宇宙の大半は、まだ正体不明だ。見えている星や銀河をすべて合わせても、宇宙全体の構成の5%にも満たない。残りを追跡する次世代宇宙望遠鏡が今月末、打ち上げ台に上がる。
米航空宇宙局(NASA)は、次世代宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」を30日、フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げる予定だ。打ち上げにはスペースXのファルコン・ヘビー・ロケットが使われる。打ち上げ後、約3か月の試験を経て本格的な観測に入る。総事業費は40億ドル(約5,500億ウォン)前後と伝えられている。
名前はNASA初の主席天文学者、ナンシー・グレース・ローマンに由来する。ハッブル宇宙望遠鏡の誕生を主導し、「ハッブルの母」と呼ばれた人物だ。その名を冠した望遠鏡が、ハッブルの後継となる。
ローマンは、直径2.4メートルの主鏡と3億画素の赤外線カメラを備える。鏡の大きさは1990年に打ち上げられたハッブルと同じだ。主鏡は米国の偵察衛星用に製作された後、NASAに移管されたものを整えて使用する。これにより、開発費を抑えながらハッブル級の光学性能を確保した。
性能差は視野に表れる。ローマンの視野はハッブルより100倍以上広い。
ハッブルが鍵穴越しに部屋をのぞくようなものだとすれば、ローマンは窓を大きく開けて見るようなものだ。同じ解像度を保ちながら、一度により広い空を調べる。ハッブルなら数十年かかる大規模な調査観測を、数年で終えられる理由がここにある。
赤外線を使う理由もある。赤外線は宇宙のちり雲を通り抜け、遠方から来る間に波長が伸びた古い光まで捉えられる。初期宇宙の銀河や暗い天体を見つけるのに有利だ。
観測地点は地球から約150万キロ離れた重力平衡点だ。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が位置するのと同じ領域で、地球の影や熱の干渉を避け、安定した観測が可能となる。
2021年に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が狭い領域を深く掘り下げる望遠鏡だとすれば、ローマンは広く見渡す調査官だ。ローマンが興味深い天体を大量に見つけ、ジェームズ・ウェッブが精密観測で引き継ぐという分業が可能になる。
科学界の推定によれば、宇宙は見える物質が5%、暗黒物質が約27%、暗黒エネルギーが約68%で構成されている。暗黒エネルギーは宇宙膨張を加速させる正体不明の力だ。ローマンは超新星数千個までの距離を測り、膨張の歴史を復元する任務も担う。
銀河は、目に見える物質の重力だけでは説明できないほど速く回転している。見えないが重力を及ぼす何かがあるということだ。科学者が暗黒物質と呼ぶ存在だ。ローマンは数億個の銀河の形が重力でどの程度歪むかを測り、暗黒物質分布の地図を描く。
太陽系外惑星は、星の光を使った「虫めがね」で探す。手前の星の重力が、奥の星の光を一時的に明るくする重力マイクロレンズ現象を利用する。惑星があれば、明るさの変化曲線に微細な痕跡が残る。銀河中心部の数億個の星を休みなく見守る必要があるため、広い視野を持つローマンに適した任務だ。地球のような小さな惑星まで数千個を新たに見つけると期待されている。
ジュリー・マッケナリーNASA科学者は、「ローマンは天文学のあらゆる分野に影響を与えるだろう」とし、「これから出てくる予想外の発見がローマンを非常に興味深いものにする」と語った。
ローマン・プロジェクトには日本が参加した。太陽系外惑星の大気観測などに使われる装置の開発に貢献し、長野県にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設が観測データを受け取る地上局の役割を担う。
完成機の望遠鏡競争ではなく、装置と地上施設で持分を確保する戦略だ。参加国の研究者は、観測計画の策定とデータ活用に発言権を持つ。マッケナリー科学者も、日本の貢献を土台に科学研究が広がることを望むと述べた。
韓国も似た道を歩んできた。韓国天文研究院は、NASAの赤外線宇宙望遠鏡「スフィアエックス」の開発に参加し、昨年の打ち上げを共にした。宇宙航空庁の発足以後、国際大型プロジェクトへの参加拡大が次の課題とされる。部品や装置で名を連ねてこそ、技術と人材がともに育つというのが、これまでの事例が残した教訓だ。
宇宙望遠鏡技術は研究室にとどまらない。ハッブルの画像処理技術は医療画像の読影へ、観測用センサー技術はカメラ産業へと流れ込んだ。超大型観測が生み出すデータ処理技法も、産業のさまざまな分野に広がる。
装置参加がなくても道はある。ローマンの観測資料は、非公開期間なしにすぐ公開される予定だ。データ量は1日あたり数テラバイト規模と見込まれ、人工知能の分析ツールなしでは処理が難しい。データを先に分析した側が発見の主役になる構造だ。国内の大学や研究機関にとっては費用なしで開かれる機会であるだけに、データ分析人材と計算資源の準備が鍵となる。
打ち上げの様子はNASAのインターネット放送で生中継される予定だ。軌道に乗った後は、焦点調整と装置点検が続き、初の観測画像は試験終了後に公開される。
ハッブルは36年間にわたり、宇宙の年齢と膨張速度を書き換えることになった。ローマンもまた、教科書を書き換える発見を予告している。試験運用が終わる今年末から観測が始まれば、宇宙の95%を満たす未知がどこまで解き明かされるかが明らかになる。