集中させる準備作業が、新CEO就任前に進められているとの分析が出ている。
Vision Pro向けのコンテンツ業界や開発者にとっては、方向転換のシグナルとなった。Appleエコシステムで次の機会はヘッドセットではなく、メガネとAIにあることが今回の削減ではっきりした。